筋肉の短縮か、筋緊張の亢進か
こんにちは。
今回はタイトルにもあるように、臨床上遭遇しやすい筋の短縮と筋緊張の亢進について考えていきます。
なぜ鑑別が必要なのか?
これに関しては深く言いませんが、筋の短縮と筋緊張の亢進では、展開される治療法が異なってきたりするからというのが大きいと思います。
筋の短縮の場合にはストレッチ刺激を入れて徐々に筋の直列方向のサルコメアを増やしたりみたいなことを考える必要がありますが、筋緊張が高い場合にいくらストレッチをしてもその一瞬だけの神経抑制になってしまいます。
なので筋の短縮と筋緊張亢進は鑑別する必要性があります。
どうやって鑑別していくのか?勉強になった参考書から
はっきりと参考にした参考書の名前を覚えていないのでここでは名前を出しませんが、内容としては
①圧痛があるかどうか
②弛緩位と伸長位での緊張程度、伸長痛があるか
③筋力低下と等尺性収縮時に疼痛が生じるか
という3点を確認するというものでした。
いずれにしても筋短縮の場合は疼痛は生じませんが、筋緊張の亢進の場合は疼痛が生じます。
3つのポイントの理由
①攣縮した筋では、筋細胞外に発痛関連物質を放散し、高閾値機械受容器やポリモーダル受容器の閾値を低くさせるため、圧迫を侵害刺激として受容する。
つまり、筋攣縮を認める筋では圧痛を認めることが多い。
短縮した筋は組織変性が進行した状態であり、伸びにくくはなっているが、組織としては安定した状態である。そのため筋短縮では圧痛を認めない。
②筋攣縮は脊髄反射により持続的な痙攣が生じている状態であるため、関節肢位にかかわらず、筋の緊張は持続的に高まっている。
したがって筋を短縮位に持って行っても緊張が高い。伸長位に持っていくとさらに緊張が高まり、疼痛が生じやすい。
短縮筋は伸長位になると緊張が高いように感じられるものの、弛緩位に持っていくとたわみによって緊張感が下がる。
③筋攣縮では筋実質部に萎縮はないものの、筋肉の生理的な収縮機能障害によってうまく筋力の発揮ができず、結果的に筋力低下を認める。
また、血管のスパズムも伴っているために静脈還流が停滞し、その結果筋の内圧は亢進する。そのため筋攣縮を起こしている筋に等尺性収縮を要求すると筋の内圧がさらに上昇し、疼痛が出現する。
筋短縮では、著名な筋力低下を認めず、筋内圧も上昇していない。そのため等尺性収縮を要求しても疼痛は出現しない。
大体、この3つあたりを意識して筋の状態を見ていければ適切な治療法が選択できるのではないでしょうか?
僕ももちろんまだまだペーペーなので、臨床で頭真っ白になることも多々ですが、頑張って冷静に評価していきたいと思います。
筋緊張、筋スパズムの場合には、その筋への直接的なアプローチが根本解決になる事は少ないように感じます。(一時的な抑制はもちろん効果が出やすいと思います)
その筋肉が筋緊張を高めないといけない理由、原因に対して最終的にはアプローチが必要になりますね。
特に、筋スパズムをおこしている筋の起始と停止を確認して、それぞれの安定性を評価していかないといけないかもしれません。
それでは今回はこの辺で!
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