落ちサビ下転調概論
お疲れ様です、ハマダです。突然ですが、落ちサビ下転調というものをご存知でしょうか?
この曲の3:50頃からのやつです。
最後のサビを盛り上げるために上のキーに転調する手法がありますが、これを発展させたものが落ちサビ下転調です。ラスサビの前にある落ち着いたサビ、所謂落ちサビでそれまでより低いキーに転調し、最後のサビで元のキーに戻ることで盛り上げる効果を得つつ元のキーに戻るカタルシスもあり、シンガーにも優しいテクニックです。ありがたいですね。
僕自身もよく使うのですが、落ちサビでどれくらい下げるのか、どうやって下げるのかが意外と書かれてないかもと思い、自身の整理も兼ねてこのnoteを書きはじめました。落ちサビ下転調をはじめてみたい方の参考になれば幸いです。落ちサビ下転調をやりたくない方は鼻ほじりながら読んでください。
前提
ある程度の作曲やコード進行に関する知識についての説明は省きます。インターネットにらそれらに関する素晴らしい記事、動画がありますので参考にしてください。俺はいきいき音楽科の動画が大好きだ。(と言っても僕も全然理論知りません。ガハハ)
僕が把握してる転調に関する知識といえばこんなもんですし、ちゃんと知ってる人からしたら怒られそうなことを書きますが、逆にこれでも曲作れるんだ〜ぽよ〜と思っていただければ…
1.同じコードを経由して異なるキーに移動できる
転調ってほぼこれですよね、詳しくは(以下略)
2.機能を維持したまま異なるキーに移動できる
ラスサビで+1されるやつ大体これじゃないでしょうか。ミスチルのHANABIの「心であれたら〜〜〜あぁ〜〜〜」の「あぁ〜〜〜」とかですね。ドミナント(以降D)かトニック(以降T)をそのまま上にあげて多幸感爆発、みたいな使われ方が多い気がします。
https://youtu.be/oBPGEpe-Ars?si=2QIlgG26yIk_72H_
拙作「バグっちゃいそう!」という曲でも、Ⅱm7/Ⅴをそのまま+2させてサビのキーに繋ぐということをしています。因みにこれベース以外の音は転調前のキーにおけるサブドミナント→ドミナント動きをしつつ、ベースはドミナントが上のキーに移動する…みたいなことをやってる気がすると解釈しています。合ってるかは知りません。気持ちいいので使う、それが大事です。
そして、1サビの最後でキーA♭からAに転調しています。ここでもドミナントを維持してそのまま上に上がる転調をやっていますが、これはWiennersの「ドリームビート」という曲を参考にしています。そんなのありなんだ玉谷2060%先生〜〜って衝撃を受けた記憶があります。
バグっちゃいそう!はABから+2でサビ、+1で間奏、-3でABのキーに戻るという動きをしています。この動きめっちゃ便利で最近よくやっていますし、この後でも登場するので是非覚えてください。あと±3は転調させやすいということを頭に入れて頂いて、本編に入りましょう。
パターン別分類
さて、本題です。
落ちサビでキーを下げるの最高なのですが、作るときに①どれくらいキーを下げるか②どうやってそのキーに転調させるかが問題になります。特に②が難しく、作曲編曲家の方々はあの手この手でやってる印象です。てことで、下がるキー別に転調のアプローチをまとめてみたいと思います!いっくよ〜
落ちサビで-1するパターン
例1-1 -3→+2→+1
さようならのパレード/Wake Up, Girls!
