クラウンよ、どこへ行く??
先日、トヨタの高級車にして、日本を代表する高級車・クラウンが、現行モデルをもって、セダン型のモデルを廃して、今後は、SUV風のデザインで展開される見通しと言う記事が、中日新聞朝刊で報じられ、その後、毎日、読売、そして朝日の朝刊経済面でも報じられました。
これが事実だとすれば、1955年の登場以来65年15代にわたり、日本の高級サルーンとして歩んできたクラウンの歴史に一区切りと言うことになりますね。何より、トヨタのお膝元・愛知の中日新聞が報じた当たり、情報の精度、確度が高いのかなとも感じます。
今から65年前、戦後の傷跡から立ち直ろうとしてた時期に、トヨタが日本の復興をアピールすべく、日本初の完全オリジナル設計の高級セダンとして、トヨペットクラウンが登場。
当時、クルマはまだまだ限られた人たちの乗り物で、しかもアメリカ車が多数走ってた時代に、挑戦的かつ野心的なコンセプトで登場したクラウンは、文字通り、日本車の時代を切り拓き、日本の戦後史を彩ってきた存在でした。そして、好き嫌いは兎も角として、知らない人がいないブランド、庶民の憧れの的、サラリーマンのクルマ人生の最高到達点として認知されてきました。
私たち世代で、歴代でも印象的だったのは、1983年登場の7代目。
当時、ライバルのセドリック・グロリアがV6エンジンをひっさげた4ドアHTを主力に据えて登場したのを受けて、クラウンも’80年代のバブル期に繋がる直線と曲線を上手く織り交ぜた4ドアHTを主軸にして、最上級タイプとして、3ナンバー2.8LのロイヤルサルーンG(後に3Lエンジンに換装)を新設定し、スーパーホワイトⅡのボディカラーと相まって大ヒット。その後、2Lのロイヤルサルーンスーパーチャージャーも登場し、マークⅡ3兄弟と共に日本のハイソカーブームを牽引。
俳優・石坂浩二さんのCFナレーション「いつかはクラウン」と言う名コピーは、当時、多くのクルマ好きサラリーマンを勇気づけて、ロマンを感じさせてくれました。
その後、1987年に8代目に進化し、キープコンセプトながら、角の取れた丸みのあるデザインになり、ロイヤルサルーンGは専用のワイドボディを採用。
エアサスの採用や、CD-ROMナビのマルチビジョンを設定するなど、トヨタのフラッグシップとして進化し、後にV8エンジンをセルシオに先駆けて搭載するなど、「バブル絶頂期」を象徴するクルマとなり、一時は月に1万台を売り上げる程の人気となりました。
しかしながら、’90年代に入ると、折からの平成不況やSUV・ミニバンの台頭で国産高級セダンの人気が低迷。クラウンも例外では無く、ここ数年は高級ミニバンや高級SUVに押されて、全盛期の半数以下にまで売れ行きがダウン。
その後、「ゼロ・クラウン」と称して12代目が2003年に登場。
ミニバンや高級SUVだけでなく、欧州プレミアム御三家に流れていたクラウンユーザーを取り戻すこと、そして、ユーザーが高齢化していたのを受けて、30~40代の新規ユーザー獲得をすべく「アスリート」を主軸に据えて、新しい時代のクラウン像を提示して、一時は盛り返すも、その後は、HVの導入や、デザインも大きく若返りを図るも、最新のモデルでは、遂にロイヤルシリーズとアスリートシリーズの2本立てを止めて、これまでのクラウンとは対極の「走り」を強調したデザインと、コンセプトを持ったモデルになりました。
そのモデルチェンジが、クラウンの今後の方向性を変えたのかなと言うのが実感です。
クラウンは私の友人や知人が中古ではあるけども乗ってた人が多かっただけになじみ深いですが、今後、どうなるか?見物ですね。
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