均衡の力 序章①
???「あらあら、こんなところに小さい子が捨てられて可哀そうに。とりあえず家に連れて 行ってあげましょう。ガルドは許してくれるかしら、、」
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???「リゼルただいま~~ってどうした、その子は?ま、まさかよその子をかっさらてきたんじゃないだろうな??」
リゼル「まさかそんなわけないでしょう。森の中にこの子が捨てられてたんです。この村で子供の噂もききませんし他の村のこどもでしょうか?」
⁇「はあ~~よかったリゼルがこども好きすぎてだれかの子供でもさらってきたのかと心配しちゃったよ」
リゼル「ガルド、ふざけるのもそろそろにしてください。話しをかえますがこの子に身寄りも持ち物的になさそうですし引き取りたいんですがいいですか?」
ガルド「す、すまん。このまま放置するわけにもいかないしなあ、いいんじゃないか?」
リゼル「ありがとうございます。名前をどうしますか?…といいたいところなんですがこの子を包んでいた布に魔力でカサギ・ケイゴという名前?のようなものがこめられていました」
ガルド「なに??布に魔力を込めてメッセージを残せるほどの魔法の使い手がこの子を…いやそんなことはどうでもいい。とりあえずこの子のことはケイゴとよぼう」
リゼル「そうですね、ではケイゴを私たちの子供として育てましょう」
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???「・・・・うまれたばかりの子供を捨てても魔物にくわれるだけではないのでしょうか?」
??「大丈夫ですよ。この子を落とす近くに人がいるのを確認しました」
???「はぁ…その方たちがひろわなければどうするんですか?みながみな子供を引き取るほどの優しさや余裕があるわけではありません」
??「....加護をかけといたからある程度の期間は大丈夫でしょう。」
???「........」
??「そんなに睨まないでください。あの子に敵対してもらうのです。この状況くらいのりこえてもらわないと」
???「あなたを説得することができないことだけはわかりました。もう勝手にしてください」
??「ふふ、心配しすぎです。それよりもこの子が無事に育ってくれることを祈りましょう」
???「無事に育たなさそうな環境におくからここまでいってるんですがね、、」
「…またこの夢だ」
この夢を見るのは何度目だろう。
まるで現実ではないような、恐ろしく美しい場所で話し合っている二人の人物。
もう一人はフードを深く被り、顔は見えない。けれど低い声からして、男だということはわかる。
二人とも、子供の話をしている ーーそれだけはいつも同じだ。
そんなことを考えているうちに目が覚めてしまった。時計を見れば、朝の七時を少し回ったところ。
(今日は確か、父さんと狩りに行く日だったな)
俺は布団を払いのけ、寝ぼけた頭を軽く振る。夢の内容が胸に妙な違和感を残すが、それが何なのかはわからない。自分に「ただの夢だ」と言い聞かせながら、急いで着替えを始めた。
そのとき、ドアの外から母さんの声が聞こえた。
「ケイゴ〜、朝ごはんですよ〜。早くいらっしゃい」
「母さん、着替えが終わったら行くよ」
素早く身支度を整え、リビングへ向かう。リビングに入った途端、美味しそうな匂いが鼻をくすぐった。焼きたてのパン、昨日父さんが狩ってきたウサギの肉……なんて豪華なラインナップだ。
「今日、父さんと狩りに行くのでしょう?」
母さんが席に着いた俺を見て微笑む。そして申し訳なさそうに頼みごとをしてきた。
「その前にレオナードさんのお宅にパンを届けてきてもらえますか?今日、パンを焼きすぎちゃって食べきれそうになくて」
「いいよ、母さん。ちょうどルリカとも話したかったし」
「ありがとうね、ケイゴ。狩り、頑張ってきてくださいね」
