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広告振り返り:~2月総括編~


・2月の広告のあらすじ

・単一タイトルの広告大量出稿が常套化

 当然広告は多くの人に見られれば見られるだけ良いし、多く広告を放映した方が多くの見られる確率は高まるだろう。しかし、それをどこか勘違いしたような広告ラッシュが2月に押し寄せた。
 2024年2月に出していた広告数が多いタイトルトップ3を挙げるとぽちゃガチョが56作、キノコ伝説が118作、そしてマージから夜ふかしが126作というとんでもない物量で広告を出していた。これは先月の星矢ジャスティスの一ヶ月に119作という物量をあっという間に超越し、2024年のゲーム広告において一ヶ月に最も多く広告を出したタイトルとしてマージから夜ふかしが君臨した事になる。
 特にマージから夜ふかしは多数の広告を出すためなら内容の使い回しはもちろんAIイラスト、パクリ、他言語の画像使用すら厭わない姿勢には感服しました。広告は顧客に見られなければ始まらないとはいえ、ここまで大量の広告を出しまくれと世のマーケターは言うのだろうか?

・転生系広告が増加

 過去に登場していたゲームをそのままリサイクルしたような広告も多かった。例えば『ロストエデン:神力覚醒』の広告テンプレが『ダークオリンポス:闇の女神』の広告としてそのまま使い回されているし、『Land Arcana-ふしぎの大陸-』は『時計物語:リセット』のテーマソングや広告用画像を使い回している。
 ゲーム内容は一見異なっているように見えるが、ちゃんと両方遊んでいる人からするとゲーム内容まで使い回している面があるかもしれない。というか転生前も転生後も画面の方向を変えただけでどっちも放置MMOなんだから、かなり黒めに見てます。
 Z世代はタイパ、コスパを重視するとは言うが、まさかパフォーマンスを意識し過ぎて過去作の広告まで使い回し始めるとは夢にも思わなかった事だろう。というかこれらのゲーム、2023年の9月とかに登場したばっかりよ。

・NFTゲームの広告が増加傾向?

 すっかり生成AIブームに押し流されて話を聞かなくなってしまったNFTであるが、2024年2月は妙にNFT関連のゲームの広告が多かった印象がある。以前から広告していた『Project Xeno』『ファンキル-オルタナティブ・イミテーション』だけでなく、新規タイトルとして『ラストメモリーズ』『THE LAND エルフの森』などが新たに広告をやっていた。
 いくらAIブームが来てNFTジャンルの鮮度が落ちたとしても一度開発を始めたゲームのリリースは止められないのだろうが、それにしてもここまでNFT関連のゲームが多数出てくる事があるか。
 大体NFTのゲーム広告はゲーム本編の内容以上に口を揃えて「儲かる」「稼ごう」みたいなワードが出て来るんすよね。とはいえ最近のゲーム広告も口を揃えてガチャ数自慢やプレゼント自慢をしているわけだし、大差ないか……

・ルーキー級の注目タイトル

・マージから夜ふかし

 2月の広告振り返りの何がしんどかったって、探しても探してもマージから夜ふかしの広告しか出てこない時期があった事。それくらい自分のXにはマージから夜ふかしが広告枠に登場して、でもさすがに星矢ジャスティスほどじゃないだろうとタカを括っていたら100個以上使い回したり別の広告にしてたりするんだもん。さすがに飽きてくるって。
 キノコ伝説の広告が大成功した印象の強いJoy net gamesであるが、マージから夜ふかしの広告に関しては多分大失敗だと思う。120作以上広告を出しておいて俺以外に「あの広告さすがに多すぎじゃない?」という風評も聞かないし、いいねもRPも両方0の広告が量産されているんだよ。それだけ広告を出してくれるんだからイーロン・マスクからは嬉しい顧客だったと思うけど、見る側も広告する側もしんどい思いになるゲーム中々無いって。
 とはいえJoy net gamesの考えてマージから夜ふかしで試した現代のスマホゲーム市場必勝法は、「広告戦略とかどうでも良いからとにかく広告を出しまくってみよう」なんじゃないかなと思います。そうじゃなかったら使い回しと生成AI、そして浅いパクリしかないゴミの山みたいな広告を出しまくるはずが無い。もちろん数も大事だけども、内容も同じくらい大事だと広告を見るYAKISOBAは思うよ。

