のど自慢今週のチャンピオンへの道〜予祝〜

「のど自慢で今週のチャンピオンになりました！」

「すごい！　おめでとうございます！　何を歌ったのですか？」

「松田聖子さんの瑠璃色の地球です！」

「なぜ瑠璃色の地球を選んだのですか？」

「年代を問わず知られている曲だからです！」

「歌っているとき、どんな気持ちでしたか？」

「みんなが私に集中していて気持ち良かったです！」

「合格の鐘が鳴ったとき、どう思いました？」

「やっと私の良さに気付いたかーって思いました！」

のど自慢で今週のチャンピオンになったとヒーローインタビューのように意気揚々と喋っているのは、私だ。ちなみに、私はのど自慢に申し込んだが書類審査で落ちた経験が１回、予選会に出た経験が１回あるが、本選に出場したことはない。

年の瀬に、『予祝』という『望みが叶い上手くいったことをイメージして、先に祝うことで願いを叶える』考え方があると知った。

スポーツ選手や経営者などは、成功したことをイメージして先にガッツポーズしたり祝杯をあげたりしたりしているらしい。

お花見も予祝の一例で、秋の豊作を春に思い浮かべて仲間でお祝いをしてきたとのこと。お花見という行事が『祈願』という一面を持っていたとは知らなかった。

そういえば、以前金運祈願で有名な神社で、あまりに沢山の「宝くじ高額当選しました、ありがとうございます」と書かれた絵馬があり驚いた。もしかすると、宝くじが当たった自分を思い描いて前祝いしている絵馬が混じっていたのかもしれない。

私は、のど自慢で今週のチャンピオンになった自分を想像してみた。ニヤニヤしてしまう。事前に祝って楽しい気持ちになるのは気分が良いし、お金もかからないし、私もやってみよう！

今ここにいるのは、2024年12月の私です。のど自慢で今週のチャンピオンになって、友人がパーティーを開いてくれました。今週のチャンピオンになるまでの道を質問されたので、お伝えします！

1月9日

今年の歌い初め。しばらく歌っていなかったので声が出づらかった。腹式呼吸の意識を忘れずに練習することを誓った。

1月11日

新月の夜に『月に10回以上練習しました』と目標設定した。それからも新月には歌に関する目標を立てた。

2月

のど自慢2024年度開催予定が発表され、ワクワクしてきた。

3月

歌う時間を確保したくて、サービス残業なんて完全に私の辞書から消えて、定時で帰路につき１人カラオケを30分楽しんでから帰宅する日もあった。カラオケ大会が近隣で開催されないか検索していたら、ステージで歌えるイベントを見つけた。

4月

転勤で勤務地が自宅に近づき、通勤時間が減少し、歌を楽しむ機会が増した。人前で歌えるイベントへ申し込んだ。

5月

イベントに出るから観に来てほしいと友人へ伝えた。人に見られながら歌うことを想定して、立ち姿を確認し服装を揃えた。高音を地声で楽に出せる範囲が広がってきた。

6月

イベントに出演、友達が見に来てくれた。手が震えながらも楽しく歌い切った。友達が撮ってくれた動画を見返して改善ポイントを考えた。他の参加者がステージ慣れしていて衝撃を受けつつも、話しかけてSNSでお友達になった。

7月

人前で歌うのに慣れるために、夜の街のカラオケのあるお店で、ノンアルコールを頼みながら歌うようになった。

8月

カラオケ大会の情報を見つけ、早速申し込んだ。夫から「うまくなってきた」と言われた。

9月

出場したカラオケ大会で「素敵な声ですね！」と声をかけられた。小さな賞を受賞し、賞状をテレビの横に飾った。

10月

のど自慢の出場者募集が始まった。選曲は、書類審査の通りやすさを考慮するという打算的な面もあるが、思惑などない素直な選曲理由がお風呂で浮かび、200文字にまとめて申し込んだ。そして、のど自慢では１分程度しか歌えないので１番に特化した練習をはじめた。

11月

NHKから、予選会出場者に選ばれたお知らせが封筒で届いた。予選会に出ると宣伝してまわった。服装に悩み、イオンモールを歩き回った。練習にも力が入った。

12月

インフルエンザや喘息などにならないよう、少しでも体調に不安があれば病院へ行った。美容院にも行った。

無事に予選会当日を迎え、車内で発声練習をしてからホールに向かい、気持ちよく歌った。本選出場者に選ばれた。打ち合わせやリハーサルの合間にSNSで「明日、のど自慢、みてね！」と発信した。

日曜日、とうとう本番。早起きして、髪を整え、メイクして、出発した。朝ご飯はあまり食べられなかったが、のど飴は舐められた。会場に着くと、どんどん気持ちが盛り上がってきた。マイクロフォンをしっかり握り、歌い上げた。鐘が合格を知らせてくれた。アナウンサーさんからのインタビューも楽しく答えられた。そして番組の最後、今週のチャンピオンに選ばれたのは私だ。あー幸せだ！　とびっきりの笑顔がカメラに捉えられた。帰宅してスマホを見ると、おめでとうの連絡の嵐。年内にお返事を終えるのが今の目標だ。

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私は書き出しただけで、ワクワクしてきている。のど自慢、いける気がしてきた。さらに、描いた予祝を周りの人に宣言すると、より叶いやすくなるらしい。私はココで宣言した。これはもう、叶う未来しかやってこないだろう。