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【対話式勉強法】AIとアートとソクラテス

興味がある事を学ぶことは好きだが勉強は苦手。
学習本を読んで納得はするが、頭に残らない。
そんな人は結構多いのではないだろうか?

人的資本経営を進める上で「対話」の質を上げていく事が重要だが、それには個人個人が対話力を身に付けていく必要がある。

対話を行い勉強に対して能動的に向き合うと記憶に定着しやすくなり、新しい知識と既存の知識を結びつける事であまり興味無かった分野も使える知識となる。

今回1人でも出来る「対話式勉強法」と「勉強」のアップデートについて思考していく。

◆「勉強」とは?

そもそも勉強とはなにか?

商売で値引きをする際に「勉強しまっせ」と表現することがあるが、実はこの値引きするという意味の方が学習という意味の勉強よりも先に出来たらしい。

「勉強」の語源として「気の進まないことを無理強いする」という意味があり、江戸時代に商売の世界で、「嫌だけど値引きする」という意味で使われる。これが明治になって「精を出して努めること、学習すること」という意味で使われるようになった。

近代になり現代の学校のカリキュラムが出来てから、多くの学生達にとって気の進まないことを無理強いする勉強が行われてきた。個人の勉強好き嫌いは別として、国もメリットがあるから無理にでも教育に投資を行なった。

具体的にそれが活かされている感覚こそないが、大人になった今となっては内容そのものよりも、与えられた課題や宿題を期日までにやり、精を出して学習に努めることは社会の営みの訓練として必要だということも理解はできる。

しかし、現在では多様性や変化の速さに適応していくために、学校教育の場でも探求学習や対話的な学びの必要性が謳われきた。

対話的な学びを社会実装していくためには、かつて「気の進まないことを無理強いされていた」大人達も含めて「勉強」をアップデートしていく必要がある。

その鍵となるのは、AIとアートかもしれない。

◆「対話式勉強法」


「何かが違う」と直感的に感じるものの、それを具体的に言葉で表現できない経験をしたことはないだろうか? 

抽象化や具体化によりこれを表現していくには、個人の内省、つまりは自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みる対話的なアプローチが必要になるが、1人の頭だけでは個人の経験による制限があり、インターネットのキーワード検索だけでは辿りつけないものも多い。

これに対して現代ではAIを活用することでこの制限を外し、即時フィードバックで言語化をサポートし、さらには非言語的なイメージとして捉えるなど、AIを活用して1人で対話的に勉強をしていくことが誰でも容易になった。

AIを活用する事で、検索から探索に変わり、対話により自分が考えていなかった角度のフィードバックを即時に返してくれる。思考の言語化あるいは抽象化と具体化をサポートしてくれるAIを誰でも使える世界になった。

AIを活用した対話型勉強法は、勉強を新たな次元に引き上げる可能性を秘めている。

気の進まない面倒なことはAIがやってくれる。
努力して覚えなくても良い。そこに残るのは人の勉強への「向き合い方」だ。

・AIによる違和感を言語化する力

人は本能的に違和感を感じるとき、それが何であるかを無意識に分析している。しかし、その分析結果を言語化するには時間と訓練が必要だ。

AIの自然言語処理能力を活用することで、自分が抱いた違和感を具体的な表現としてアウトプットする助けとなる。

AIと対話を行う中で、自分が何に疑問を感じ、どこに共感を持つかが大事で、自分の努力の方向性、何故知りたいのか、〇〇との関連性は?など、思考を探索をする事で違和感の言語化は進み、学びの質が飛躍的に向上していく。

個人的にはAIを使う事で、いわゆる「努力のエンタメ化」が進んでいく様に感じている。
noteを書き、キーワードで繋がっていく事もまた思考の探索や努力のエンタメ化に繋がるが、大事なのは課題、違和感への向き合い方で、何故をAIに投げかけ続ける事により、自分の中にあるものが引き出され、解像度が上がっていく感覚が大切だ。

AIを検索的に使って情報を得ようとするのではなく、自分の思考の壁打ち相手になってもらうことで思考を探索させる。ただの情報ではなく、AIの先にあるネットの情報と自分の脳内のネットワークを結びつけて、使える知識に変えていく。

それがAIとヒトが生み出す新たな力となる。

・非言語のイメージ化とアート

アート鑑賞も対話式勉強を学ぶ上で非常に有効だ。絵画や彫刻を見て「どんな感情を持つか」「何が良いか、何が嫌か」等を自問することで、感覚を言語化する訓練になる。

限られた枠の中で視覚的な情報を深く観察する事で、自分の直感を具体的な表現へと変換する力が養われ、自然とじっくり観て、じっくり考える訓練に繋がる。

絵画などアート作品ではなくても、案外人は何故それが好きなのかを解像度高く言語化出来ている人は少ない。

YoutubeやNetflixでレコメンドされる大量の動画にしても、普段から対話しながら自分の好きという非言語の感情を言語化したり、イメージ化しておく事で、自分が見るべきかどうかを直感的且つ論理的に判断出来る様になる。

