消防官に必要な資質とは?元消防官が徹底解説!
こんにちは。元消防官の寺澤です。
防災や人命救助の場で活躍している消防職員には、能力的にどんな共通点があるのか、消防志望の皆さんなら一度は考えたことがあると思います。
性格や業務スタイルはそれぞれ違うかも知れませんが、たしかに消防職員として活躍している人材には、ある程度の共通点があります。
特に、「出世スピードが速い職員」や「周囲から熱い信頼を得ている職員」などを観察すると、ほぼ共通の能力に長けていることが分かります。
そこで本記事では、消防官に求められる資質について解説します。
採用試験、特に面接対策を進める上で役立つ内容ですので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
消防官に求められる資質5選
消防官に必要な資質1:高い倫理観
倫理観とは、 人間として守るべきことへの考え方のことです。人間として守るべきものには、 法律など万人に共通する規範や秩序も含まれますが、 それ以外の社会通念や良心などの価値観も含まれます。
消防官は公務員であり、いかなる時も法令に従い職務を遂行しなければなりません。また、職務外のプライベートな時間であっても、国民の規範としての自覚を忘れず、常に自分自身を律する態度が求められます。
このため、高い倫理観は消防官にとって不可欠な資質といえます。
特に近年は、消防官による不祥事が絶えません。事例としては、金銭の窃盗、職場内外での盗撮、飲酒後の痴漢行為などが頻発している傾向があります。「ギャンブル、酒、異性関係」は公務員の不祥事の3大要因ですので、面接などの場においても、これらに関する話題は絶対に避けましょう。また、仮にいじわるな質問(「お酒は飲むの?」などの質問)をされた際も、うろたえず冷静に対処することが重要です。
消防官に必要な資質2:コミュニケーション能力
当然ながら、コミュニケーション能力も消防官にとって重要なスキルです。
災害対応時の隊員同士のコミュニケーションはもとより、住民への防災指導や、地元事業者による各種申請や問い合わせへの対応など、何かとコミュニケーション能力を発揮しなければなりません。
消防官に求められるコミュニケーション能力の基本は、明確で簡潔、かつ迅速な情報伝達です。回りくどい言い回しは好まれません。これは面接時も同様であるため、面接官の質問に対する返答は、必ず結論から簡潔に述べるようにしましょう。
また消防官は、感情的な知性(EQ)を発揮して、人々の恐怖や不安を和らげる能力も身に付けてなければいけません。たとえば災害現場では、被災者に対して安心と勇気づけを提供する必要があります。このためシンプルなコミュニケーションを心掛けつつも、表情や身振りで感情を伝え、相手に安心感や好感を与える面接練習をしておくことも大切です。
消防官に必要な資質3:冷静な判断力
冷静な判断力も、消防官にとって重要な資質です。
火災や災害現場では、予測不能な事態が常に発生します。そんな中で、過度な緊張やパニックを抑え、周囲の状況を把握して適切な判断を下し、効率的な消防活動を遂行するためには、冷静な判断力が求められます。
冷静な判断力は、言葉よりも、面接時の態度で示すことが重要です。たとえば、質問に対していつまでも悩みこんでしまったり、自信のない表情で返答してしまうなどの態度は、面接官に心許ない印象を与えます。どんな質問に対しても、笑顔でハキハキと歯切れ良く答えることが重要です。
また、緊張しすぎて会話が途切れるなどの状況も避けたいところです。大きなプレッシャーがかかる場面など、消防官になればいくらでも遭遇します。どんな質問にも冷静に返答できるよう、事前の面接練習を何度も繰り返しておきましょう。
消防官に必要な資質4:チームワーク
消防官の仕事は、原則としてチームでの活動となります。これは消防活動だけでなく、日常的な事務作業にも言えることです。一人だけで成り立つ仕事は、消防組織にはほぼありません。
このためチームワークは、消防官が必ず持ち合わせていなければならない資質のひとつとされています。
実際、消防官の採用面接では、受験者が今までチームの中で担ってきた役割について聞かれる可能性が高いです。「人間関係で悩んだことはあったか」「チームでの経験を通じて学んだことは何か」など、深掘り質問されることも多いため、チームワークへの理解や協調性を示すエピソードを事前に用意しておきましょう。
消防官に必要な資質5:要領の良さ
少し抽象的な概念ですが、「要領の良さ」も消防官にとって重要な資質です。
ここで言う要領の良さとは、「仕事の処理の仕方がうまい」「手際が良い」「物事の優先順位を心得ている」などの特徴のことです。
消防官の仕事は、複数の作業を同時並行で処理しなければならない場面が多いです。たとえば、消防活動に従事するポンプ隊員であれば、災害出場している時間以外であっても、活動報告書の作成、小隊訓練への参加、住民からの届出受理・審査、電話による問い合わせへの対応など、様々な業務をこなす必要があります。若手職員であれば、これに加えて掃除や食事当番などの雑務、消防法令や活動技術の勉強、自主訓練や体力錬成などにも積極的に取り組む必要があります。このように、消防官として様々な仕事や作業を同時並行で進めるためには、要領の良さが必要になります。
では、消防官志望者としては、採用面接の中でどのように要領の良さをアピールすればいいのかというと、以下のような文脈で伝えるのがオススメです。
あくまで一例ですが、このような伝え方ができると、要領の良さを面接官に印象付けやすいです。
まとめ
今回は、消防官に必要な資質について解説しました。
消防官採用試験では、自分のこれまでの経験やエピソードをうまく整理して、消防組織が求める強みをアピールする必要があります。
今回紹介した5つの資質を参考に、提出書類の記載内容や面接でのアピール方法を工夫してみてください。