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声劇「僕の先生はなんだかおかしい」

「僕の先生は何だかおかしい」

作:煌々亭ぺんぎん
監修:よるべ

上演時間目安:15分程度

※この作品にはBL要素が含まれます

【登場人物】

コウ:小4。素直な性格。少し騙されやすいものの、常識はある。
江西先生:コウの担任。変態ドMショタコン。

【本編】

コウ「ぴんぽんぱんぽーん。この物語はフィクションです!
公序良俗に反する行為を助長する意図はこざいません!」

コウ「先生、こんなところに呼び出してどうしたんですか?」
江西「ああ、ちょっとお前に特別指導をしようと思ってな」
コウ「えっ!……やっぱりこのまえのテスト30点とっちゃったから?」
江西「そうだ。だがな、どうにかする方法を先生は知っているんだよ」
コウ「本当に!?」
江西「ああ、俺に任せてほしい」
コウ「でも、どうして保健室なんですか?」
江西「ん、保健室ってなんかこう……イイだろう?」
コウ「ええと……?」
江西「安心してくれ、保健の田中先生は、今日は出張でいない!ふたりっきり、だよ」
コウ「うーん……なんでだろ?田中先生にもいてもらった方が良かった気がする……」

江西「では、さっそく始めよう!俺とお前、ふたりだけの個人レッスンを!」
コウ「はい!今日は何の勉強をするんですか?」
江西「国語だ」
コウ「国語?僕が30点とっちゃったのは算数だけど。すごく難しかったんです、つるかめ算」
江西「え、夜の?」
コウ「え、なんですか?」
江西「いや、なんでもない。いいか、コウ。国語は全ての教科の基礎なんだ。
国語がわからなくちゃ、算数も理科も社会も、問題の内容を掴んで正しい回答をすることができない。わかるかな?」
コウ「言われてみれば……。じゃ、今日は国語の勉強、頑張ります!」
江西「ふふ、コウはいい子だね」
コウ「えへへ、せっかく先生が僕だけのために教えてくれるんだもん!いっしょうけんめい頑張ります!」
江西「ふふ……本当に、イイ子だ……」

江西「今日は音読の練習から始めようか。はい、このプリントを読んでごらん?」
コウ「えっと、まちゅぴ……マチュ、ピチュ……(何度か間違えて)うう、難しいよぉ」
江西「大丈夫、何回まちがえてもいいからな?むしろ間違えろ」
コウ「(夢中で江西の声は聞こえておらず)えーと……マチュピチュはインカ帝国の遺跡です?」
江西「チッ……そうだな、よくできました」
コウ「なんでちょっと残念そうなんですか?」
江西「気のせいだ。次、読んでみようか?」

コウ「これから、夜の運動会が始まります。選手一同はよく体をほぐしてください」
江西「よし、ほぐそうな」
コウ「ひゃっ……急に肩を揉むのやめてください!くすぐったいです!」
江西「おや、すまないね」
コウ「夜に運動会するなんて変なの。暗くて何も見えないのに……」
江西「ふむ、コウは明るいのが好みかい?」
コウ「え、はい。何かにぶつかったら危ないし、それに……お化けが出てきたら嫌だし」
江西「はんっ!」
コウ「はん?」
江西「(小声で)もじもじしてるコウ、たまらんな!」
コウ「先生、大丈夫ですか?次の文を読みますね?」
江西「あ、ああ、来てくれ」

コウ「夜、ふと目を覚ますと、窓の外から呼ぶ声が聞こえました。ピーター・パンパンマンは大人のネバネバーランドへと僕を誘いました」
江西「さぁ、コウェンディ。これから出かけるんだから、服を着替えなきゃ!僕が脱がせてあげよう!ほら、両手を上げて」
コウ「せ、先生?どこ触ってるんですか!作文の中の話なんだから、服なんて脱ぎません!」
江西「おっと、そうだった」
コウ「もう先生ったら。次の文章は、なんだろう……」
江西「待て。ここからは、もっと感情を込めて読んでみようか?」
コウ「感情?学芸会の劇みたいな?」
江西「そうだ。ほら、よく『登場人物の気持ちを答えなさい』って問題があるだろう?」
コウ「あ、僕、そういう問題すごく苦手!」
江西「実際、苦手な子は多い。だから、今から登場人物の気持ちになる練習をしよう」
コウ「わかりました!セリフは、えーと……」

(間。BGMあればここでチェンジ)

コウ「先生……!僕、ずっと前から先生のこと、好きでした!」
江西「ああっ……!いいぞ!」
コウ「こ、こんなセリフ……は、恥ずかしいです」
江西「恥ずかしがることなんてないよ。すごーく上手だから、もっとシてみて?」