「うん、頑張るよ!おいしい肉、いっぱい取ってくるから!」
母さんと他愛ない話をしながら朝食を済ませると、俺はパンの包みを抱えて支度を整えた。
(ルリカに会うのも久しぶりだな)
幼い頃は野原を走り回ったり、木の枝でチャンバラごっこをして遊んだっけ。今はもう遠い記憶だが、あの頃のルリカの笑顔は鮮明に覚えている。
そんなことを考えているうちに、いつの間にかレオナード家に着いていた。
「レオナードさ~ん!いますか~?」
俺が声を張ると、扉の奥から聞き覚えのある声が返ってきた。
「はーい、今開けますね〜。……って、ケイゴじゃない!どうしたの?」
扉の向こうにはルリカが立っていた。予想外にスムーズな展開に、ちょっと嬉しくなる。
「おっ、ルリカ!久しぶり!母さんがパンを焼きすぎたらしくてさ。これ、持ってきたんだ」
「わあ、こんなにたくさん!ありがとう、ケイゴ!リゼルさんにもお礼言っといてね。それより久しぶりだし、ちょっと家に上がってお茶でも――」
「ごめん、ルリカ。今日、父さんと狩りに行く予定があってさ……」
「狩り、頑張ってきてね!あとで、何を捕れたか教えてよね!」
「うん、また来るよ!」
「また今度絶対遊ぼうねーーーーーーー!!」
ルリカの叫び声に近いような声をきいて
本当はもっと話したかったが、今日は初めて父さんに狩りへ連れて行ってもらえる大事な日だ。しょうがない。
絶対に獲物を捕って、父さんと母さんを喜ばせてやるんだ
少しがっかりした気持ちと初めて狩りに連れてってもらう楽しみな気持ちが入り混じったまま父さんが待っているであろう場所へと向かう。巷では父さんはこの村一の狩人とよばれているが実際に今日この目で俺がみてさしあげようではないか。そんな事を考えていたら父さんの姿が見えてきた。
「父さ〜ん!待たせてごめん!!早く狩りにいこ!!」
「おう、準備万端だな。狩りへ出発だ」
父さんと二人での狩り。きっと新鮮な肉が手に入る事だろう。楽しみにしていた狩りをめのまえにした俺の足取りは軽やかだった。
狩り場に着いて数十分が経ち、俺たちの前にはウサギの親子がいた。父さんはすぐさま駆け寄り、足に狙いを澄まして弓を射る。父さんの放った矢は見事に命中したようで、親ウサギは逃げていく。その隙に子供の方に向かって走り出しながらもう一本の矢を番えると今度は子供の頭を狙った。「ケイゴ、あのウサギは頭を狙え!」
父さんに言われた通り、子供の方へ向かう。足を狙って矢を射れば、ちょうど狙い通り後ろ足に命中する。足を貫かれた子供はバタンと地面に倒れこんだ。その隙を見逃すまいと俺はすかさず首を切りつけた。
「よし!よくやったな」
「へへっ」
父さんに褒められて、なんだか嬉しくなった。
「この親ウサギの肉は栄養価が高いんだ」
父さんはそういいながら腰からナイフを取り出すと、慣れた手つきで子ウサギの首を切る。そしてそのまま血抜きをして、近くの木へ逆さまに吊るした。
「よし、こんなもんか。初めての狩りだし今日はこんなとこでいいんじゃないか?」
「俺もっとでっかい動物を家に持って帰って母さんをよろこばせたい!!」
「リゼルには早めに帰ってくるようにといわれているが、、、よしもう少しだけ奥までいってみるか?でもここからは父さんのいう言葉に絶対に従うんだぞ?もしかしたらクマにでもおそわれるかもしれないからな」
「うんわかった!」
「よし、出発だ。ついてこい」
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俺と父さんは森の中をすこしずつ進んでいった。動物を探すのに夢中になっていてきづけば辺りは暗くなり始めていた。
そんなときにいきなり父さんの顔が険しくなり俺の前にまるで止まれとでもいうかのように手をだしてきた
「ケイゴこれ以上すすむのは危険だ。今日はこのまま帰ろう。」
「う、うん」
父さんの雰囲気がいつものような能天気なかおじゃなくいつになく険しくてこれ以上すすもうとはいえなかった
