深夜に出会った人へ 〜声のお便り〜
こんにちは。
お元気ですか。
改めてお手紙なんて、なんだか照れちゃうね。
あなたに初めて会ったのは、真っ暗な深夜のことだったね。
ひょっとしたら明け方って言った方がいいかもしれない、そんな時間に偶然出会ったあなたは、低い声で、考えていることを僕に伝えてくれた。
でも、ごめんね、その時あなたが何を話してくれたんだったか、正直よく思い出せないんだ。
自分で返した言葉でさえ、曖昧。
ただ、僕とあなたと、他にも何人かが、暗闇の中、ぼそぼそと言葉を交わしていた、その雰囲気だけは、今でもはっきり覚えている。
寂しいもの同士が身を寄せ合っているだけだったのかもしれない。でも、そこには、それぞれが、より広い世界へと出ていこうとする、そんな胎動のようなものが、確かにあったように思う。
実際、いつの間にか、あなたはもっと広い世界で、たくさんの人たちと関わりを持つようになっていたよね。僕にはできないことを次々に実現していくあなたの姿は、眩しくて、だけど時々危うげで。けれどもそこには何人もの支えてくれる手があって。
かつて同じ闇の中にいた一人として、僕は誇らしさと共に、羨ましさを感じていたんだ。同じ場所に、僕も立ちたいと思った。僕もあんなふうに思っていることを実現していきたいと。
そのあと僕に何かできたことがあるとすれば、その半分くらいは、あなたのおかげだと思っている。
落ち込んだり、悔しさに歯軋りしている時ですら、あなたは確かに立ちあがろうとしていて、だからこそそんな姿を隠さず晒しているんだ、そう思った。そんなあなたは最高にかっこいいと、ずっと思ってた。
そんな憧れが、僕に勇気と、行動力をくれたんだ。
だから、あなたが、あなたとして頑張って来てくれたことに、賞賛と共に、感謝も感じてるんだ。
ありがとうね、あなたでいてくれて。
いくつもの共通点がありながら、僕とあなたは、当たり前に違う人間で、育ってきた環境も考え方も資質も、何もかもが違っていて。その違いがもどかしかったこともあるけれど、今は、そんなに違う僕とあなたが、ささやかな交流を持つことができることこそ、何より素敵な奇跡なんだと思えるようになった。
好きだ、なんていうのは、違う気がするし。あり得ないと思うけど、変な勘違いさせてもお互い困るし?(笑)
でも、いつもいつでも、味方ではありたい、そう思っています。
嫌じゃなかったら、これからもよろしくね。
むこねーさんへ。
けいりんより。