公務員試験の適性検査とは?内容と対策方法を解説
今回は、公務員採用試験の適性検査について解説します。
適性検査は、教養試験や専門試験などと比較して重要性は下がりますが、どんな内容であるか知っておくことは大切です。
この記事では、公務員試験における適性検査の意味と、その種類、効果的な対策方法などについて解説します。
適性検査とは?
公務員試験における適性検査とは、受験者が公務員としての適性を有するか否か見極めるための試験です。地方公務員試験や、国家公務員試験の高卒程度区分で行われる、いわゆる性格検査のことを指します。
行政機関に勤務する公務員は、人間性、判断力、倫理面などにおいて、民間企業の人材以上に誠実公正な性質が求められます。このため、しかるべき検査によって受験者の性質を見極め、採用時の合否判断に活かそうというわけです。
なお、適性検査は知識や問題の処理能力を評価するものではなく、あくまで受験者が公務員として相応しい性格や資質を有しているか見極めるための試験です。受験者の人前では見せない潜在意識や人間性を検査により表出させ、公務員としての適性を判断します。
適性試験との違い
適性検査と似て非なるものに、「適性試験」があります。
高校卒業程度の国家公務員試験や、市役所職員などの地方公務員試験で実施されやすい傾向があります。地方公務員試験の試験案内では「事務適性検査」などと記載されている場合もありますが、内容としては適性試験です。
こちらは事務処理能力を評価する試験であり、計算問題や分類問題などが出題されます。一見すると簡単な出題が多いですが、個々の問題をいかに速く解けるかという処理能力の速さが求められます。
試験時間はおおむね15分程度で、100〜120問程度の問題を解くことになります。出題分野は計算、分類、照合、置換、図形把握の5分野あり、配点比率は低いものの最終合否に影響します。また、ボーダーラインは概ね6~7割程度といわれているため注意しましょう。
適性検査の種類と対策
公務員試験における適性検査では、「内田クレペリン検査」「YG性格検査」「ロールシャッハテスト」の主に3種類が実施されます。ここでは、それぞれの検査の概要について解説します。
内田クレペリン検査
内田クレペリン検査は、作業持続力や集中力、精神的安定性などを測る心理検査です。一桁の数字が羅列された用紙に対し、隣り合う数字を足し合わせ、その一の位を記入していく作業を延々と繰り返します。(たとえば「5+9=14」であれば、一の位の「4」を解答欄に記入します)
前半と後半で各15分ずつ実施する計30分の検査で、間に5分の休憩を挟む方式が一般的です。
なお、この検査は、単に多くの計算をこなせば良いわけではありません。また、常に一定の計算量をこなせば良いというわけでもありません。
単純作業の繰り返しによって、受験者の作業ペースや精度がどう変化するか(作業曲線)が検証されます。また、その検証結果から、受験者の性格や行動特性をある程度判定できるとされています。
内田クレペリン検査の対策方法としては、実際の検査に近い形式で練習を重ねることが重要です。時間を計測しつつ、冷静かつ正確に作業を継続する訓練を行いましょう。
YG性格検査
YG性格検査は、受験者の性格特性を把握するために用いられる検査で、一連の質問に対して「はい」「いいえ」で回答していきます。
受験者の自己認識と社会的適応性を評価するための検査であり、たとえば、「小さなことでもなかなか決断できない」「うそをいったことがない」「すぐに涙ぐむ」などの質問に対して、「Yes」か「No」を選択していきます。
一般的な性格診断テストに近しい雰囲気の検査であり、特別な対策などは必要ありません。ただし、設問数が非常に多い(120問)ため、スピーディーに回答しなければならない検査であることは覚えておきましょう。
ロールシャッハテスト
ロールシャッハテストは、一枚の白い紙の中心にインクを垂らし、二つ折りにした時にできる左右対称の模様が「何に見えるか」を直感で回答する検査です。
一見無意味な模様をどのように解釈するかを通じて、受験者の想像力や感情、思考の傾向、深層心理などを探ります。
この検査も、YG性格検査と同様、特別な対策は必要ありません。特定の正解がある試験ではないため、検査中はリラックスして、直感的な印象を素直に回答しましょう。
まとめ
今回は、公務員試験の適性検査について解説しました。
適性検査は、公務員として必要な資質を評価する上で重要な手段ではありますが、ここでの結果が合否を左右することは極めて稀です。
明らかに極端な行動や、公序良俗に反する回答さえしなければ、基本的には誰もが問題なく通過できる試験です。
余計なことは考えず、リラックスした気持ちで受験しましょう。