間奏まではキーD、間奏でBになり落ちサビでC#になっています。元のキーから間奏で-3、落ちサビで+2、大サビで+1というめちゃくちゃ綺麗な流れです。
脱線しますが、私は-3の転調大好き人間です。なぜなら多幸感があるから。キーDで考えると、平行調のBmが長調になったのがBですね。つまり元のキーより明るくなったような印象があると思います。キー下がったのにね。不思議ですね。ハッピーな雰囲気出したい時は-3がおすすめです。
余談ですが、このnoteを書くにあたりTwitter(現X)で教えてツイートしたところ、作曲者の神前暁さんからこの曲をレコメンドして頂きました。そんなことあるんだ。
青春”サブリミナル” / =LOVE
サビがA、落ちサビがG#です。
落ちサビの直前、C#7→D#7の動きで接続しています。C#7はキーAのセカンダリードミナントであるⅢ7ですが、-3したキーF#のV7とも捉えられます。で、そのドミナントをそのまま全音上げてG#に転調してるのかな〜と解釈しました。違ったら教えてください。
その他の該当楽曲
ぼくらのうた/天晴れ!原宿
例1-2 +2→-3→+1
カレンダーガール / わか, ふうり, すなお, りすこ from STAR☆ANIS
サビがE、DメロがF#、落ちサビがE♭になっています。キモはやはり、Dメロに入る前の間奏部分、オンコードで上昇しまくる変な進行の部分ですね。ここで無理やりF#に繋げられてる感じがします。リズムも6/8になるし、間奏くる度に毎回「う、うわ〜〜〜!!」ってなります。この曲だけバカみたいな感想しか出てこんな。
例1-3 +3→-4→+1
Dear Shine Sky/吉武千颯
https://music.apple.com/jp/album/dear-shine-sky/1701251121?i=1701251122
自分の曲です、すみません。いい曲だな〜
ABがE♭、サビがF#で+3の転調をしています。で、間奏1がA(+3)、間奏2〜落ちサビがF(-4)、大サビがF#ですね。
以前のnoteでも書きましたが、間奏でヒロガリズムのフレーズを引用するためにキーFにいきたくてこのような転調になりました。間奏1ではSDのDM7から下降してA7に解決するのですが、最後のA7をキーFのⅢ7と捉えて転調しています。
例1-4 -4→+3→+1
Realize! / i☆Ris
https://music.apple.com/jp/album/realize/963997682?i=963997684
サビがA、Dメロ後半と間奏がF、落ちサビがA♭です。キーAからFへの転調の考え方はDear Shine Skyと同じですね。
例1-4 -1→+1
only my railgun / fripSide
転調前に無音の時間を作ってキーの概念を無くすという究極の方法です。これやったらどこでもいける安心感が僕らを強くしてくれます。この曲の場合は無音になりますが、グリッチとかビートだけになるのもよいアプローチになりそうですね。
誰もいない森の奥で一本の木が倒れたら音はするのか? ≠ME
この曲も該当しますが、ピアノのフレーズでうまく接続しているパターンです。
クロスハート1号線(advantage in a long time) / UNISON SQUARE GARDEN
Dメロから間奏にはいるときB→Cと接続しているのですが、これは+3するときと同じ動きなので"アリ"というか違和感のない動きですよね。AM7→B7→CM7→D7→Gなど)。で、このCが多分キーE♭でのⅥになってそうです。なので間奏の時点でもう-2していて、そのまま落ちサビに入っている感じですね。俺はCIDER ROAD初回盤についてるこの曲のライブ映像を擦り切れるほど見た。
落ちサビで-2するケース
例2-1 -2→+2
Alright!ハートキャッチプリキュア / 池田彩
サビがG、落ちサビがFです。
単純に-2してるだけ?と思うかもですが、Fになる前にM7を使ったツーファイブの下降アプローチを使って自然に-2に転調しています。ジャズとか渋谷系でこの動きよく見ますが、便利ですよねぇこれ。あとこの曲はサビメロの跳躍が良すぎる。
秘密♡Melody / 小倉唯
サビがA、落ちサビがGです。
こちらは落ちサビ直前「交差してく〜」でⅡm7/Ⅴを下降させるフレーズを使ってキーGにとってのⅡm7/Ⅴに着地させる手法が使われています。ここはかろうじて分かりましたが、他の部分のコードどうなってるかさっぱり分かりません。
桜花爛漫 / KEYTALK
サビがF、Dメロと落ちサビがE♭です。
これはもうシンプルに勢いで下がってます。強いていえば、キーFにとってのⅢであるAからキーE♭にとってのⅣであるA♭に半音下がるような進行になっているので違和感なく転調していますね。こういうシンプルなのが良いパターンもある。
落ちサビで-3するケース
先述の通り、±3は同種調の平行調への転調になるのでめっちゃ自然にいけます。
例3-1 -3→+3
いのちのよろこび/でんぱ組.inc
Eutopia / 鐘 嵐珠(CV.法元明菜)
いかがでしたか?
ご紹介した曲をプレイリストにまとめました。
全然他にもパターンありそうですが、まとめてみるも-1が最意外とが多かったですね。±3と±2の転調をうまくつかって-1に持っていってるものが多かったです。逆に-2はそもそも母数が少ない印象でした。実は今使ってる曲が-2で上記にないパターンの進行だったのでこの記事のこと思いついたのでした。リリースされたらまた解説できればと思います。他のパターンを見つけたら追加させていただくかもです!
皆様も是非素敵な落ちサビ下転調ライフをお過ごしくださいまし!
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