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【経営者の哲学】年商1億円超のひとり社長と語る「広告業界の未来」
【全編無料で読めます】
登場人物
ラブパンダ(司会)
小林社長の愛から生まれた“ラブパンダ”キャラクター。番組の進行役。小林社長(以下、小林)
番組ホストとして、ゲスト経営者と対談。チエロ社長(以下、チエロ)
株式会社CHIERO 代表取締役。元プロの大道芸人で、「チエロ」の名前で活動。
対談
オープニング
ラブパンダ(司会)
さあ始まりました新番組「経営者の哲学」! やっと始まりましたね。
この番組では、独自の経営哲学を持たれている経営者の方々と小林社長が、経営について対談をしていきます。
そして私は、小林社長の愛から生まれた“ラブパンダ”――ラブパンダです。覚えておいてくださいね。
小林
めちゃくちゃ可愛いですね!
ラブパンダ(司会)
ありがとうございます(笑)。さて、対談第1回目のゲストは、株式会社CHIEROのチエロ社長になります!
チエロ
よろしくお願いします!
ラブパンダ(司会)
早速ですけれども、チエロ社長、自己紹介をお願いします。
チエロ社長の自己紹介
チエロ
はい。株式会社CHIEROのチエロと申します。よろしくお願いします。
もともと20歳の頃、プロの大道芸人をやっていました。そのときにちっこいピエロで「チエロ」という名前で活動していたんです。ジャグリングとかマジックをしながら、学費と生活費を稼ぐ生活をしていたんですね。その芸名をつけたのが「チエロ」なんです。
「ちっちゃいことは絶対に勝てるんだ!」という謎の自信のもと、20歳で「ちっこいピエロ チエロ」をやっていたんですが、会社を作ったのが26歳のときでした。
なぜ会社を作ろうと思ったかというと、“チエロ”というキャラクターに対して“人格”を上げようと思ったんです。だから「株式会社CHIERO」というふうにして、チエロがやること全部をやるための法人格を上げようと思って作ったのが、このCHIEROという会社です。
なので、今も「CHIEROのチエロ」って呼んでもらっています。
小林
本当にわざわざ福岡から来ていただいて、ありがとうございます。
僕の友人の中でも、一番よく福岡で会うくらいの関係ですね。
チエロ
そうですよね。僕も小林社長が福岡に来る1、2週間前から待ち構えている感じです(笑)。
大道芸人時代の話
ラブパンダ(司会)
大道芸人って、具体的にはどんなことをされていたんですか?
チエロ
もともとは18歳で大学に入ったときに、ジャグリングサークルみたいなのに出会ったのがきっかけです。九州で一番大きいサークルだったんですが、僕、人生で初めて“好きなものに打ち込む”という経験がジャグリングだったんですよね。
お手玉をやったり、水晶玉を浮かして見せたり、そういうパフォーマンスが楽しくて。20歳のときに路上パフォーマンスを始めたんです。道端で歌っている人たちを見て、「僕もやりたいな」と。
そこからイベントに出たり、飲食店と契約してテーブルマジックをやったり、あとはオーストラリアのシドニーに行ってライセンスを取ってパフォーマンスしたり、そういうふうに生計を立てていましたね。
株式会社CHIEROの事業内容
ラブパンダ(司会)
なるほどですね。ありがとうございます。今は「株式会社チエロ」で何をやっているんでしょうか?
チエロ
今やっていることは大きく2つあって、1つ目はコンサルティング、もう1つはWebの広告事業です。この2本柱がメインですね。
ラブパンダ(司会)
広告業って、元々どういうものなのか、ざっくり教えてもらってもいいですか?
チエロ
僕の捉え方になりますが、広告というのはそもそも海外から入ってきた概念で、1900年代の後半くらいからあった。英語で “advertisement” といいますよね。
“ad”、“ver”、“tisement” などいくつかに文節が分かれるんですが、ざっくり言うと “ad” や “ver” は「向き」みたいな意味がある。僕としては「広告業」というのは、その広告を見た人の意識や興味・関心の“向き”を変えてあげる産業だと思うんです。
ちょっと抽象的ですが、具体的に言うと、今僕がやっているのは動画広告、とくにショート動画に特化した広告の作成です。ショート動画を使って、お客様に対して意識の向きを変えたり、「本当は興味があったんだな」と気づかせてあげる――そういう役割を担っているのが今のメイン事業ですね。
TikTok広告への取り組み
ラブパンダ(司会)
ショート動画というのは、具体的にはどういったところに配信されるものなんですか?
