自叙架空#161
ポセイドンは悩んでいた
私が今日の夕食に親子丼を作ろうと車で郊外の養鶏場を訪れ、鶏を一羽とその鶏が産んだ卵を数個譲ってもらっていたところ、友人でギリシャ神のポセイドンから長文のLINEがきて、要約すると、今度故郷のギリシャに帰るので、今所有している東京都心の一等地の持ちビルを売ろうと考えているのだが、妻のアムピトリーテーにそれはまだ持っていていいんじゃないかと反対されている、という内容だった
一瞬躊躇したものの、私は古くからの知人でこの養鶏場を切り盛りしているおっちゃんに、ポセイドンの悩みをそれとなく相談してみたところ、「都心の持ちビルと親子丼は同じじゃな」と答えが返ってきて、私にはさっぱり意味がわからなかったのだが、養鶏場の経営は仮の姿で、実際は日本を裏で牛耳る財界のドンのおっちゃんの言うことなら間違いないだろうと思い、その言葉をそのままポセイドンにLINEしたところ、「ありがとう、これで悩みは全て解決した」とすぐにお礼の返事が返ってきた
コウ