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犬を飼う話
私は今年5歳になるマルプーと暮らしている。小さい頃から犬と暮らすのが夢だったのだ。
うちの子と出会ったのは世界中がコロナ禍で大混乱の2020年、当時大学4年生だった私は一人暮らし先から地元に戻るための引っ越し準備を手伝いに来た母を近所のペットショップに連れて行った。
小さい頃犬を飼っており犬との別れを経験していた母は犬を飼うことに反対していた。何度もその話は聞かされていた。犬が必ず私よりも先に死ぬことも。
それでも私は犬を飼いたかった。別れを考えると悲しくなるのは間違いない。でもそこに至るまでの人生はきっと楽しく、豊かになるはずだと信じていた。
こう言ってはなんだが、別れが辛いなんて人間同士だって同じじゃないか。それでも人間は恐れる事なく友達を作るし恋人もつくる。
だからどんな話を聞こうと私の犬を飼いたいという気持ちは揺らがなかった。
どの犬種にするかはまだ決めかねていた。だってどの犬も可愛い。
室内で飼うことを考えると小型犬が良いなとだけ思っていた。
そんな事を考えながら出会ってしまったのがうちの子である。
ただ母を少しでもその気にさせたくて訪れただけなのに、私はもちろん母までもその可愛さの虜になった。
言っても当時大学生の私は、犬を飼うためにコツコツ貯めてきたお金はあったけれどいきなり数十万の決断なんて出来なかった。だがその背中を押してくれたのはむしろ母だった。申し訳程度に当時海外赴任中の父に電話で許可を取り(飼うことに反対はしないけどもう少し考えてみたら?と言っていただけなので今思うと許可ではない。ちなみに「今ゴルフ中、今から俺打つから、じゃ」と電話はすぐに切られた。)その子をうちに迎えることに決まった。
人生で一番幸せな日だと思った。
その日から私の人生は犬が中心になった。まるで子供が生まれたかのような変貌ぶりだが実際そうだったのだ。
あれから5年、うちの子はすくすく育っている。
5年間犬がいなければ良かったと思った日は1日もない。こんな可愛い子が家にいるんだから世界で一番幸せなのは私に違いないと思える毎日である。
昔の友達に、そんなに犬中心で良いの?旅行とか行けないじゃん。と言われた事があるけど分かり合えない人はいる。無視しよう。
当時の自分に言ってあげたい。毎年犬の誕生日を迎える度にこの子との別れをどうしても意識してしまって悲しくなる。でもこの子のおかげで毎日楽しく、仕事を頑張る活力になっている。あなたが思っている、犬が人生を豊かにしてくれるのは本当だよ。だからこの子と出会ってくれてありがとう。
この子と出会ったあの日が私の人生で一番幸せな日ランキング一位をキープしているのだ。2位はプロポーズされた日だろうか、、、、。