「よし、いいこだ。このままできるだけ音を出さずに帰るぞ」
「な~にそこでこそこそしゃべってんのかなああ???」
空気がいきなり冷たくなった
「きみたちさああさっきからずうううっっとしゃべってたよねえ?まさかぼぅくに聞こえないとでもおもってんのぉ?」
「…おまえは誰だ」
いつになく父さんの声が警戒を帯びた声になっている
「ぼくがだれかって?そんなの....おっとしゃべってる最中に切りかかってくるだなんてひどいじゃないか?ねえそこのちびっこくんもそうおもうよねえええ?」
「ケイゴ、こいつの言葉に耳をかすな。いますぐここから来た道をもどって走って村まで帰るんだ」
「ケイゴっていうんだあ。おしえてくれてありがとねえ。お礼に僕についておしえてあげるよぉ。」
「ぼくはミラージュっていうんだあ。以後お見知りおきを....ってきみたちはこの先生きることができないけどねえええええええ」
ミラージュと名乗ったものはそういったとたんに父さんに殴りかかってきた
父さんは素早くよけると剣を抜いて斬りかかろうとする
が、ミラージュは目にも留まらぬ速さで剣を抜いてガードする。
「速い……!」
「ぼくにかんたんに勝てるとおもうなよぉ?」
父さんとミラージュの戦いはまるで舞を踊っているかのようにおさまりのよいものだった。しかし、その戦いもすぐに終わった。ミラージュの剣先が父さんの頬をかすめたのだ。
「あ~あ、よけなければもっと深く切れたのになあ」
「……っ!」
父さんは悔しそうに顔をゆがませている。
「ケイゴ!!はやく走って安全なとこまで逃げるんだ!!」
「で、でも父さんが....」
「俺のことはいいから早くはしれ!!父さんは村一番の狩人だぞ?こんな奴すぐに倒して父さんもすぐケイゴにおいつくから!!」
(おれがもっとでかい動物をもってかえりたいとかいわなければ...)
後悔の気持ちが高ぶってくると同時に父さんを見捨てれないという気持ちもこみあげてきた
(でもおれなんかが父さんの助けになることができるのか?足手まといでしかないのでは?)
悩んでいる最中にも父さんとミラージュは戦っている
俺から見てもわかるくらいに父さんはミラージュにたいして防戦一方でおされていた
「早くいけ!ケイゴ!!」
「....うん……わかった!!絶対父さんも戻ってきてね!!」
俺はそう言って、その場から全速力で逃げ出した。
ドンッ!
なにもないところでころんでしまったこんなときになにをしているんだ
そう思いながら立ち上がってまた走るとまた何もないのに進めなくなってしまった
「はああああああさっきからだまってきいてたらさああそんな二人とものがしてあげるわけなくなああい?こっちは命令でここにきてんのぉ。」
「おまえケイゴになにをした!!!」
「なにをしたかってえ?そんなむずかしいことじゃないよ~~~単に結界をはっただけじゃー-ん。あ、脳筋ぽいし結界とかわかんないかあ?」
「お前……!」
「ふたりまとめてころしちゃうよおんそれが命令だからね!!!!」
そういうとミラージュは俺めがけて走って俺に攻撃をしかけにきた
「っ...!ケイゴ!危ない、避けろ!」
おれだってわかってるでもこんな奴の攻撃どうやってよければいいんだ
「はあああいしねえええええええ」
俺が死を覚悟したその時だった
(あれ?痛くないなんでだ?)
おそるおそる目を開けた瞬間に目に入ってきたものは残酷なものだった
父さんの身体が盾となり、鋭利な刃がその胸に深々と突き刺さっていた。血飛沫が舞い、俺はショックで周囲の時間が一瞬止まったように感じられた
「あらら?大事な息子を助けようとしておとうさんがさされちゃったかあ????」
父さんは今にも倒れそうな顔をしていた。そんな父さんをみた俺はわけがわからないくらい怒りがこみ上げてきた。
(なんでだ、どうしてこうなった、おれがあのときすぐに帰っていれば...)
