「レッドアイズ 監視捜査班」というISTP作品
前回に続き、作品のタイプ判定第2弾。今回はタイトルの通り「レッドアイズ 監視捜査班」というISTP作品のタイプ判定を解説したい。
また、当然のことながら作品の核心部分に触れるため、ネタバレについてはご了承頂きたい。
- 作品概要 -
本作も前回の君セカと同じく、2021年の冬ドラマとして日テレで放送された。内容はいわゆるクライムサスペンスもので、3年前に婚約者を殺害された特別捜査官・伏見響介が、次々に起こる難事件を通して、婚約者を殺害した真犯人の行方を追いかける復讐ものとなっている。
「自分の感情に正直になる」
表向きにはカウンセラーを生業にしているが、その本性はシリアルキラーであり、なお且つ伏見 (主人公) の復讐相手でもある鳥羽和樹の口癖。
この口癖に内向思考的な考え方を見て取ることができる。字面から一見して内向感情的な発想に思えるだろうが、本作でこのセリフが放たれる際の文脈は内向的思考 (正確には不健全な内向思考)のそれを表している。
人の心の奥底には復讐心や殺人衝動が眠っているが、通常それらは理性によって抑え込まれており、それらを解放せよという趣旨のセリフであった。ここで言う理性とは社会常識・世間体・周囲の人々など種々のしがらみのことを表している。
すなわち、人の個性・感性など多様性を尊重するFi的な文脈というよりも、自己責任の下で己を貫く個人主義的なTiの文脈がそこに在るのだ。まあこの場合、己の欲望を貪る利己主義と言った方が適当ではあるが。
大切な人のために踏み止まる
「自分の感情に正直になった」伏見だが、鳥羽を殺害する寸前で踏みとどまる結果となった。
そのきっかけとなったのが、鳥羽の上司・島原の放ったセリフ「どんなに苦しくても、どんなに残酷な世界でも、私たちは踏みとどまらなきゃいけない。大切な人のために。」である。
あるべき姿とそうでない現実との葛藤 (Ti-Se) の中で個を貫くことを良しとするISTPだが、一方では、人間が互いに支えあって生きているという感覚 (Fe) 、そして自分自身が実際に周囲に支えられて生きているという現実を忘れがちでもある (劣等Fe) 。
個人的にこのセリフは、本作のテーマを一言で表した言葉であると同時に、ISTPの矛盾と葛藤、すなわちエゴイスティックな本性と繊細で不器用なメンタリティを象徴するような言葉だと思っている。
劣等機能Feの考察
ISTPにおいてFeが劣等機能であるということは、人を求めないということではなく、むしろ心の奥底にある、理解者や仲間を求める気持ちを上手く表現する方法がわからないということだと思われる。
そのことにISTP自身が気づくのは、得てして状況がすでに手遅れになっていることも多い。
本作はそういった世のISTP達にとって良き教訓となるようなドラマであったんじゃないかと、私自身 (ISTP) もまた考えさせられた次第である。
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