最高の上司の、最高のマネジメント #マネジメント探求の道(3)
数ある記事の中から、この記事に興味を持っていただきありがとうございます。
ところで皆さんは、日ごろ活き活きと働いてらっしゃるでしょうか?
または、活き活きと働いた経験をお持ちでしょうか?
私はあります。
働くことってこんなに楽しいことだったのかと思うほど、心の底から楽しく活き活きと働いた経験があります。
しかしそれは、今から15年以上も前(2000年初頭)の話ではあります。
今回の記事は、正にその、心の底から楽しく活き活きと働いた時の話です。
先に結論を行ってしまうと、活き活きと働けたのはその時についた上司のおかげでした。
その上司は、私の社会人としての振る舞いや価値観形成に多大なる影響を及ぼした上司でした。
その上司の元でまるで水を得た魚のように活き活きと活動し、会社に入って初めて仕事が心から楽しいと感じることが出来ました。そしてその結果として大きな成果も上げることができました。
何故その上司の元で活き活きと活動する方が出来たのか。今回もドラッカーさんの言葉を借りながら、その解説に挑んでみます。
ドラッカーさんの名著「エッセンシャル版 マネジメント」には、マネージャーの基本的な仕事として、以下の5つを挙げられています。
この5つの切り方から、当時の上司のマネジメントを振り返ってみたいと思います。
1)目標を設定する
この上司の設定する目標は極めて明快、シンプルでした。組織の上層部からは予算達成の為、あれやれこれやれとその場凌ぎの指示が落ちてきますが、掲げた目標以外のことはやるなと明言してくれました。その反面、上層部とはかなりやり合っていたようですが、そんな姿勢からも、我々はやるべき事をやるんだという明瞭な意思を感じることができました。
また、仕事で成果を上げるには、目標に向かってやるべき事に集中して取り組むことの大切さを学びました。(補足すると、その目標は「数字」ではありませんでした)
2)組織する
目標達成の為に、そして輝かしい成果を挙げるために、必要な人材を常に多方面に探し求めていました。当時そのチームで立てた目標は、過去に前例のないチャレンジングなものでしたが、精神論で推し進めようとすることは一切なく、目標達成の為に足りない人材がいると分かれば、社内を(時には社外も)かけずり回り、適切な人材を探していました。
3)チームをつくること
この上司の元のメンバーは当時全員が前向きに、そして自律的に自分のミッションに取り組んでいました。それはメンバー一人ひとりの個性や強みを見極め、意見を尊重し、そして各々が活動する領域については完全に判断を任せてくれていたからだと思います。
細かい指示を受けたことは全く記憶にありません。また、報連相を求められたこともありません。その代わりによく我々を観察をしていました。つまり、特段こちらから報告や相談などせずとも状況を把握しているのです。これは大きな安心材料となり、伸び伸びと活動できた要因のひとつでした。
4)評価する
上記で述べた通り、その上司はメンバーの行動、更には感情面までよく観察をしていました。また、各メンバーの状況をよく把握していました。適切なタイミングで適切な助言や軌道修正をしてくれました。
短期に成果が出ない場合でも、中長期的な目線で目標に対してブレることなく行動するように促してくれましたし、ブレなく行動している者を最大限に評価をしてくれました。そしてそのことが結果的に更なるモチベーション向上に繋がっていたと思います。
5)自らを含めて人材を育成すること
この上司と飲みに行くと、必ず様々な問いを受けました。
「お前は誰の為に働いているんだ?」
「お前はこの先どうするつもりだ?」
「あの案件、今後どうするつもりだ?」
こう言った根本的な問いかけを沢山投げかけてくれたため、自分を見つめ直す良いきっかけとなりました。そして原点に立ち返り、その時その時で何をすべきかを考えながら行動できていたように思います。
この上司はいつも部下と真正面から真剣に向き合っていました。部下の為に自分は何をなすべきかをいつも考えていたのだと思います。
部下の立場からもその姿勢を強く感じるので、安心感を持って思い切り自分の意思で活動できたのだろうと思います。
しかしその後、その上司の元を離れたのち、しばらく上司ロス状態に陥りました。あの上司だったらこうしてくれたのにと、愚痴ばかり言っていたのを思い出します。
あんな上司は滅多に現れないと、その現実を受け入れるまで時間がかかったのを思いだします。
そしてもっと厳しい現実として、この上司以降、あれから20年近く経過しますが、あんなに素敵な上司に巡り会えた事がありません。つまり、マネジメントを正しく発揮している上司が残念ながら殆どいないという事です。
むしろ、史上最低と思われる上司の元に就いたこともあり、その件についてはまた改めて記事にしたいと思います。