ミラージュへの怒りもあった。だがそれ以上に自分のせいで父さんを...無力でしかないじぶんが悔しかった
「かなしんでるとこわるいけどおおおおおお次は君の番だよおおん!!!!」
そんな俺の気持ちも知らずにミラージュはまた俺に刃を向けてきた その刃が俺の身体を貫く寸前で、俺は目をつむった。
二回目の死を覚悟した瞬間だった
俺にはもう目を開けていられる気力はなくなぜかぼくに攻撃をしたミラージュが遠くまでぶっ飛んでいた
「……なんで……僕は……死んでない……?なんで……ミラージュが……」
思考が薄れていく中、ぼくの視界は次第に暗闇に飲み込まれた。
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????「きみはミラージュといったね」
「んんん?きぃみだれなのかなああ?さっきのおチビちゃんのともだちかなにかああ?」
????「きみていどの奴に名乗る必要はないかな」
「ぼくのことばかにしすぎじゃなあああい?そんなにばかにして__」
????「しゃべりすぎなんだよきみ」
「なっ……!?お、おまえ...!ぼぅくになにを....」
????「はいはいうっさいうっさい、あ〜あ時間かけすぎちゃった。怒られちゃうよ」
????「あのひともこんなめんどいことおしつけてきてまじゆるさないんだけど」
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「はっ…!」
息をのみ、目を見開いた瞬間、ズキンと鋭い痛みが頭を突き抜けた。ミラージュはどうなった?父さんは?そんなことを考えることがいやになるほどの頭痛に思わず額に手を当てるが、痛みは収まる気配もなく、鼓動に合わせてじわじわと響き続ける。
横を見ると倒れている父さんが目に入った。
「父さん!!!」
痛む頭も忘れて父さんに駆け寄る。
「父さん!しっかりして!」
父さんはかろうじて息をしている状態だった。だが、その呼吸はとても弱々しいもので今にも止まってしまいそうだった。
「父さん!父さん!!」
俺は泣きながら父さんの身体をゆする。
「ケイゴ……か?けがはないか……?」
「おれは大丈夫だけど……でも、父さん……」
俺の目から涙がぽろぽろとこぼれる。
「...なくな、ケイゴが無事ならそれでいいんだ」
おれがわがままいったせいでとうさんが
……
「ケイゴは...父さんと母さんの宝物だ...から父さんがいなくなっても―」
「父さん!!父さん!おねがいだからもうしゃべらないで...す、すぐに村に連れて帰って母さんになおしてもらおうよ、ね?だからおねがいしなないで......」
父さんはぼくの言葉をきいて少し微笑んだ後、また苦しそうに顔を歪めた。
俺は溢れそうになる涙を必死にこらえる。俺まで泣いてどうするというんだ。父さんの苦しみを和らげてあげるためにも今は俺がしっかりしなきゃいけないんだ。
「だ、だから、はやくかえろ?」
「ケイゴ.....父さんの最後の願いを..きいてくれるか....」
「........うん」
「かあさんは体がよわいからケイゴが守ってやってくれ。こんどはケイゴが全部守ってくれ。...あとリゼルにすまんと言っといてくれ」
「父さんねえしなないでおねがいだから!」
「....あいしてるぞ........」
「ねえ父さんってば!おいていかないで!」
俺は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、必死に懇願する。だが父さんはそれ以降なにもしゃべらなかった。いつも俺を見守ってくれていたやさしい目は二度と開くことはなかった。
「...ひとりじゃなにもできないよ...」
もう何も考えられなかった。ただ目の前の現実が受け入れられなかった。もう動かない父さんを抱きしめて泣きわめくことしかできなかった。
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もうどれだけの時間がたったのだろうか。
父さんの体が生きているものの体温でないことはわかっている。それでも父さんがこの世界にいないということを考えることなんてできない。ましてや母さんになんて伝えればいいんだ。
(父さんの遺品だけでも持ってかないと)
???「あの~だ、だいじょうぶですか?」
「だ、誰だ!」
???「あ、ごめんなさい驚かせるつもりじゃなかったんです!ただ夜遅くにこんなとこになんでこんな若い子がいるのかなあって…ってその横たわってる人はどうしたの?」
「......あなたはだれですか」
「ぼく?僕はフレイムハルト騎士団のホクといいます!君の名前はなんていうの?」
(フレイムハルト騎士団...ヴォルカニア帝国の騎士なのか?)
