後継者は、損?お得?
後継者を育て、事業承継を支援することを生業としているものです。
後継者になるのは、損か?お得か?
たくさんの後継者を育て、たくさんの事業承継を見てきたものとして、
簡単にですが、後継者の損なところとお得なところ、をまとめてみました。
〇損なところ
1)負債を抱えてしまう><
借入金がある企業だと負債を抱えざるを得ないというのがありますね。
中小企業の場合、連帯保証もしなければいけなくなったり、
負債でがんじがらめにされてしまうかもしれません。
2)チャレンジできない><
鳴り物入りで入社した後継者も、やりたいことができずチャレンジできないでもやもやするというのがありますね。
さらには、チャレンジしていたら逆に総スカンになるということも少なくありません。
優秀な後継者であればあるほど、価値観や文化の違いにもがいてしまうのではないでしょうか。
3)古参社員との関係がむずい><
社員との関係は、一番最初にぶち当たる壁ではないかと思います。
後継者は、従業員とは違う存在ですし、経営者でもないという特殊な立ち位置の中で、気を遣われる一方で、本当の意味で従業員と信頼関係を結びづらい立場にあります。
特に、先代社長についてきた古参社員とは、関係構築していくのは難易度高い課題ですね。
4)自分で人生を描いている実感を持ちにくい>><
これは社長の息子である場合、人生において損と感じる部分です。
自分で後継者になると決めた方でも、なんとなく自分の人生はだれかが描いた人生であると感じてしまう。
だれかに決められた人生と思って生きる後継者は、
自分で決めた人生と思って生きる後継者と比べて、経営者として大成できず、「こんなはずじゃ、なかった・・・」とつぶやいてしまいがちです。
〇お得なところ
1)お金が使える!
やっぱり、先代が残してくれたお金があるのが一番ですかね。
自分で事業を始めるとしたら、0円ですし、自己資金から出さないと始められないし、借入しないといけないかもしれないので、お金があるってすごく大事ですね。
2)人がいる!
従業員がいるってこともすごく重要です。
たとえ社員の高齢化が進んでいたとしても、事業に精通する社員がいることは、大きな資産です。
これも、自分で事業を始めるとしたら一から採用して、育ててと考えると、戦力になるのに数年かかってしまい、組織にするのに、また数年かける必要があるので、従業員がいることに意味がありますね。
3)事業がある!
後継者として事業承継するということは、ほとんどの場合、
売上をつくる事業があるということです。
私は創業していますが、売り上げを安定化させ、事業として確立するまで、
何年もかかりました。
人によっては、起業したはよいけど事業を確立するまでに廃業してしまうケースも少なくありません。
4)歴史がある!
これ、めちゃくちゃ大事なこと。
後継者が先代、先々代から受け継ぐものは、お金や人、事業などだけでなく、繋いできた歴史がそこにあるということが大きな価値となります。
これは、創業では絶対につくれないことです。
1代だけでは多くとも40年、多くは1代で20年程度の歴史しかつくれませんが、2代、3代とつづくと100年つづく企業をつくるできるのです。
10年続いた会社と100年続いた会社。どちらに価値があるでしょうか。
歴史を受け取るということができるのが、後継者としての矜持といえるかと思います。
よく、ヒトモノカネ情報とか言いますが、いわゆる経営資源があるってことですね。
ちなみに、わたしはヒトモノカネって言い方はあまり好きではないのですが・・・
ということで、まとめると、
損だなと思う部分も多々ありますが、その課題をクリアすることができれば、創業するよりも意味のある経営者人生を歩める可能性を持っているといえますね。