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第3回: 医療虐待!?医師によるネグレクト:治療の放置と放任

高齢者医療の現場で、患者に寄り添うべき医師が治療を放置する——これほどまでに胸が痛む事実があるでしょうか。家族や患者は医師を信じ、命を預けます。しかし、その信頼が裏切られる瞬間、患者は治療を受ける権利を奪われ、家族は絶望の中に置かれます。
今回は、医師によるネグレクト、つまり治療の放置と放任に焦点を当て、その実態を掘り下げます。


1. 治療の放置がもたらす悲劇

医療現場では、必要な治療が提供されないことで患者の命が危険にさらされる事例が報告されています。例えば、**褥瘡(床ずれ)**が悪化し、適切な処置が施されないまま感染症を引き起こすケースがあります。
このような事例では、医師や看護師が「状態は安定している」と判断し、必要な治療を後回しにすることが問題です。

具体的な事例

  • ある高齢者が肺炎で入院しましたが、主治医が「経過観察」と判断し、必要な抗生物質を投与しないまま症状が悪化。結果的に患者は重篤な状態に陥りました。

  • 高齢者が腹痛を訴えても、医師が「加齢によるもの」と軽視し、内臓疾患を見逃す事例もあります。

治療の放置は、患者の命を直接的に脅かす行為です。
それは、患者の苦痛を無視し、医療倫理に反する深刻な虐待と言えるでしょう。

2. 患者の訴えを無視する医師の姿勢

患者が苦痛や不安を訴えるとき、それを真摯に受け止めることが医師の使命です。
しかし、現実には患者の声が軽視され、適切な診断や治療が行われないケースが後を絶ちません。
高齢者は、自分の症状を正確に伝えるのが難しい場合もありますが、そうでない場合でも医師がその訴えを無視する状況が生まれることがあります。

具体的な事例

  • 高齢の女性が「胸が苦しい」と訴え続けましたが、医師は「加齢による疲れ」と片付けました。数日後、心筋梗塞が発覚し、命を取り留めたものの、早期治療で防げた後遺症が残りました。

  • 夜中に「喉が渇いた」と何度も訴える患者に対し、看護師が「朝まで我慢してください」と対応。その結果、患者は脱水症状を起こしました。

これらの例は、患者の訴えを無視することがどれほど深刻な結果を招くかを物語っています。患者の声を無視することは、彼らの尊厳を奪う行為に他なりません。

3. ネグレクトの背景にある問題

医師によるネグレクトが発生する背景には、さまざまな要因があります。

  1. 人手不足と業務過多 医療現場では、医師や看護師の数が不足していることが多く、多く、一人一人の患者に十分な時間を割けない状況が続いています。その結果、治療の優先順位が適切に管理されず、放置される患者が出てしまいます。

  2. コミュニケーション不足 患者と医療従事者の間での情報共有が不十分であることが、誤診や治療放置の原因となります。特に、家族が患者の状態を正確に伝える機会が少ないと、重要な症状が見逃されるリスクが高まります。

  3. 制度の欠陥 医療制度自体が患者の声を十分に反映できない仕組みになっている場合、治療の放置が起こりやすくなります。また、ターミナルケア加算、看取りケアの高額医療報酬は早くほしいという医療機関側の動機が、患者への対応を歪めることも問題視されています。

4. ネグレクトを防ぐためにできること

ネグレクトを防ぐためには、医療従事者が患者や家族と協力し、適切な医療を提供することが重要です。

  • 医師による丁寧な説明: 診断や治療方針について患者や家族にわかりやすく説明し、信頼関係を築く。

  • 症状の適切な記録と共有: 医療スタッフが患者の症状を正確に記録し、チーム内で情報を共有して適切なケアを実現。

  • セカンドオピニオンの活用: 必要に応じて他の医師の意見を取り入れ、より良い治療方針を検討する。

これらの取り組みにより、患者の声を尊重しながら、ネグレクトの発生を防ぐ医療環境を整えることができます。

5. 社会全体で取り組むべき課題

ネグレクトを防ぐためには、医療従事者だけでなく、社会全体が取り組む必要があります。

  • 教育と意識改革: 医療従事者に対するネグレクトのリスクや患者対応の重要性についての教育を強化します。

  • 外部監査の導入: 病院や施設に対し、外部機関が定期的に監査を行う仕組みを整備します。

  • 患者家族の啓発: 家族が医療現場で何をすべきか、情報を共有する場を設けることが大切です。

6. 次回へのつなぎ

治療の放置や患者の訴えを無視することは、患者の命や尊厳を危険にさらします。しかし、これが医療虐待の全てではありません。
次回は、DNAR(蘇生措置拒否)の倫理的問題について掘り下げます。命に関わる重大な判断が、どのように行われるべきかを共に考えていきましょう。

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