「…ケイゴ」
「ケイゴくんっていうんだ!でそこにしん、、横たわっている人はどうしちゃったの」
「…おれの父さん…さ、さっきみ、みらーじゅ?ってやつにおそわれちゃって…そ、それで父さんが...」
「そ、そうだったんだねごめん」
「俺のせいでとうさんが...」
「…なにがケイゴくんとお父さんの身に起きたかわわからないけどさ、きっとケイゴ君のことが大事だったから守ってくれたんじゃない?」
「で、でも」
「とりあえず泣くのはやめよ!!悲しい気持ちになっちゃうからさ…」
「わかった…」
「よし!じゃあとりあえず家にかえろっか!ケイゴくんの家はどっちのほうにあるかな?」
「父さんが道を通るときに木に枝をたてて目印にしてたからそれをたどれば帰れると思う...」
「じゃあそれに頼って帰ろっか...お父さんの遺体はどうする?」
「...母さんのためにも村に墓にして埋めてあげたい...」
「分かった!僕がお父さんのこと担いで村まで連れてくよ」
「と、父さんのこともてる?大丈夫?」
いくら騎士団の人と言っても父さんはそれなりにムキムキだしもてるのか?俺は疑問に思った
「だいじょぶだいじょぶ魔法で軽くしちゃえばそこら辺の木の枝より軽いよ〜」
「そ、そうなんだ。魔法ってすごいね」
「でしょ〜村についたらすこしだけおしえてあげよう!!」
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ホクさんといろんなことを話しながら村まで帰った
ホクさんは父さんが死んでしまったことを少しでも心が軽くなるようにしてくれてるような気がした。
そんなことを考えていたらそろそろ村が見えてきた
「あそこが僕が住んでる村だよ」
おかしい
いつもはこの時間はほとんど明かりもついてないしこんなにいろんな音がきこえないはずだ
「ホクさん、なんかいつもと村の雰囲気が違う」
「...なんか不穏な空気だね。とりあえずケイゴくんは家まで送るからそこにいといて」
???「キャアアーーーーーーーーーー」
誰かの叫び声がする。もしかしてこの村にも、、
「ケイゴくん。ケイゴくんはとりあえずお父さんのこと見といてくれる?僕はさきに村にいってくるよ」
「...わかった後で絶対魔法おしえてね」
「ああ、後で教えてあげるよ」
ホクさんは僕にそのことだけ行って先に行ってしまった。父さんの遺体を見とけと言われたが、、、
母さんのことが心配だ。
(この気配はさっきのミラージュに似てる気がする)
そんなことを考えていたら目の前に見知った人が近づいくるのが見えた
「ケイゴ!!よかった、遅かったから心配したのよ。とりあえずこの村を離れましょう。ところでガルドはどこにいったの?」
「...ごめんなさい母さん途中で魔物が襲ってきて俺を庇って父さんが..」
母さんは俺が指さした方をみると一気に顔色が悪くなっていった。父さんの状態も知って声も出ないようだった
「.........最後にガルドはなにか言ってましたか?」
「うっ…っぅ…母さんはからだがよわいから俺がこれから守ってやってくれって...あと...母さんにすまんって伝えてっていってた...」
「.........そう...」
母さんはほんとにつらそうだった。俺から見ても母さんと父さんはほんとに愛し合っていた。しかも自分の知らないところで亡くなってしまったのだ。俺だって辛い、でももっと母さんのほうが辛いはずだ
「かぁ゙さんほんとにごめんなさいおれがかりにつれてってっていったせいでとうさんが」
俺が言葉を言い切る前に母さんは俺のことを抱きしめてきた