・キノコ伝説

 しょうもない広告しかやっていなかったマージから夜ふかしに対して、広告自体の面白さと、充分な注目を集めるのに必要な量の両立を果たしていたのがキノコ伝説だと言える。
 Youtube、X、Tiktok、バナー広告と全ての媒体でキャッチーな広告を行い、2024年上半期の名言『キノキノは遊ばない』と名主題歌『キノコ勇者』という二重の大ヒットを果たした。しかも東雲うみやワンワン咆哮ニキのようなメイン役者だけでなく、ゆんみちゃんねる、ゆでたまちゃんねる、竹達彩奈のようなインフルエンサーにも広告を依頼していて、過去の様々な広告でウケた事を全部やった。2024年最新版ウケる広告カタログと言っても良いレベルのバリエーションと形容して差し支えない。
 ネットミームに乗っかってヒットした広告は数あれど、ネットミームを自ら創造出来た広告と言えばかの『魔剣伝説』『おねがい社長』『エバーテイル』の2021年広告三英傑クラスだけだろう。2024年の伝説になる存在はもう決まってしまったかもしれない。

・東京ディバンカー

 2024年2月に登場し、にわかに『エバーテイル』の再来なのではないか? と噂される最新タイトルが東京ディバンカーだ。
 露骨にエバーテイルな演出、明らかにエバーテイルで使っていたエフェクトの採用、過去のエバーテイル広告との関連性……またあのエバーテイルブームが帰ってくるんじゃないか? と期待が高まりつつある。
 女性向けゲームの広告を見ていてもここまでホラー要素を押しだした広告は珍しく、何か新しい着眼点が見つかれば一瞬でキノコ伝説を上回るかもしれない予感を感じるのは間違いなくこれ。本番は4月以降になるだろうが、期待して待とう。

・ミドル級の注目タイトル

・Temu

 なんだか怪しいショッピングサイト、Temuの広告もよく見かけた。画像の構図もある程度定めつつも新しいチャレンジを欠かさず、より注目を集めるような広告を作ろうとする気概を感じます。
 Temuに対して怪しい怪しいと言っているのも少なくなってきた気もするが、海外通販は何で個人情報を抜かれたとか、商品にトコジラミがついてきたみたいなイヤな前科がある場合が多いんでしょ。そういう所でチョイ悪アピールしたい下心でもあるんですか?

・DOPA!オリパ

 オリパの広告が増えただけでなく、露骨にギャンブル的な表現を始めたのは多分2024年の2月が境であると思います。脱!競馬だの、課金をオリパに入れようだの、最強甘デジオリパだの、いよいよギャンブルらしさを隠さなくなってきた。
 最近は商材をポケモンカードだけでなくワンピースカードにしている場合も見受けられるようになり、もはや儲ける事が出来れば何でも良いとでも言いたげな雰囲気を感じます。タピオカ屋が一気に増えて消えたような金儲けブームになってしまうのか、それともポケモンパワーでしばらく続く商売になるのか。新装開店したカードショップに行くとポケカとワンピしか置いて無くてガッカリするような事も多い昨今、今後の動向が気になります。

・漫画村を作ろう

 バナー広告やXの広告でも目撃例がある問題児、「漫画村を作ろう」のYoutube広告は見逃せない。違法行為を推奨するような広告が配信されているシステムの是非は問われるが、それはさておきこのYoutube広告で流れてきた広告に関しては中々独自性があると言える。
 他に存在するプログラミングスクールとの差別点として、星野ロミという人物が掲げるキャッチコピーが「国際指名手配されてもプログラミングが出来るから飯に困っていません」だからヨソとは一味違う事が分かりやすい広告である事は認めなければならない。何でも良いから金を持っている人間が正義だと考えていそうな野心家の方々には刺さりそうな文句が続くのはとても現代向きな広告だと思った。
 内容を素晴らしいと褒める事は出来ないけども、こういう自己アピールのやり口があるという事は一度チェックしておくべきだろう。もしこれが上手く行ったら、星野ロミ式の広告が世に溢れるのは想像に難くない。

・ウルフゲーム:ザ・ワイルドキングダム

@ウルフゲーム

大自然の中で生き残り、そして強くなる!

♬ Promoted Music - ウルフゲーム

 子供の狼がカンガルーの群れにタコ殴りにされて、血まみれの子狼に尿をかけるという衝撃的なスタートがXで話題になった。だが話題になった切り抜きは最初の乱暴な描写のパートだけで、本来後半に存在する逆襲パートを取り除いているのがミソ。
 逆襲パートを取り除いて下劣で救いの無い切り抜きにした方が話題になっているというのが切り抜きによる二次拡散の面白い所。現代において広告を見る人は少ないが、「品性を疑う海外製クソ広告」というサンドバッグであれば人は広告を見る。であれば、最初の10秒程度だけを切り抜き拡散させるために衝撃的な絵面の広告を作るのは昨年に引き続き有効な手段だと言えるだろう。
 特にウルフゲームは2023年も獣人女同士の性描写や、弱い狼の暴力描写などで二次拡散を成功させた実績がある。今後も広告本編を見せると言うよりも、広告の切り抜きで話題になるパターンが多そうな広告である。

