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マーダーミステリーとロールプレイ

あけましておめでとうございます。
2022年もTRPGを中心としたアナログゲームにまつわる話をちまちま書いていきます。

話は若干遡って2021年末、初めてマーダーミステリーと呼ばれるゲームをプレイしました。タイトルはグループSNEの「何だって青い月に火を灯した」です。

これがなかなか秀逸な作品で、メーカーの想定時間は150分とありましたが、大半がマーダーミステリー初めてというメンツ(私を含む)と、その後の感想会で結果的に5時間ほど盛り上がりました。

ここで2人のマーダーミステリー経験者をお迎えしたのですが、まず驚いたのは極自然にロールプレイが発生したことでした。

ロールプレイとはという話になりますが、大枠で2種類に定義します。

まずは広義な意味でのロールプレイ。「役割を演ずる」の名の通り、例えばファンタジーTRPGで言うのであれば「ファイターとしての役割」「クレリックとしての役割」という風に、ゲーム内でそれぞれの「役割」が設定されています。D&DやSWなら「クラス」、クトゥルフで言うなら「職業」がそれに当たるでしょうか。それぞれの立場や為すべきことに従って、ゲーム内でPCを動かします。これを広義のロールプレイとします。

さてでは狭義のロールプレイとは何かとすると、それぞれのPCには個人的な情報が設定されることが多いです。それが生い立ちであったり、性格であったり、求めるものであったりと個人的な属性に立って、それに応じて動くというもので、その中に「そのPCになりきる」というプレイ方法があります。

この狭義のロールプレイには「PCになりきって発言する」要素が入ってくることがあり、これが得意な人と苦手な人に分かれます。私もどちらかというと、このような即興演劇的なロールプレイは苦手なため、あくまでPCとしてどういう言葉を発するか、どういう行動をするかを、客観視点から述べることが多いです。

驚かされたのが、先日のマーダーミステリーで経験者がこの「狭義の意味でのロールプレイ」をさらりとやってのけていたことです。ルールブックにはロールプレイに関する説明は無かったと思うのですが、ゲームとして自然とそれぞれのキャラクターになりきって発言をされていました。以降、ロールプレイという言葉はこの「狭義のロールプレイ」を指し示すと思って下さい。

ここに私は新鮮な驚きを感じました。
TRPGではないし(近いゲームであるとは思いますが)、またロールプレイというものが設定されているわけでも無いのに、調査フェイズで自然に出てくる(狭義な意味での)ロールプレイ。これにマーダーミステリー初参加者が引っ張られていきました。

世の中にどのくらいマーダーミステリーのシナリオがあるか分かりませんが、多分多くのマーダーミステリーでロールプレイせよとは書かれていないと推測します。

それでも自然にロールプレイが実行される。
ロールプレイを否定するつもりはなく、上手く機能するとストーリーにより厚みが出ます。

しかし誰もがロールプレイ慣れをしているわけでは無く、マーダーミステリーもTRPGも経験が少ないと言う人に取って、ロールプレイでゲームを進めていくのは少々荷が重いのでは無いかと感じることもあります。

異性のロールプレイに特にその傾向が感じられることがあります。
不思議と女性が演じる男性PCにはそれほど違和感を感じないのですが、その逆である男性プレイヤー演じる女性というのは、よほど演技が上手くないとかなり違和感のあるプレイになります。

ただ、その時のマーダーミステリーをプレイして思ったのは、「マーダーミステリー界隈でもロールプレイは普通に行われているのだな」という軽い驚きだったのです。

慣れの問題も大きいのですが、皆さん異性PCのロールプレイをすんなりプレイできますか。私にはなかなか障壁が高いです。今回のゲームではGMから「ロールプレイしてください」という指示は無かったので全員がロールプレイしたわけでは無かったのです。

GMとしてシナリオを進める時などは女性NPCを動かす必要がありますが、特別声色を変えたりしたりはせず、比較的軽めに台詞を発した後で「みないたことを言います」と添えておきます。

TRPGのリプレイ本などを読むと、PLの地の発言とPCとしてのロールプレイの境界が曖昧でどこからがロールプレイなのかが分かり難くありますし、あるいはロールプレイの間にメタゲームを挟んでいるという意味合いにも取れます。

ロールプレイの問題は何も今に始まった事では無く、TRPG黎明期から続く問題だと言えるでしょう。しかし一人称でPCになるのも面白いことであることは留意すべき事柄で、ロールプレイが大好きという人を否定するつもりは全くありません。

ぶっちゃけた結論を書くと「面白ければ何でも良い」という、いつものかつありきたりな結論になってしまうのですが、ロールプレイ慣れしていないと、初めてロールプレイを目にした初心者の方は「何これキモい」と感じる人もいるかもしれませんし、実際にそういう理由でTRPGの入口を通った後でそこからすぐに引き返したという人もいます。

TRPGにおけるロールプレイをする上で留意しておくべきは、なるべくプレイヤーの好みをマシマシにしないことでしょうか。Vtuberと違ってボイスチェンジャーを使ってバ美肉にはなりはしません。あまりに自分のツボを盛り込みすぎた上でそのキャラクターをロールプレイすると、逆に「そんなヤツはいない不自然さ」が強く出てしまい、拒否反応が返って気やすくなる感じがあります。

何やら纏まりが無い文章になってきましたが、TRPGにせよマーダーミステリーにせよ最初からゴリゴリにキャラクターなりきりになる必要はありません。気楽にゲームに参加できればいいと思います。慣れてきたら場に華を添えるくらいの感覚で良いと思います。

何を危惧してこの文章を書いたかと言えば、「ロールプレイに拒否感を感じる人もいる」ということを気に止めておかねばならないということです。できれば事前にどのくらいロールプレイするかの合意は握っておいた方が良いということです。それさえできれば後はどうにかなると思います。先日はそれが無い状態でいきなりロールプレイが飛び出したので、TRPGでもないのにロールプレイするんだ!という軽い驚きが今回の記事の発端でした。

一時期は(今でも?)TRPGではロールプレイすることが前提という風潮が強かったため、それを強制された方もいらっしゃるかもしれません。楽しみ方は十人十色であることを主張しておきたいと思います。ロールプレイを積極的に楽しみたい人、苦手意識を感じている人、いろいろいます。それらの人たちが卓を囲ってもお互いが互いを尊重し合えれば楽しいゲームになると思うのですが、いかがでしょうか。

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