2024/12/18 小説『クロスセクション』余聞:元部長A君の場合
(ある50代後半男の独白)
「生きているではなく生かされている、だろ?身の程知らずなんだよ。」
高校時代同級生にそう言われたときは、目くそ鼻くそを笑うのくせして、何偉そうに罵倒合戦を仕掛けているのだと思った。
お釈迦様がいうには、と前置きするならともかく、右も左も分からない同士がこういうことを言うのこそ身の程知らずだと思った。
電話越しに何時間も罵倒合戦だった。後日、市内のシャノアールに呼び出して謝らせたつもりが、何にも覚えていないかしらを切っている模様だった。
それだけに留まらない。
あの物持ちの良い靴屋の倅、都立大に受かったとあとからマウントしてきたり、あの頃何にも分からない同士で傷つけ合っていたのだな、と。
この間ミニコミ紙でカフェオーナーになったというが、暮らし向きはどんなものだろう。
どうだ、タクトは取っていたのだろうが人の痛みぐらい少しは分かるようになったのか?互いにいい加減還暦ちかくだぞ。
あ、自分か?妻子もない。私大の雄と呼ばれ、あなたが尊敬していた一個上の前部長Hさんの学んだ学校で事務執らせてもらってますよ。
2024/12/18 ここまで