次世代半導体「CXL」の先頭を走る企業はどこだ。
◆次世代半導体「CXL」の先頭を走るのは韓国のサムスン
生成AI(自分で文章や絵を作る人工知能)が広まって、処理するデータが爆発的に増えている
データを速く送るために、「CXL」という次世代メモリー(新しい記憶装置)の開発競争が進んでいる
サムスン電子が先頭を走り、2024年後半に出荷を始める予定
他の会社もCXLの開発を急いでいる
データセンター(たくさんのデータを保管する場所)は電気の消費を減らしたいと考えている。CXLが実用化されれば、市場が一気に広がりそうだ
サムスンの崔璋石(チェ・チャンソク)常務は、CXLを「太い道路をつなげて、大量のデータが行き来するイメージ」と説明している
CXLは、DRAM(データを一時的に覚える半導体チップ)を重ねて作る新しい半導体モジュール(部品の集まり)だ
GPU(画像を処理する装置)やCPU(計算をする装置)などの半導体をつなげて、CXLを使わない場合と比べてサーバー1台あたりのメモリー容量を最大10倍に増やせる
生成AIは大量のデータを学習して蓄積するため、ユーザーの質問に答えるにはグーグル検索の約10倍の電力を使うとされている
テック企業(技術の会社)は大きなデータサーバーを建設して、データ量の増加に備えている。CXLを組み込むことで、サーバーの物理的な拡張の代わりになるという
サムスンは2021年、業界で先んじてCXLを発明した
2023年6月には米レッドハットと共同で初めてのデモ機を立ち上げ、実用化に向けた研究は大詰めを迎えている
新たな半導体を市場投入する際は、「エコシステム」(みんなで協力して開発する仕組み)作りが大切だ
サムスンは、IBMなど世界の主要15テック企業が参加する「CXLコンソーシアム」(協会)の理事会に、唯一のメモリーメーカーとして名を連ねている
崔常務は、CXLの市場が2027〜2028年に本格的に広がると話している
フランスの調査会社ヨールも、CXLの世界市場が2023年の1400万ドル(約20億円)から2028年には約160億ドルにまで伸びると推測している
SKハイニックスや米マイクロン・テクノロジーもCXLの開発を進めている
AI技術がめまぐるしく変化する中、次のヒット製品を先んじて開発することで、業界内の勝ち負けが決まる
サムスンがまいたCXLという種が実になるかどうか、数年後に答え合わせの時が来る