アート鑑賞する時に「なんかいいなぁー」という感覚を持った1枚の絵に向き合い、作者の性格や時代背景、単純に絵の良さも含めて「発見」していくことは、世の中に埋もれていて、見ているのに見えて無かった「問題」を見つけることに繋がるように思う。

AIを活用しながら自分では気付けなかった背景や関連する絵を確認したり、複数の絵の共通点を聞いていくのも良い。絵と向き合い対話式に思考しながら、非言語の感情を言語化あるいはイメージ化が出来るとより、知は広がっていく。

AIとアートは「勉強」をアップデートする。

◆知の連鎖爆発と勉強3.0

今から約2500年前、ソクラテス、孔子、釈迦が誕生し、現在にも続く哲学の始まりが世界各地で発生する。現在我々が「知の大爆発」と呼んでいる現象だ。インターネットどころか、伝達手段が限られ、人々の識字率も高くない時代に、世界で知への関心が高まった。

・知の連鎖爆発

インターネットが広まり世界中のあらゆる知にアクセス出来る環境作られて、個人がSNS等を通して簡単に発信する事が出来る様になり、歴史からみて稀なる状況に到達した。

かつて昔は一部の知識人しか、哲学を語る事が出来なかったが、今ではまるで哲学者のバーゲンセールだなと言わんばかりに、個人が各々の考えを発信し、連鎖反応が起こり続けている。

もはやAI vs 人間など言っている隙はなく、AIを活用した「対話式勉強法」を手にした我々は1人1人がソクラテスになれる可能性を秘めている。

・勉強3.0

ソクラテスは自らの無知を自覚することが真の認識に至る道であるとする「無知の知」と、哲学の語源である知を愛する「愛知」の考えを問いた。

そこが勉強の源泉として、0(ゼロ)とした場合、生きるのに必要なこと、役に立つことを学ぶための勉強1.0、生きるのに必要のない、意味のあることを学び出した勉強2.0、個人が哲学者の様に対話式に学びを深める勉強3.0の時代に突入したと言えるかもしれない。

教科書や本を読む時にも、対話式勉強法を取り入れることで理解が深まる。

AIに質問する事で情報を整理し、追加の視点を提供するため、自分の理解が一方通行で終わることなく、双方向的な学びに発展していく。自分の感想や疑問をAIと共有しぎら、知識を自分の言葉で再構築する訓練が可能となる。

AIを活用しながら天才ではなくても、個人が哲学者のように「対話式勉強法」を身に付けた場合に求められていくのは改めて「人同士の対話」ではないだろうか。

・人的資本経営における応用事例


人的資本経営を進める上でもこの対話式勉強法は有効だと考えられる。社員一人ひとりがこの学びのアプローチを習得することで、傾聴と対話のスキルが向上し、職場全体でオープンなコミュニケーションが促進される。

例えば、チーム内で新しいプロジェクトを立ち上げる際に、メンバーがAIを使って個々のアイデアや懸念を明確に言語化し、共有することで、互いの意見を深く理解し合える環境が生まれ、単なる情報交換にとどまらず、各メンバーの視点を踏まえた建設的なディスカッションが展開され、組織としての意思決定も質の高いものになっていく。

また、AIを交えた対話を通じて言語化することにより、普段は言葉にできなかった考えや感情を表現する場が増え、共感や理解が深まることで人的資本経営の基盤となる社員のエンゲージメント向上と、イノベーションの促進が期待される。

◆勉強という言葉のアップデート

違和感を言語化し、非言語のイメージを具体化する対話型勉強法は、学びをより深いものにしていく。AIやアートを活用することで、従来の学習方法を越えた新たな理解の境地に到達する可能性が見えてきた。

「勉強」の語源は「気の進まないことを無理強いする」という意味があると冒頭で語ったが、この背景には歴史の中で個人に「国」を意識させ「国を強くする」ために、社会や国が無理強いしても一方的に教育する必要性があったからという自覚が大事だと思う。確かにその教育のおかげで今があるのも無かった事にしてはいけない。

その上で、現在は一方的な教育だけではなく、対話による「知の探索と深化」が求められている。
今はまだAIも一部の賢い人がより賢く使いこなすツールとなっているが、徐々に人々のあたりまえとなり、知の連鎖爆発はあらゆる所で起きるだろう。

いまこそ「勉強」という言葉をアップデートして、精を出して能動的に関わる「対話式勉強法」を新しい勉強の意味に加えていくべきではないだろうか。

そんな事をAIと対話しながら勉強して、自分の好きなものと繋げながら思考してみた。

もっと学びを楽しもう。

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