2020年公立入試社会を解いてみて

早くも関東では公立入試が行われました。来週には東京でも行われます。
今回は、昨日までに行われた千葉県(前期)と神奈川県の公立入試を解いてみた率直な感想を述べたいと思います。また、残りの期間でどうしたらいいかを考察したいと思います。もし、問題などを参照されたいかたは教育委員会のサイト及び東京新聞のサイトから取ってください。
無料公開です。よろしくお願いいたします。
ただし、解説パートではないのでその辺りはご了承ください。

千葉県の公立入試

解いてみた率直な感想は、資料読解についての問題が少し面倒だったこと、年号は選択肢の年代がかなり近いことなどが挙げられます。記述問題については定番問題ばかりだったので解きやすかったと思います。
あとは正誤問題では語句と内容・時期の関連知識がいかに押さえられてるかで判定の有無が分かれると思います。また、共通テストを意識した問題も何問か散見されました。

難易度としては標準と見てます(昨年度の平均点が56.6点)が、点数として平均点は少し上がると思うが、60点前後とみてます。後期については去年はやや易に変わってるので、後期は少し平均点を下げてくる可能性はあります
勿論、上位校や難関校については大問1の3と4、大問2の4①、大問3の5、大問4の2、大問6の2と3、大問7の1あたりの出来不出来で大きく点差がつくと見てます。

もうひとつ特筆するのは、今までの公立入試では聞かれなかった語句がでてきました
千葉県については、大問7の1でのイの選択肢で出てる国選弁護人の話です。
本来は、選択肢として保留にして解くのが鉄則ですが、国選弁護人の話がわからなくても、裁判の種類と弁護人をつける話がわかれば判定は出来ます。
弁護人をつけるのは、刑事裁判の時は必須となります(弁護人をつけられない場合に限り裁判所は国選弁護人をつけないといけない、とされてます)が、民事裁判についてはつける必要はありません(離婚裁判などでは弁護士をつけてるイメージがありますが、義務ではありません)。そのため、民事裁判については国選弁護人がつくことはありません(そのため、弁護士をつけられなければ自分で全てしなければなりません)。

このように、今までnoteに投稿してきた話が公立入試でも使われてます。まだ見てないかたは過去のnoteに投稿してる究極のTacticsシリーズをご覧ください

神奈川県の公立入試

昨日行われた神奈川県公立入試を今朝がた解きました。少しあやふやになってた部分、読み間違えた問題もありましたが、昨年比較でいくなら、標準かやや易になる(全体として50点前後になる予想)のでは、と思います(昨年平均点が42.5点でした)。
ただし、史料と時期の背景などがわからないと判定が難しかった問題がありました(二条河原の落書の史料と内容の整合が必要になります)。
そして、「割合に騙されるな!」と言ってた話がなんと2問も出ていました。そのため、数値と割合の違いを明確にしておかないといけなかったと思います(といってもそこまで難度は高くなかったと思います)。

点差が分かれるところは、大問1のエ、大問2のアとウの3、大問3のエとオ、大問5のイの2、ウの2、大問6のアの1辺りだと思います。

まず、地形図の問題で1辺の長さの縮尺問題が出ました。

1辺の長さが8㎝の一万分の1の地形図が25000分の1の時だと1辺の長さはいくらになるか。(2020年神奈川県入試問題より)
ア 2.6㎝ イ 3.2㎝ ウ 10.2㎝ エ 20㎝

この問題は、1/10000:8㎝、1/25000:x㎝という関係を比で表せば解決します。
つまり、8:x=5:2(5:2は1/10000と1/25000を整数で表しただけです)の計算となり、計算するとイの3.2㎝となります。
ウとエについては即×にします(縮尺の分母が大きくなると長さは短くなるため)。あとは計算ですね。
公立入試でもこのような計算は時々出ますので、気を付けてください(前のnoteにある計算問題の話でもこの事は触れてますが、具体的な解き方は教示してなかったと思います)。

もうひとつ、今年新出で出た語句が検察審査会です。ここはワークなどでもあまり触れない内容なので、教科書によってはスルーされてることが多いです。用語集には出ているものの、頻度は高くなかったです。

検察審査会
・検察官が不起訴処分にした事件に関して、国民の意思を反映させてその適正を図るための機関。c頻度
(『中学詳説用語&資料集社会』 受験研究社より)
・被疑者が検察官によって起訴されなかった場合に、それがよかったかどうかを国民から選ばれた検察審査員が審査する組織。発展頻度
(『中学社会用語集』 旺文社より)

用語集には上記のように書かれてますが、普段の学習ではスルーされる可能性がある語句になります。
なお、検察審査会ですが、有名な話が2018年の佐川元国税庁長官がやった森友・加計事件で行った財務省絡みで行った文書偽造問題です。このときに最初は不起訴不当として検察審査会が開かれましたが、結局不起訴になりました。あのときにでてきました。
ですが、頻度の低い語句などは最後に確認する必要はあります。しかも、今年の入試でこのような語句が出ているのなら、他府県でも警戒は必要になります。最終チェックの際に時事関連の語句も確認しておいてください。
近年ではワークライフバランス、ユニバーサルデザインなども注意が必要です。

これから入試に臨むかたへ

では、これから公立入試に臨まれるかたはどうしたらいいか?今までに自分が解いた問題で正答率の低い問題形式を総チェックしてください。一問一答や短文記述の問題などのチェックも悪くないと思います。過去問演習などで時間のかかったところや知識が定着しきれてないものの補完を確実に行ってください。
記述問題については、資料の読解と関連知識・背景知識などの定着も図ってください。時事的要素を背景知識に使ってくる記述問題も公立入試では出てきます。そのため、周辺知識・関連知識・背景知識が十分でないときは、それらを強化してくださいを
ここで新しい問題集に手をつけるのは好ましくないです。ですが、総合問題集をあまり解いてない人はページの薄い問題集を一冊仕上げるのはアリですが、200ページもある問題集を買うのは好ましくないです。が、解き方が定着できてないかたは、『解き方がわかる問題集』(旺文社)辺りを使って仕上げてもいいと思います。

大事なのは、「今までやって来たことに対して自信を持って、悔いを残さずにベストを尽くす」ことです。残り少ない期間でも出来ることはあります。焦らずしっかりと仕上げてください。
そして、僕のnoteにある究極のTacticsシリーズの投稿をしっかり読んで実践してください。もしかしたら、あと5点、10点上がるポイントが眠ってるかも…です。

CAMELの映像授業を使われてる方へ

僕の歴史講座を見ていただくとわかりますが、ほとんどの内容については説明をしています。通史では触れてなくても、テーマ史では触れてるところもあります。今からでも通史講座、テーマ史講座、演習講座などもう一度復習してください。そこには問題解決の糸口がたくさんあります。
そのため、定着の弱い単元の復習、総チェックのための一読など出来ることをしてください。そして、CAMELの授業を信じてください
奇跡は起きるものではない!自らの手で起こすものだ!
この気持ちを忘れずに頑張ってください。

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中学社会・日本史講師吉野@予備校講師
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