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医療虐待や医療殺人に遭遇した時に助けてくれるのは誰? 〜しかし、その限界も知っておく〜

医療現場での虐待や医療殺人のような深刻な問題に直面したとき、どこに助けを求めればよいのか、誰に相談すればいいのか。多くの人は戸惑い、何をすべきかわからずに泣き寝入りしてしまいます。しかし、適切な対応をすれば、加害者に責任を問うことができる可能性があります。

ここでは、医療トラブルにおいて頼ることができる6つの選択肢を紹介します。しかし、各機関や専門家には限界もあり、万能ではありません。期待しすぎると助からないこともあります。この現実を知ることで、関係者の方々にも「自分たちの役割の大切さ」を再認識し、正義感を持って行動してもらえることを願っています。



1. 法律の専門家(弁護士)

頼れる点

医療問題において、まず最初に相談すべきなのは、医療問題に特化した弁護士です。彼らは法律的な観点から事実を整理し、医療機関や医師の過失を証明するためのサポートを行います。具体的には、以下のような手続きを進めてくれる場合が多いです。

  • カルテや診療記録の精査
    医療記録が改ざんされている場合や、必要な説明が省略されている場合、その証拠をもとに医療機関に説明責任を求めることができます。

  • 調停や訴訟のサポート
    問題解決が難しい場合、裁判所での争いをサポートしてくれます。弁護士がつくことで、適切な補償や正義を追求することが可能になります。

しかし、限界もある

  • 資金がなければ十分な支援を受けられない
    弁護士は基本的にビジネスであり、着手金や成功報酬が必要です。無料相談はあっても、実際に訴訟を起こすには高額な費用がかかるため、経済的な余裕がないと本格的な法的支援を受けるのは難しいのが現実です。

  • 高齢者の案件は、賠償額が少ないため優先度が低くなりがち
    高齢者が被害者の場合、損害賠償金の見込み額が低いため、弁護士が熱心に取り組まないケースがあります。賠償額が低いと成功報酬も少なくなるため、利益にならない案件として後回しにされることがあります。

  • 証拠が不十分だと、引き受けてもらえない
    医療機関側がカルテの改ざんや情報の隠蔽を行うことがあり、証拠が不十分だと弁護士も訴訟のリスクを負いたくないため、案件の受任を断られることがあります。

  • 対応に十分な時間をかけてもらえない場合がある
    弁護士は複数の案件を同時に抱えており、賠償額が小さい案件や証拠が不十分な案件は優先度が低くなり、期待するほどの時間を割いてもらえないこともあります。


2. 警察(刑事事件としての捜査)

頼れる点

医療過誤が単なるミスではなく、故意や重大な過失による「犯罪」として立証できる場合、警察に被害届を出すことで刑事事件として捜査が行われる可能性があります。

  • 業務上過失致死傷罪の適用
    医師や医療機関の明らかな過失が原因で患者が死亡した場合、「業務上過失致死傷罪」に該当する可能性があります。

  • 証拠が揃えば刑事裁判に進む
    事件性があると判断されれば、検察に送致され、刑事裁判が行われる可能性があります。

しかし、限界もある

  • 警察は医療事件に消極的
    医療に関する事件は専門性が高く、警察も判断が難しいため、証拠が不十分だと事件として扱ってもらえないことがあります。

  • 医療機関側による証拠の隠蔽・改ざん
    医療機関が自らの過失を隠すために、診療記録やカルテを改ざんしたり、都合の悪い情報を削除したりする可能性があります。その結果、本来ならば犯罪として立証できるはずの証拠が失われ、「証拠不十分」として不起訴になってしまうことがあります。

  • カルテが改ざんされると立証が困難になる
    たとえば、医療機関が「適切な処置をした」と記載を後から変更した場合、実際に過失があったかどうかを証明することが難しくなり、警察や検察が起訴を見送る可能性があります。

  • 刑事事件として扱われるにはハードルが高い
    医療ミスを「過失」ではなく「犯罪」として立証するには、高度な医学的知識や専門家の意見が必要となるため、警察も動きにくい場合があります。


3. 医療専門家

頼れる点

医療の現場で何が正しいのかを判断するために、医療の専門知識を持つ第三者機関や医師の意見を求めることも重要です。

  • セカンドオピニオン
    別の医療機関や医師に診療内容を確認してもらうことで、過失が明らかになる場合があります。

  • 医療事故調査委員会
    大学病院や大規模な医療機関では、内部調査を行う委員会が設置されており、調査委員会を通じて詳細な調査を依頼することができます。

しかし、限界もある

  • 現役の医師は同業者を批判しにくい
    医療業界には「医師同士の暗黙の連帯」があり、同業者のミスを積極的に指摘したがらないことがあります。

  • 証拠がなければ判断が難しい
    診療記録が改ざんされていたり、不明瞭だったりすると、正確な診断が困難になります。


4. 行政機関や消費者センター

頼れる点

医療機関に対する苦情や不正行為についての情報提供やサポートを行う公的機関もあります。

  • 都道府県の医療安全相談窓口
    医療行為に疑問を感じた際、相談できる窓口が各自治体に設置されています。

  • 消費者センター
    消費者目線でトラブル解決のアドバイスを行ってくれる機関です。

しかし、限界もある

  • 行政機関は対応が遅い
    手続きに時間がかかり、迅速な解決が期待できない場合があります。

  • 強制力がない
    医療機関に対して指導はできても、罰則を与える権限がない場合が多いです。


5. メディアの力を活用する

頼れる点

問題が解決しない場合、メディアの力を借りることも一つの選択肢です。

  • 社会的な関心を集め、医療機関にプレッシャーをかけられる
    医療不正を公にすることで、問題解決を促進する可能性があります。

しかし、限界もある

  • メディアも利益優先
    話題性がないと取り上げてもらえないことがあります。

  • 報道が一時的で終わることもある
    大きなニュースとして報道されても、その後の追跡報道がなく、問題が風化することもあります。


6. 支援団体やコミュニティの活用

頼れる点

同じような体験をした人々が集まるコミュニティや、患者の権利を守るための団体も存在します。

  • 情報共有や精神的なサポートを受けられる
    他の被害者の経験を知ることで、適切な対応策を学ぶことができます。

しかし、限界もある

  • 支援団体の活動には限界がある
    法的な力を持っていないため、強制力のある行動を起こせるわけではありません。

  • 情報の信憑性を見極める必要がある
    インターネット上には誤った情報も多く、適切な情報を選別する必要があります。


7.まとめ

医療虐待や医療殺人に遭遇したとき、頼れる先はいくつもありますが、どこも万能ではありません。警察が刑事事件として扱うにはハードルが高く、弁護士も経済的な要因で受けたがらないことがあります。医療機関の内部調査も不十分で終わる可能性があり、行政の対応は遅い場合があります。

そのため、一つの機関や専門家に頼るのではなく、複数の手段を組み合わせて行動することが重要です。そして、支援する立場の人々にも「自分の役割の大切さ」を再認識してもらい、被害者が泣き寝入りしない社会を作ることが求められています。

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