チエロ
メインはTikTokですね。TikTokをスライドしていく時に流れてくる広告、あれを作るのが僕の主な仕事です。
元々、僕自身TikTokが好きで、自分でもインフルエンサーとしてやっていたんですよ。フォロワーが今4万5千人くらいで、投稿頻度は下がりましたけど数百本は動画を作ってきました。非公開にしてある動画も100本単位で残っています。
そういう「ユーザーとして作り続けた経験」があったので、どんな動画が伸びやすい、伸びにくいっていうのが肌感覚で分かっていたんですね。だから好きなことを仕事にする、得意なことを仕事にしてきた僕にとって、ショート動画は強みだったんです。
インフルエンサーとしてやるだけでなく、それを別の形で活かせないかなと考えていたタイミングで、動画広告の市場が伸びている感覚もあったので「じゃあここでやってみよう」と思ったのがきっかけです。
ショート動画広告のポイント
ラブパンダ(司会)
小林社長、ショート動画のビジネスをやっていくうえで大事なことって何でしょう?
小林
最近は、チエロ社長(ちーちゃん)が言っているようにTikTokなども含めて、最初の1秒、2秒の印象がとても大事だと言われますよね。
実際、ハードルがどんどん上がってきているので、どうやって最初に目を止めてもらうか。僕は「一番最初に大きいクエスチョンを与えられる動画ほど、最後まで見ちゃう」という傾向があると思うんです。
売りたいものや見せたいものを最初からガンガン映すのではなく、最後まで見てもらえたら「なるほど、こういう商品なんだ」「こういうことを伝えたいんだ」と分かるほうがいいと思っています。
ちーちゃんのように実際に何十本、何百本と動画を撮っている人には、今僕が言ったような「最初の数秒の印象が重要」みたいな話は、肌感覚でもすごく理解されているんじゃないでしょうか。
そういう経験を持っているからこそ、僕は当時「TikTokライブ配信ですごいビジネスの話をする人がいる」と思ってアプローチしたんですよね。
ラブパンダ(司会)
そうそう、チエロさんがライブ配信をしているところに小林社長が連絡したんですよね?
小林
そう。めちゃくちゃアプローチしました(笑)。当時はまだTikTokでライブ配信が始まったばかりで、自己啓発とかお金系の話をする人は多かったんですけど、ちゃんとディープなビジネスの話ができる人ってあまりいなくて。
表面上を飾るようなインフルエンサーの人が多かったんですが、ちーちゃんは実際に努力して実態を伴っている雰囲気があったので、「この人はすごいな」と思って。いまだに仲が良いというわけです。
僕から見たら、福岡のスタートアップ界のスーパースターだと思ってますよ。
チエロ
そんなことないですよ(笑)。好き勝手やらせてもらっているのは、周りのおかげですからね。
働き方と売上の関係
小林
実際、ちーちゃんって今かなり時間が空いてますよね。午前中しか働かないスタイルと言うか。でもそれで売上がすごいじゃないですか。
チエロ
そうですね。よく驚かれます。僕、多分、労働時間が増えると売上が下がるタイプなんですよ。
自分の人生を考えたとき、「こういう状態が幸せだよね」という理想があって、その幸せを実現するために仕事を組んでる感じです。
何がいいかっていうと、モチベーションが常にフルマックスなんです。やりたいことばかりやっているので、意欲や意思決定の精度が高まる。結果的に、「午前中だけ働いて、午後は開ける」スタイルが最もパフォーマンスが上がるんですよね。
小林
なるほど。例えば先月だと月商が1300万円くらいですか? それを一人で、午前中だけで上げている。普通ありえないですよね(笑)。
労働時間と成果を切り離す
ラブパンダ(司会)
チエロさんの会社って、どういう仕組みでそんなに成果が上がるんですか?
チエロ
TikTok広告だからってわけではないんです。大きなポイントは「いかにリソースを下げて、最小のコストで最大の利を取りに行くか」です。
独立・起業する人にとっては、まず「自分の時給単価をどう上げるか」が大事。要するに、自分の時間を売上と紐づけない工夫をしないといけない。労働時間と売上を切り離すというか。
それをどう組むかが経営に近いところだと思うんです。自分が作りたい作品や仕組みを考えて、「その箱にお金や時間を投下すると、これぐらいリターンがあるよね」っていう。
結局、みんな「どんな広告出したら伸びるの?」とか気になるじゃないですか。僕が意識していることは大きく2つあって、1つ目は「自分なりの基準値を高く持つこと」。もう1つは「珍しさ」です。
1つ目の「自分なりの基準値を高く持つ」というのは、たとえば料理でも、美味しい料理を作りたいなら、まず“美味しい料理”を知っておかないと作れないですよね。レシピを理解してこそ作れるようになる。
広告で言えば、「今、実際伸びている広告ってどんなものだろう?」という基準値が自分の中になければ、良い広告は作れないんです。
僕は普段から「見る、聞く、触れる」を一流にしようと意識しています。昔、70歳ぐらいの伯母が言ってたんですけど、「本当に良いものを見ておくと、悪いものを見たときの違和感で分かる」って。広告も一緒で、良いものを常に見ておけば、悪い広告や微妙な広告がパッと見で違和感として分かるんですよね。
2つ目の「珍しさ」は、僕が古典を読む中で得た知見なんですが、「良い能や脚本は“珍しさ”が重要」と。TikTokってみんなスワイプしちゃうから、最初の1秒で「珍しいな」と思ってもらえなければ次に行ってしまう。
いかに珍しい要素を、最初の1秒の中で示せるか。そういう“珍しさ”と“良いものを見分ける基準値”の両輪が大事だと考えています。
広告業界の今後
ラブパンダ(司会)
TikTokをはじめとしたショート動画業界の今後は、どのようになっていくと思いますか?
