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自叙架空#160

 
 
恥ずかしながら私はこの年になるまで世の中にハロウィンというお祭りがあることを知らなかった


 
世間の人は毎年こんな素敵なイベントで盛り上がっているのかと感銘を受けた私は、ハロウィン当日の十月の第三水曜日に合わせて前後一日ずつ三日間有給休暇を使って仕事を休み、ハロウィンというものを実際に自分で経験してみることにした


 
当日は朝五時に起きて、私は自宅でタキシードに着替えて正装すると、外出は一切せず、緑のカボチャをくり抜いて作ったお内裏様とお雛様を書斎の金屏風の前に並べ、トリックオアトリートと掛け声を掛けながら家中に豆を撒いたあと、願い事の書いた短冊を数えきれないほどリビングの天井からぶら下げ、夕食に土用のうなぎを食べて夜八時頃眠くなったので枕元に靴下を置いてベッドに入ると、今晩この靴下の中に『ジャック・オー・ランラン』さんがお年玉を入れてくれるんだと期待に胸を膨らまながら眠りに落ちた


    
   コウ

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