「...ケイゴは悪くありません....ガルドは、ガルドはちゃんと私たちの大事なことを守ってくれました...今は悲しんでる場合じゃありません」
母さんは今にも泣きたそうに僕に言葉を放った。僕も母さんが泣いてるのをみて父さんが死んでしまった光景が湧き上がってきて立っていられないくらい辛かった
「...私とガルドにとって一番大切なのはケイゴ、あなたなのです。ガルドは命をかけて貴方を守りました。私も貴方に命をかけます」
そうゆうと母さんは呪文のようなものを唱え始め手の中に何かを生成し始めた
「ケイゴ。この私の手の中にあるものに思いをこめてください。今まで起きた楽しかったこと、悲しかったこと。どんな気持ちでもかまいません。」
母さんは俺に手を向けて何かを渡してきた
「これはなに?」
「私の全てが詰まったものです。これにあなたの感情をこめれば、、私の説明はいりません。これにあなたの過去をぶつけてください」
「分かった。」
俺は母さんに言われたとおりにいままでに起きたこと、思ったことを思い出した。
ルリカと一緒にいろんなことをして楽しかったこと。
母さんが作ってくれた温かい料理を食べて成長してきたこと。
…僕のために命をかけてまで守ってくれた父さんが亡くなって悲しかったこと。
いままでの人生を送ってきて感じたことを全て詰め込んだ。楽しかったこと、嬉しかったこと、ムカついたこと、悲しかったこと....自分への怒り。すべての思いをこれでもかと詰め込んだ。
全てのことを出し終わったと思ったら体の中になにかが流れてくるような感じがした。体中の血液から骨の髄まですべてに染み渡るようななにかだ。
「母さんこれはいったい、、」
「それはあなたの中を巡っている貴方の力、魔力です。」
「え?」
「私が持っているすべての力を貴方に託しました。ガルドが命を託したというのなら私もあなたにそれに相応するものをさずけてあげなければ...」
「で、でもそんなことをしたら母さんはこれから...」
「...今これが私にできる最後のガルドへの手向けです。この力で貴方の助けになることができるのなら...きっとガルドも喜んでくれるでしょう。」
そんなことも言われたらもう俺はなにもいえないじゃないか。父さんだけでなく母さんまで命に等しいものを俺に託してしまった。俺はそんなのに値する人間でもないのに。
「貴方はまだこの力になれることはできないでしょう。それでもあなたに授けたのは私の力です。これでも私、昔はすごかったんですよ?」
母さんはそう言うと俺にわずかながらも笑いかけてきた。
「ところでケイゴは一人でガルドの事をかかえて戻ってきたんですか?」
「そういえば...!父さんが倒れた後に男の人が僕を家に送るって行って父さんのことも担いできてくれたんだ。」
「そうだったんですね。後でお礼を言いに行かなきゃいけません。」
「さっきその人が村の異変を感じて村に向かっていったんだ。村でなにがおきたの?」
「ケイゴが帰ってくる丁度に村に魔物たちが押し寄せてきたんです。最初にレオナードさんちが狙われて」
もしかしてさっきの叫び声はルリカだったのか?
「かあさん!おれ今すぐ助けに行かなきゃ」
「...行かないでといいたいところですが貴方はそう言ってもいくのでしょうね。いいでしょう、言ってきなさい。でも無事に絶対戻ってきてくださいね?」
「うん。約束する」
「そうと決めたなら今すぐいってきなさい」
その言葉を後押しにおれはすぐに村に向かった。後ろを一回振り返ると父さんに抱きつきながら泣いている母さんがいた。母さんの後ろ姿はほんとに弱っていた。