コウ「先生、ぎゅーして?ちゃんとお母さんには内緒にするから、ね?」
江西「むんっ!……あ、ああ、とてもいい。感情が伝わって来たぞ」
コウ「じゃ、次行きますね!」

コウ「むー。先生ったら他の子ばっかり構って!もっと僕を可愛がってくれないと、すねちゃいますから!」
江西「はは、焦らしすぎたか?ほら、おいでコウ。いいこいいこ」
コウ「わっ!先生、恥ずかしいからやめてください!」
江西「悪い、あまり可愛いものだからつい、な」
コウ「僕、もう4年生なんですよ!お兄さんなんですからね!」
江西「つまり『僕もう子供じゃないんだからね!』と?なんて大胆な……!」
コウ「先生?」
江西「そうだ。次はもうちょっと長いセリフを読んでみようか?」
コウ「はい!まだちょっと恥ずかしいですけど……」
江西「大丈夫だ、先生も一緒にスるから、な?」

コウ「せ〜んせ、今日は一緒に寝よ? ここ、先生の1人部屋なんでしょ?」
江西「コウ、大部屋を抜け出して来たのか?悪い子だな。修学旅行は続くんだ。戻って休みなさい」
コウ「嫌だ!こんなチャンス、もうないかもしれないんだもん!」
江西「……ッ!わかってくれ。可愛いお前と一緒の布団だなんて、俺が耐えられないんだ!きっと自分を抑えきれない!」
コウ「……ね、先生?我慢なんてしなくていいんだよ……?」
江西「……!本当にお馬鹿な赤ずきんちゃんだ。狼の巣へ自分からやってきて。……食べられてしまうぞ?」
コウ「うん、食べて。先生に食べてほしい……」
江西「後悔しても知らないぞ?……いや、違うな。後悔なんてさせないさ、俺が」
コウ「(素に戻って)……何これ……?」
江西「何って?それは先生の……(なにか言ってはいけないことを言いかけるが)」
コウ「(かぶせて)そうじゃなくて!このお話、いったい何なんですか?」
江西「『修学旅行の甘い夜〜狼先生と赤ずきん君〜』 作・冷奴 夜兵衛(クールガイよるべえ)だけど?」
コウ「え、誰?」
江西「俺のペンネーム」
コウ「今のお話、先生が書いたの!?」
江西「そうだぞ?ああ、別の作品もあるから、そっちも読んでみよう!自信作なんだ!」
コウ「ええ……」
江西「読んだらわかるから!な!むしろ読んでくれ、頼む!」
コウ「わー!わかりました!なので土下座やめてください!」

江西「あれ、今日は『お医者さんごっこ』をする日だよな?なんでコウが白衣を着てるんだ?」
コウ「今日は先生が患者さんだよ!ほら、ボタンを外して。言うこと聞かないなら、僕が外しちゃうよ?」
江西「待ってくれ!お医者さんごっこに付き合うとは言ったが、俺が患者役なんて聞いてないぞ……あ、やめっ、そんなトコ……」
コウ「可愛いねぇ、診察中にこんなことされてるのに、嬉しそうにしちゃって」
江西「先生……!俺、もう、変になっちゃってる」
コウ「はァ?体はもういいのかなァ?
こんなふうに好き勝手されて、罵倒されて、喜ぶなんて変態だね!」
江西「……先生、もっともっともっと」
コウ「はは、気持ち悪!」
江西「もっとだ……!」

コウ「(素に戻って)いや、なんですかコレ!」
江西「『夜のお医者さんごっこ』作・クールガイ夜兵衛(よるべえ)だけど?」
コウ「タイトルはどうでもいいです!」
江西「妄想を誘う良いタイトルだと思うんだがな」
コウ「あの、こんなこと言うのは良くないかもしれないけど、なんだかこの話、気持ち悪いです……」
江西「渾身の一作をけなされる感覚!悪くない!」
コウ「なんで嬉しそうなの……?」

江西「さあ、もっと読んでいこう!」
コウ「い、嫌だ、僕もう嫌です!」
江西「最初は誰だって慣れないものさ。大丈夫、すぐに気持ちよくなるからな?」
コウ「顔が近いです、江西先生!」
江西「可愛いな、コウ。良い匂いがする……」
コウ「先生!やめてください!午後から体育だったから、汗かいてるし、良い匂いとかしないです!」
江西「(至近距離のまま深呼吸)」
コウ「やめてよぉ!(半泣き)」
江西「ふぅむ。欲を言うならもう少しお前にいじめられてみたかったが。やはりお前は王道の素直系ショタ!初々しく恥ずかしがる姿がもっとも輝くと先生は思う!」
コウ「うわぁん、何言ってるのか全然わかんない!怖い!」
江西「怖がらなくていいぞ。優しく、するからな?」
コウ「う、うう……!助けて!お母さ〜ん!(逃げ去る)」
江西「(突き飛ばされて)おっと……!ふふ、うさぎのように駆けていくコウ。可愛いな」

江西「(渾身のイケボで)まあ焦ることはない。ゆっくりと俺好みに仕込んでやるさ。なにせ君は4年生。あと2年……あるからね」

コウN「このあと、お母さんにぜんぶ報告したら、江西先生は普通にクビになりました!
まる!」

(了)

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