・ライト級の注目タイトル

・東洋水産株式会社

 いわゆる恋愛リアリティショー的な映像ながら、男女の中に赤いきつねが混じっているという奇妙過ぎる絵面が面白い長編広告。
 赤いきつねをかぶっている何者かがきつねという名前でそのまま登場人物になっているし、シソンヌ長谷川を除く登場人物全員が何の違和感も覚えずにきつねを男子大学生として見ているのが面白過ぎる。
 いわゆる日清系の一瞬で話題を持っていくタイプの広告では無いんだけど、全部見たくなるストーリーがある、見ていて面白い広告と言う意味では東洋水産も素晴らしい力量があると再認識しました。健全ながらオススメな広告です。

・マネードクター

 保険や税金などの金銭問題をファイナンシャルプランナーに無料で相談できるサービスの紹介なのだが、30秒にメチャクチャなストーリーを収め切った手腕が見事。
 AIと結婚した男に娘が生まれる衝撃的な摑みから始まり、AIが愛を語る意外性あるシーンから赤ん坊が愛で解決出来ない金銭問題を説く意外性あるシーンに繋がって、その全ての疑問を赤ん坊が目からビームを放つというメチャクチャなオチによって全部解決しているように見せるという力技に次ぐ力技で物語を成立させてしまっている。このゴリ押しぶりは他の広告では中々見られません。
 いわゆるツッコミ不在のギャグマンガのようなノリを30秒の広告に収めてくるのは実に見事。最近の怪しいソシャゲの広告よりもよっぽどパンチのある広告なので、健全系だと思って油断せずに見て欲しい一作。

・FODプレミアム

 夢グループを採用すれば面白い広告になる、という事で雑に起用されがちな夢グループのお二人であるが、その役者パワーに頼り切りにならずハチャメチャなストーリー展開をやってきたのがFODプレミアムのすごいところ。
 広告として優れている点として、まずサービス内容の紹介は夢グループの二人が普通にやっているのが良い。ボケに走る前にちゃんと商品を紹介するので、「いつもの夢グループの広告なんだな」と視聴者が油断して広告を見てしまう。
 それで最初の広告パートの中にさりげなく挟まれている伏線、違和感を回収して怒涛の展開に向かうのだが、真面目に広告をしている事によって後半のふざけた映像が映えるのである。これを忘れて雑にふざけて俺は面白いだろう、とやっている健全な広告のいかに多い事か!
 広告役者として一定の知名度を誇る夢グループの石田社長、保科有里だからこそ出来た映像。これも是非一回見て欲しい優れた広告です。

・マスター級の注目タイトル

・Hero Wars

 Hero Warsも冒頭15秒の魔術師感はあるのだが、最近のHero Warsはストーリーにも凝り始めているから見ていて飽きない。数字を比べるパズルだけでここまでストーリーを作れるのは世界広しと言えどもHero Wars以外にはいないと言って良いだろう。
 
Hero Warsは冒頭をエロ性癖か見た事の無いクリーチャーで釣って、後半はいつもの数字比べというパターンが多かった。そこでストーリー要素を追加するのは2023年12月くらいからのブームだったけども、そのストーリー要素も結構意外性があって面白いのだ。
 2分くらいある長尺の広告が大半ではあるけども、それを飛ばされない強烈な摑みと面白いストーリーの両立はHero Warsならでは。今後も期待しております。

・パニシング:グレイレイヴン

 パニグレはたまに見るとすごく凝っていて、ドラマチックなキャラクター紹介PVを広告で見せてくるんだから油断ならない。原神や崩壊:スターレイルなどHoyoVerse勢の映像ももちろん素晴らしいんだけども、パニグレの方がキャラクターに伴うストーリーを上手に描いているように見えた。アリサ・エコーの明るい過去が影絵や歌劇的な足取りによって効果的に演出されており、そこから転落し最後の決意的な一枚絵、現在の彼女に繋がるようによく計算された動作になっている。
 もちろんゲーム本編の映像もたっぷり1分間見せているので、広告としてもよい。1人で2名のキャラを動かすようなキャラだと言う事が分かりやすいし、ストーリーPV側で登場しなかった姉さんが何者であるかという謎を残しておく事でゲームをやりたくさせる引きも作っている。
 キャラクターを魅力的に見せる広告という意味ではやっぱりパニグレが一番上手いと自分は思う。良い映像でした。

・2024年2月のMVP

 2024年2月のMVPはキノコ伝説です。
 さすがに2024年1月~3月の広告を語る上でキノコ伝説ほど一大ブームを巻き起こした広告は他に無い。「キノキノも遊ばない」「キノコ勇者」「遅れて申し訳ございません」といった様々な手札を自在に扱い、キノコ伝説の知名度を大きく高めた。その上実際に売上も上がっているようなので、今一番勢いがある広告だ。
 2024年の台風の目として、今後の広告にも期待出来ると言えるだろう。

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