小林
まず前提として、広告業界自体はもともとあったわけですが、TikTokのすごいところはショートムービーに特化したこと。
こないだ京都の伏見稲荷大社をまわっていたときに、10代の女の子2人と仲良くなって、今の若い子たちの考え方を聞いたんですよ。
僕ら30代前後は、何かを調べる時はGoogleやAmazonを使うことが多いですよね。でも彼女たちは「パソコンが欲しいと思ったとき、まずTikTokで調べる」と言うんですよ。TikTokで誰かがPCを紹介している動画を探すそうなんですね。
文字を読むより、そのほうがラクで分かりやすい。だから広告業界は、どんどん「簡易化」される方向に進んでいくと思います。
最終的には個人ごとにAIが入っていて、そのAIが自分の思考を学習して、欲しいものを勝手に提案してくるようになるんじゃないか、と。
それによって「人間が最初に欲しいと思う」のではなく、「AIに欲しいと思わされる」時代が来ると思うんです。その視点で言うと、僕は広告業界はそこまで見ておかないといけないんじゃないかなと思っています。
ちーちゃん(チエロ)はどう思います?
AIと広告の相性
チエロ
その話は、5年、10年のスパンで見たときの未来予測だと思うんです。僕はもう少し短期的――半年から1年、数年ぐらいの話で見ると、広告とAIは相性がめちゃめちゃいいですね。
最近は生成系AIがどんどん出てきていて、たとえばFacebookやInstagramの広告で使う画像やモデル写真を、AIで一気に作れちゃう。早くて安くて上手い。
水着の綺麗な女性モデルを探して撮影を、となると手間がかかるけど、AIなら「みんなが美しいと感じる最適解の女性モデル」がポンと生成できるわけです。
なので、オンラインでテストマーケティングしやすくなってきた。写真や撮影場所すらいらない。オンラインに特化した形なら、高品質な広告用素材がどんどん作れると思います。
小林
広告ビジネスにとって、AIはトレンドのひとつですよね。
チエロ
そうですね。オンライン上でのテストマーケが、一気に加速すると思います。
ただ、一番大事なのは「AIにどんな“元ネタ”を与えるか」だと思っていて。僕は普段午後は読書したり、人に会ったりして“ネットにない情報”に触れるようにしています。3次元世界でのリアルな一時情報ですよね。
要は、オフラインの世界から手に入れたリッチな情報を、自分なりに咀嚼した上でAIに投げ込む。そうすると、すごく精度の高いアウトプットが得られるようになった。これは広告制作者側にとっては大きな強みです。
逆に、受け手側として受動的に使っていると、AIやネットの情報にコントロールされてしまう恐れがあります。そこは「自分の軸」がしっかりしていないといけない。
「私はこれが好きだから」とか「この価値観を大切にしているから」といった軸がないと、いつの間にか数的な論理やインターネットの仕組みにコントロールされてしまう。もちろんそれでも幸せな人はいるだろうけれど、自分で選んだ幸せなのか、気づかないうちに選ばされている幸せなのかの違いは大きいと思います。
そういう意味で言うと、「発信していくこと」が大事なんじゃないかなと。受動的にならないためには、自分の哲学や軸を元に発信していくのがいいと思います。
小林
本当にそうですよね。ある意味、人間の意識と無意識の話でもあって、AIにより無意識的な購買行動を促されるようになる。でも、そこをコントロールされない人たちが今後の時代を作るんじゃないか、という見方もできます。
だから個人としてはどんどん発信しちゃったほうがいいと思うし、TikTokやInstagramを活用していったほうがいいと思いますね。
経営者と哲学:軸を持つことの大切さ
ラブパンダ(司会)
さて、最後にお伺いしたいのが、チエロ社長にとって「経営者を目指すものとは?」というところです。いかがですか?
