Question4 荷物 パート1
函館で宿泊していたホテルには、その後2週間ほど取りに来ない
預けたままの荷物が保管されていた。
旅行最終日の翌日には警察に捜索願いが出ていたのだが、
家族が直接ホテルを訪ねた際にその事実が判明した。
スーツケースには、家族が確認するとすぐに分かるような
彼女らしい細工が散りばめられていた。
アルファベットのシールで名前を貼り、くくりつけられた小さいポーチにも彼女の個人情報が書かれたメモが入っていた。
中には、旅のあとの衣服や旅の必需品の電化製品、
そしてスマートホンと自宅の鍵、お金やデパートの商品券が入っていた。
もう一つのカバンには、未開封の飲み物や行きの空港で買った
読みかけの日本全国おもしろ発見的な内容の本が入っていた。
2泊3日にしては少なめな衣服の量、また彼女のスマホに残っていた
旅行初日に撮影された写真で着ているスカートが見当たらなかった。
ホテルに戻ってくるつもりだったと仮定する物証としては、
旅先で自身で購入したと思われる賞味期限間近なおつまみ等が
入っていた事だ。
家族が発見してくれると仮定する一番の物証としては、
先に例に出した貴重品が入っていた事と、逆に旅先で好んで彼女が買う
キーホルダーや小物などは一切入っていなかった事だ。
スーツケースは家族の元に戻るという確証があったのか?
自分のために購入したものは持って出かけたのか?
スマホの電源が減る事がストレスな彼女は特に旅に出るときには
いつも複数のポータブル充電器を持参する。
そちらはおそらく全てスマホと一緒にスーツケースに残っていた。
電動歯ブラシも。
残されたもの、残されなかったものから推測していくと、
全く逆方向に道が分かれるのではないだろうか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?