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2020.4.15 やま

28歳にして、約20年ぶりの交換日記。こそばゆく、どきどきする。そして同時に過去の悔恨も思い出される。

「交換日記」「プロフィール帳」「プリ帳」、それらはわたしたちの「通過儀礼」だった。「交換日記」は何回か参加したことがあったけど、決まってわたしがそのバトンを止めてしまっていた。そうするうちに、誘われなくなった。かわいくデコレーションされているノートがこっそりまわされているのを見て、悲しい気持ちと、激しい後悔の念に苛まれた。「なんでちゃんと回さなかったのだろう...」

文字を書くのがめんとうだったわけではない。モー娘。やジェニーちゃん、好きな男の子の話で盛り上がっている交換日記に、何を書いていいかわからなかったのだ。放課後は水泳とピアノに直行、母が与えてくれる音楽はQueenと米米CLUB(今では感謝してる!)、レオナルド・ディカプリオとルパン三世に夢中で、休みの日にTSUTAYAかゲオでVHSを借りてもらうのが楽しみだった。そんなわたしとみんなの共通項は「にんげん」「同い年」ぐらいだった。人のせいにしたくて、母親のせいにしていたときもある。同級生のお母さんたちはビーズ教室を開いてて、同級生たちお母さんに作ってもらったビーズの小物やアクセサリーを見せ合いっこしていた。まぶしかった。うらやましかった。なんでわたしのお母さんはビーズ教室に行かないの!と心の底から恨んでいたときもある。「交換日記」だけが理由ではないが、そんな感じで「馴染めない」小学時代を過ごした。

卒業式の後、みんなプリクラを撮りにイオンに向かっているのを横目に、母親と家に帰った。クラス替えはあるものの、160名持ち上がりの中学校に何の希望もない。そこにあるのは絶望だ。悲しくなって思わず涙が溢れた。そんなわたしを見て母は抱きしめて「あなたはスペシャル!人と違うって最高!受け入れろ!」(意訳)と言ってくれた。誰かと一緒になろうとか思わなくていいんだ。ああ、わたしはスペシャルなんだ!好きなものは好きでいいんだ。他者は他者のまま、受け入れる。認め合う。共感できなくても、受け止める。モー娘。もジェニーちゃんも、恋バナも受け入れる。世界はちがって見える。不安が完全にかき消されたわけではなかったが、母にそう言ってもらえて安心した。中学に入って友達ができたのも救いだった。「交換日記」はしなかったけど「プリ帳」はつくったし、小さな手紙を回し合った。大体が中身のない恋バナ!世界共通の話題!たのしい!今ではハロプロも恋バナも大好き!

そんなわたしが今、「交換日記」を始めようとしている。こそばゆくも、居心地がいい!わくわくしている!よろこびも怒りも、誰かと共有できることは、うれしい。何を書こうか、伝えようか、悩むこの時間もうれしい!ふたりが次に何を書いてくれるんだろうと思うのも楽しい!(それでもこうやってタイピングしている間はこそばゆい。自分語りが過ぎる)

前置きは長くなったが、何が言いたいって、不寛容な時代をどうやって生きるか、戦うかってこと。(早速意味わかんないですね)なんでこの国のトップ連中は、わたしたちを見ないふりをするのか、毎日わたしは怒っている。星野源を「利用」したアベの例の動画も、アップされたその日わたしは出社していた。怒りでふるえた。どうしてこの国のトップは想像しないんだろう。あの動画をあげたら、傷つく人がいることを。彼らに「重なり合う」気もないのに。受け止めてもらえない、認められない、そんな政治と社会に憤りを感じている。手取り20万もいかない給料で、もちろんボーナスも貯金もない。夏休みも冬休みもない労働条件のなかで見える限界。そして、今回のコロナショックで生きるか死ぬかを迫られている。これは「わたしたち」の話だ。彼らには「わたしたち」が見えていないようだ。

補償なき時代、不寛容な時代。わたしたちは他者を受け入れる重要性に何年も前に気づき、もちろんその間にトライアンドエラーの人間関係を繰り返し、傷つけあいながら「ありがとう」と「ごめんね」を覚えている。毎日アップデートしようともがいている。なんで、この国の中枢はそんな簡単なこともできないんだろう。悲しいし、怒っている。Netflixで観たグロリア・オールレッドのドキュメンタリーで、グロリアが言っていた「我々はもう黙ってはいない。闘いは始まったばかり」を胸に深く刻む。この時代にわたしたちはこの気持ちを共有して、広げて、声をあげて、行動するしかないらしい。2人の文章を読んで、そのひとつのきっかけが、この「交換日記」になればいいなと思った。そして収束した日には、「リアルな場」で語り合いたいし、デモしたいね!(とりとめなくてごめんなさいーーー!!!)

そして、JAGATARAの「もうがまんできない」の皮肉たっぷりの歌詞を。

ちょっとの搾取なら
がまん出きる
ちょっとの搾取ならば
誰だってそりゃあがまん出来るさ
それがちょっとの搾取ならば

今週末は平野太一さんの『STANDARD』を観るね。菜の花と春菊の季節が終わっていくね。最近どこも納豆高いけど、近くのスギ薬局が69円と破格の安さ。トイレットペーパーがどこにもみつからなくて焦ってます。おすすめの本はカルメン・マリア・マチャドの「彼女の体とその他の断片」かな。べーじゃが報告待っているよ。手洗いうがいしっかりするんだよ。どうか、みんな、生きて。