チエロ
すごく難しい質問ですね(笑)。僕は「経営者になりたくてなった」というわけではなくて、「自分の人生軸」を優先して選んでいったら結果的に経営者になっちゃった、という感じなんです。
根本的に言うと、僕は「人は信念で動く」と思っています。人間には「自分の命よりも大事なもの」ってあるじゃないですか。親御さんが子供を守るために命を懸けるように、それは愛だったり信念だったり。
僕は人間の本質は「意識」だと思っていて、その意識をどう使うかが大事。いま僕が大事にしている言葉は、母が生前に「あなたが元気で幸せなら、私は幸せ」というふうに言ってくれたことで、「自分が元気で幸せであること」を軸に生きようと考えています。
そのために死ねるぐらい大切なものが、僕にとっては「元気で幸せである」という状態なんですよ。もちろん矛盾しない範囲でという話ですが(笑)。それぐらい強い信念があると、人間は環境に左右されにくくなる。
経営者っていうのは、自分から道を切り開いていくことが多いですよね。だからこそ軸がないと、社会的な影響に流されてしまう。
そういう意味で、「自分が本当に守りたい信念は何か」を確立しておくのが何より大事だと思います。それがあるなら、経営者という働き方はとても幸せなんじゃないかなと思います。
ビジネスをする理由
小林
確かに。経営者って法的な側面や組織の責任がどうとかいろいろあるけど、400万社あると言われる日本の企業それぞれに経営者の哲学がありますよね。
いまチエロ社長が言ったように、「亡きお母さんの言葉」が信念として軸にある。僕自身も「生きざま」が何より大事で、自分の中の“美徳”に反する生き方はしたくない。
20代って多くの人が信念を探す時期だと思うんですが、経営者っていうのは資本主義経済の中で信念を早めに見つけられた人たちでもあるという感じがします。
チエロ社長の場合、将来的にはどういうふうになっていきたいとか、目指している姿はありますか?
チエロ
僕、20歳の頃は「好きなことを仕事にしよう!」がすごく強かったんですよね。大道芸人の道に入ったのも、その延長です。
最初は「こういうふうにすると、こんなふうになれるよ」と人に教えたいと思っていて、教育分野にも興味があった。でも途中で気づいたんです。「教える」って僕にとっては限界がある。
人それぞれ人生観や価値観が違うから、僕がやり方を見せても、それがそのまま当てはまるわけじゃない。じゃあ、僕自身が全力で好きなことに打ち込んで結果を出していけば、その姿を見て何か感じてくれる人が出てくるかもしれない、と思うようになったんです。
だから、ちょうど良い難易度のチャレンジを見つけて、全力で頑張って成果を出す。それを表現して発信することで、誰かのきっかけになればいいな、と。
そのためにビジネスをやっている感覚ですね。自分自身が元気で幸せであることを大切にしながら、周りにもポジティブな影響を与えたい。それが意味のあることだと思っています。
過去の先人が考えてくれた知識は活用できるので、歴史から学ぶことも大事。そうやって勉強しながら、できることは全部やって、いろんな人の反応を見て気づきを得る。
僕はただそれを繰り返している感じですね。
小林
20代の経営者の方って「新しいことやりたい!」って人が多いですけど、過去を知らずにやっても車輪の再発明になりがちですよね。
だからこそローマの歴史や日本の建国以来の歴史を知って、「今はどういう状況で、何が新しいのか」を理解することが大切だと思います。
チエロ
歴史から学ぶのは本当に大事ですよ。僕も『ローマ人の物語』や塩野七生さんの本を読んで、「ローマがどうやって伸びて、どう衰退したのか」を学ぶ中で、社会の流れは螺旋状に繰り返していると感じます。
だから今の日本がどういう段階にあるのか、学んでおけば戦略を立てやすい。全くの運ゲーにはしないで、傾向を把握したうえで動くのが好きなんです。
最初は飛び込んでみることが大切ですが、そのあとで自分に合ったスタイルが分かればいいですよね。
エンディング
小林
本当にいいお話をありがとうございました。
ラブパンダ(司会)
本日はチエロ社長の経営哲学を、ここ「経営者の哲学」第1回で伺いました! 親孝行の話や愛の話、いろいろと感動しました。
視聴者のみなさんも、「普段経営者はどんなことを考えているの?」という切り口で、この番組をきっかけに考えてもらえたら嬉しいです。
小林
概要欄にチエロ社長のプロフィールを載せていますので、ぜひチェックしてみてください。
ラブパンダ(司会)
チエロ社長、今日は本当にありがとうございました!
チエロ
ありがとうございました!
以上が第1回「経営者の哲学」の対談書き起こしです。ご視聴・ご覧いただきありがとうございました。
インタビュー動画はこちら
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