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文学空間計画 by 文学と汗

「もう5年目なんだよね…」

感慨深い30代2人。

あのとき高校生だったあの子は大学生も後半へ。
あのとき東京へ行く寸前だったあの子は今宮崎のまちのど真ん中で働いている。

そして、この文芸誌がはじまったときはこの場所は生まれていなかった。


何かを続けることはドラマを生む


5/25(土)〜6/2(日)の期間、企画展「文学空間計画」が行われている。
場所は宮崎市の宮崎第一中学高等学校の近くにある「ギャラリー石蔵」さん。入場は無料。休館日である5月30日(木)以外は10時〜18時のあいだオープンしている。

この企画展は宮崎発の文芸誌『文学と汗』のこれまでのアーカイブ、執筆陣の裏話や制作秘話などを、誌面から飛び出すかたちで展示したもの。それを米の検査用の食糧事務所として建てられたとされるこの80年ものの石蔵でやるのだから風情がある。いや、実際には風情どころか、文芸誌が歩んできた時間と石蔵が歩んできた時間が折り重なる重厚な異次元空間となっていた。

この『文学と汗』だが、僕も2020年の創刊時から4号まで原稿を寄せている。

2019年に創刊の企画があり、2020年以降、コロナ真っ只中で毎年発刊された。現在まで4号出ている。あのときはみんなマスクをして、手指消毒して、換気をして、密にならないよう気を張っていた。そんななかで市井の人たちのささやかな抵抗というか、日々のささやかな保存、あるいは丁寧にぬか床を混ぜ合わせる営みとしてこの文芸誌があったように思う。

グンジキナミ編集長のこの5年間も、文学と汗で大きく変化したのではないか。

「いつでも驚きと新鮮味を味わっていたいですよね」

なんの話の流れだったか忘れたけど、石蔵の前で2人話した黄昏時のその言葉が妙に残っている。

今回協力した執筆者のみなさんの展示をまじまじと見た。
やっぱこういう出し方とか見せ方は個性出るよなって思う。

私が気づいたのは「人は自分自身の幸せを持っていたいのだ」ということです

麗早|文学空間計画の展示より抜粋

書き手の一人、エッセイを寄稿していた麗早(りさ)さんが、これまで『文学と汗』で書いた文章を振り返ったときの一文。
“今の私が考える幸せについて書きたいと思います”の一文からはじまるこの文章。どういう文脈で語られているかは実際にその目で見てほしいが、なんとなく今の自分にとってハッとする言葉だった。

ベンチに腰かけるグンジ編集長。タイミングが良ければ会場で会えるかも

この4〜5年で僕らも世間も世界も大きく変わったけれど、このギャラリーの元となった何十年と佇む石蔵や、この文芸誌のように、その中へ入っていけばタイムトラベルできたり、何かを思い出したり、人の感性に触れたりできるものがあるってのは、なにより幸運なことだと思う。

そんでわれわれの生きる意味がそこにある(あるいは誰かがその人のその意味を発見する)って気がしている。

宮崎にゆかりのある市井の人々が作品を寄せる文芸誌『文学と汗』。その息吹、人々の織りなす時間やドラマを、リアルな場所で感じとってみてはいかがでしょうか。タイミングが良ければグンジキナミ編集長もいらっしゃいます。制作の裏側のお話が聞けるかも。

また、来場者特典の小冊子「文学と汗 LIGHT」をお持ち帰りいただけます。執筆者は11名。本誌のミニ版とはいえ、濃厚な内容。

ギャラリー石蔵さん、涼しいのです。蒸し暑くなってきたこの季節にぜひ。

石蔵のてっぺんに彫られた大黒様がお出迎え

インフォメーション

(以下の情報は、文学と汗編集部のInstagramアカウントより抜粋しています)

『文学空間計画』
日程:2024年5月25日〜6月2日
(木曜休館のため5月30日はclose)
会場:ギャラリー石蔵 @gallery_ishigura
(宮崎市大字郡司分乙919-1)
時間:10:00 - 18:00
料金:入場料なし
主催:文学と汗編集部 @bungaku_to_ase

◇宮崎市文化芸術振興基金から助成いただきます。

文学と汗編集部 編集長グンジキナミ

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文学と汗 LIGHT

執筆陣

・すすすすみれんこーん
・utoe
・横山起朗
・樺山博詞
・ウツモトカナ
・馬場広大
・半田孝輔
・進藤アヤノ
・麗早
・沖田めぐみ
・グンジキナミ

いつもよりライトに、
だからこそ自由に。

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半田孝輔|ライター・編集
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