全国公立高校入試平均点より

現在、中学社会紙面講義を行っています。ここ近年で社会の問題は難化してきています。ですが、未だに平均点60点以上を超えているところもあるのが事実です。今日は、調べ上げたデータをもとに、今後の学習の参考となる話をしたいと思います。
今回も無料公開です。指導者の皆さまは、この平均点を参考に過去問演習と他府県演習をしていただけると幸いです。正答率については公開しているところとしていないところがあります。下記のサイトでまとめているところがありますので、参考にしていただけると幸いです。
なお、読者の方で未公開の平均点データをご存知の方がいらっしゃいましたら、コメントなどで情報提供していただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

■全国公立高校入試平均点データ

では、さっそく下のデータを見ていただきましょう。なお、こちらはエクセルの2010版を使っています。文字化けなど起こす場合はお手数ですが、対応できる機種で使ってください。
なお、ダウンロードは自由ですが、目的用途以外での使用、転売等はご遠慮ください(使われる際はスキ、サポートをしていただけると幸いです)

色付けの基準ですが、オレンジで塗っているのは平均点が60点以上ある、紫で塗っているのは平均点50点未満であることを表しています。
また、文字の色塗りしているものは、赤が昨年比で+5点以上、青が昨年比で-5点以上あるものです。
平均点の部分が灰色で塗られているのは、平均点公開がされていない且つデータがないもの、ブルーになっているものは、平均点公開がされているが、現状データが見つからなかったものを表します。この部分の点数をご存知の方がいらっしゃいましたら、情報提供、よろしくお願いいたします。

ここからわかることは、2020年の公立入試ではいくつかの府県で難易度が急激に変わったところがあります。その傾向は2017年の公立入試から起こっているところもあります。
最初に難化したところが滋賀県です。2014年の公立入試で制限時間40分で文章記述問題が問題数の半分出されたことで時間制限に追われた受験生が続出してしまいました。その後、2015年は制限時間が50分になったものの、100字論述問題が出てきて受験生がさらに大混乱しました。その後も字数制限はなくなったものの記述問題の出題が増えたことでさらに難問となりました。滋賀県が難問となったことで、それに追従したのが広島県です。滋賀県と出題形式が近い関係なのが理由でしょう(あとは鹿児島県も)。それが2017年の入試に大きく影響を出しています。何と、平均点が40点を下回りました。公立入試問題で平均点が40点を下回るのは相当難問とみていいと思います。そして、2018年では平均点36点となり、全国でも有数の難問となり、対応が迫られました。

そんな中、2020年では今まで平均点が70点前後あった富山県でも60点に下がりました(これでも全国平均でみるとまだ優しい方)。ですが、高知県が2020年の公立入試で40点を下回りました。高知県についてはこの問題を地理で考察しています。

しかし、高知県で一番正答率が低かったのは歴史でした。特に近現代の正答率は全国的によくありません。公立高校紙面講義で歴史の部分を見ていただけると、あるところで正答率が一気に下がっています。そして、その原因を僕はnoteでも投稿しています。
今までは歴史で得点を取れないと点差を付けられてしまう、ところでしたが、近年では、歴史の出来が点差を分けてしまう、そして合否を分けてしまう、ということになります。

■全体平均点もそうだが……

全体平均点もそうですが、歴史での正答率が下がっています。小問ごとでは記述問題の正答率が低いのですが、歴史はそれに加えて年号並び替え問題での正答率が低いことが分かります。今では地理の方が正答率が高くなっています(僕も今は点差がつくのは世界地理といっていましたが、近年は歴史の出来が合否を分ける可能性が高い、といっています)。ですが、社会の講師でありながら、僕は英数の時間を優先させます。私立入試では学校によっては3科目のところが多いからです。それゆえ、理科・社会では時間をあまりとりすぎないように指導しています。ただ、隙間時間を有効活用しないといけません。

これについては、受験生の質の変化、学習方法の変化などが原因だと思います。ここ近年、楽して点数を取ろうとする人、合格点が取れればそれでいい、などという指導が出ています。確かに、志望校に入るためには合格点が取れればいいです。しかし、これは僕も経験したことですが、そういう目標を立てた人の半数は、その先で躓くことが多いです。高校学習の変化に追いつかなかった人がその後食らいつけるかどうかが大きなポイントとなります。このような指導をしがちなのが、高校継続を意識していない塾(高校部を設立していない)です。近年は大手塾でも高校部設立の動きが増えています。その理由の一つとして、受験生の現役合格志向が高まったことがあると思います。

今回はデータ面を中心に話しているので、その後の話は別の機会で話したいと思います。

■正答率も見ておいた方がいい

講師陣として、平均点に注意を向ける人が多いですが、個々の正答率も見ておく必要があります。上記のサイトから見ていただけたら、と思います。

これは社会に限らずどの科目でも同じです。どういう問題形式が正答率が低いのか、どういうタイプが正答率が低いのか、個々の問題のチェックもしておきましょう。
社会に関しては、上記の記事で載せています。単純知識の正答率(選択肢・記述も含む)は高いものの、年号並び替え問題、文章記述問題、近現代の正誤問題あたりの正答率は低いです。こういう問題を少しでも正答率を上げてほしいと思い、現在、紙面講義を行っています。そして、年号並び替え問題は問題の形式が前近代と近現代で出題の形式が多少異なります。こういうことを知っておくだけでも、問題の取り組み方やアプローチ法が変わります。それだけでも正答率は上がります。こういうことも知っておくと類題問題等でも対応しやすくなります。

今はいろいろな学習法や高校生活の心構えなど充実してきています。色々な情報が出ているのは事実ですが、その中で、自分に合うやり方(楽な方法を除く)を見つけて実践してください。

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中学社会・日本史講師吉野@予備校講師
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