2021年共通テスト第一日程 大問3・4
先ほどの続きとなります。
■問題の概略
大問3は「中世の都市と地方の関係」がテーマになります。となると、当時の生活や民衆についての話が中心となると思います。今回は真国荘の読み取り問題も出ていますが、内容さえわかれば正答を出すのは難しくないです。
大問4は「儀式や儀礼」という特殊テーマで出題されています。実際は直接関係ある問題は少ないですが、問1は図と説明文を照合して答えなければなりません。つまり、使える知識にしていなければ正答につながりません。後半は史料読解2連発です。ここでの読み取りに苦戦した場合、時間に追われた可能性はあったと思います。
■大問3 解説
それでは、解説に行きましょう。
難易度:標準(代々木ゼミナール公式サイトより引用)
問1(1) 二文章正誤問題です。こういった問題は、史料をじっくりと読むこと、注にも気を配ること、この2点を意識してください。XについてもYについても、じっくり読むと正文と判定できます。Yについては、注3・4を理解すれば判定できます。僕はここの読みが甘かった(解釈が少し弱かった)こともあり、正文と判定できなかったです。史料問題は大意を掴めばいいです。
問1(2) 今回は図の読解を説明する組合せ正誤問題です。意味が分からない場合は、(1)の史料に説明があるので、それと合わせて使うといいでしょう。XもYも牓示の置かれている場所が分かれば、あとはそれらを結んでいくといいでしょう。そうすると回答は容易に出せると思います。
問2 単純正誤問題です。今回は明らかな誤文があるので、そこを見つけるといいでしょう。この形式は普通にセンター形式の問題なので、正答率は高かったはずです。②の六勝寺は京都に建立されています。六勝寺の一つである法勝寺は白河上皇が建立したものとわかれば、京都にあることは容易に想像できます。
問3 年号並び替え問題です。今回の注意点は、それぞれの一揆が起こった順番が分かるかどうかです。これは通史でも普通に扱う内容なので、この並び替えは判断しやすいと思います。ただ、今回は時期が非常に近いので、ⅠとⅡの時期には気を付けてください。
山城国一揆は1485年で、応仁の乱が終わったのちでも対立が続いていました。加賀の一向一揆は1488年です。正長の土一揆は1428年で、土一揆の最初とされています。今回問題にはなっていないものの、嘉吉の徳政一揆(1441)も合わせて押さえておきましょう。正長の土一揆と嘉吉の徳政一揆の共通点は将軍代替わりの際に起こった一揆であることも押さえましょう。
問4 語句組合せ問題です。この形式も過去のセンター試験では出題がありました。これはキーワードを見つけて判断するのがいいでしょう。
Xは連歌より宗祇です。西行は「山家集」という歌集を編纂しています。Yは地方で製造された陶器から瀬戸焼です。赤絵は江戸時代前期に酒井田柿右衛門が完成させたもので、「色絵花鳥文深鉢」などが代表的なものです。
■大問4 解説
続いて、大問4の解説に行きましょう。
難易度:標準(代々木ゼミナール公式サイトより引用)
問1 二文章正誤問題です。今回は殿席に関する問題です。あまり聞き慣れない問題ではあるものの、図をしっかり見ること、補足説明を見ることで判定ができます。大奥に近いところには譜代大名が中心になっています。また、日米修好通商条約のときに大老を務めた人物(井伊直弼)と徳川斉昭がどの立場の人間でどの殿席に待機していたのかが分からないと解答に繋がりません。井伊直弼はAの殿席に待機してました。徳川斉昭は御三家の水戸藩の人なので、Eの殿席に待機してました。
問2 年号並び替え問題です。今回はどれも武家諸法度の内容が分かれば解ける問題です。悩んだのはⅠの時期だと思います。大船の建造禁止自体は1635年の寛永令の話ですが、解禁となるなら、幕末期の話だということが分かると思います。Ⅱは天和令、Ⅲは寛永令です。史料で出ていないからといって、史料の学習をしなくていいわけではありません。
問3 江戸時代の対外関係を問う単純正誤問題です。今回の正誤文の作られ方は、今までとは少し異なるため、気を付けないといけません。しっかりと読み取らないと思わぬ罠にかかってしまいます。
➀は朝鮮通信使の説明ですが、通信使は朝鮮から江戸にやってくるものです。将軍が朝鮮へ遣使を派遣したわけではありません。この文章は表現正誤の問題です(要は言い回しで正誤判定を行う)。今までのセンター形式でこのような正誤の作られ方はありませんでしたが、遂に出てきたので、今後の正誤問題についても気を付けなければなりません。②も表現正誤です(やや内容正誤ではある)。これは外国の情勢を知るための風説書なので、これでは役割が逆になります。③は正文です。慶賀使(将軍の代替わり毎に琉球王国から派遣された遣使のこと)と間違えないようにしましょう。④は難しいと思いますが誤文です。松前奉行が設置されたのは1807年です。つまり、アメリカではなくロシアとの緊張です。それを受けて幕府は松前藩を幕府の直轄地にしたり、蝦夷地の探索を行うようになったのです。幕末に設置されたのは函館奉行となります。
問4(1) 今回は史料を読解する形式の単純正誤問題です。よく読めば正答にたどりつけると思います。臨時の休日を設置したいときは、町役人に申し出て、領主にお願いして休日の申請を行う、とあります。
この問題では②と③がそれぞれ相反します。よく、似たような選択肢がある場合はどちらかが誤文になる、というテクニックはあるのですが(使えないとは言っていない)、ここではそんな解説はしません。
問4(2) 組合せ正誤問題です。これもよく読まないと判定に困ることになります。
天皇誕生日には天下の刑戮差し停められ、とあり、毎年の天皇誕生日に群臣に酺宴を賜い、とありますので、そこから正誤判定はできると思います。その後、後半では衆庶と御慶福を共に遊ばさせられ候、とあるので、庶民に天皇誕生日を共に祝おう、と解釈できます。
■史料読解が非常に多い
今回は、史料読解が多いため、正確に注を読めたかどうか、が正答率に差が出ると思います。詳しいまとめは後に記事にしたいと思います。
→続く