“普通”を問い直す、童話のような転生譚/今村夏子「木になった亜沙」
誰も私の手から食べてくれない。
そんな悩みを抱える少女が、木に転生した。
本作は、表題作「木になった亜沙」の他、「的になった七未」「ある夜の思い出」の三編からなる、不思議で奇妙でダークな短編集です。
表題作は、自分の手から誰も物を食べてくれない、という少女・亜沙が杉の木に転生する物語です。亜沙はやがて割り箸になって若者と出会います。
私は独特の世界観が癖になり、一気に読み進んでしまいました。ダークな雰囲気と奇妙で不思議な展開から目が離せません。
この本の著者の今村夏子さん