グループレッスン(集団運動療法)の難しさ
私は普段理学療法士として病院に勤務しているため、患者さん1人対セラピスト1人のいわゆるパーソナルな介入が中心です。
そのためセラピスト1人対患者さん多数というような集団での運動療法の経験は全くありません。
ただ、今後そのような機会は出てくるかもしれませんし、別の職場・職域で働く際には必須の能力となるかもしれません。
そのために私の大先輩(種々の事業をやられていますが、そのうちの1つが学校の運動部に帯同するパフォーマンスコーチであり、普段から集団の運動指導をしている)が企画してくださっている、運動指導者のためのグループレッスン練習会(?)に定期的に参加しています。
グループレッスンといってもその場には多くて5人ほどしか集まらないので大規模なグループレッスンではなく、参加者も理学療法士やトレーナーなどの運動指導側の人間なので実際のクライアントとは異なりますが、自身が運動メニューを考えて提供したり、人が考えてきたメニューをやる中で数多くの発見があります。
およそ月1〜2回のペースで開催しており、ちょうど今月の開催日が昨日でした。
昨日は別の人が考えてきてくれたメニューをやる側だったのですが、そこでも良い学びが得られたので共有します。
「トマト」を知らない相手に3語で伝えるとしたらあなたはどうする?
いきなり関係ない話かもしれませんが、あなたはどの3語をチョイスしますか?
僕は「赤い」「酸っぱい」「野菜」でした。
これで何が伝えたいかというと、如何に提供したいエクササイズのやり方をシンプルに分かりやすく伝えるかということです。
1対1でクライアントを見る場合にはある程度細かくその人の動きを見て、キューイングを入れて修正することができますが、グループになると個人個人にかけられる時間は短いので、いかに説明段階でわかりやすくシンプルに説明してやってほしい動きを伝えられるかがかなり重要になります。
この時にもエクササイズの1〜10までを全て説明すれば良いわけではありません。逆に説明しすぎることもクライアントの“間違った理解“や結局何をすればいいかわからないという“意欲の減退“につながりかねません。
上記の質問はそれに関連して先輩が投げかけた質問だったのですが、非常に良いトレーニングにもなるなと思いました。
「人は一度に3語以上のことを覚えられない」とも言われます。
普段の仕事でもどんな伝え方をしたら患者さんに伝わりやすいか、逆にどんな伝え方は患者さんを混乱させやすいかを考えながら運動療法の指導をしていきたいと思います。
運動指導を通じて参加者にどんな気持ちになってもらいたいのか?
グループレッスン・集団療法において、提供する運動プログラムの内容が重要なことは疑う余地もありません。
ですが、それ以外にも重要なことはたくさんあります。
・照明の明るさ
・音楽などの音
・指導者側の声のトーン、話す速度
・あらかじめ行うメニューを知らせるか否か
・どんな服装にするか
・レッスンをどんな雰囲気に作り上げるか
などなど、あげ始めたらキリがないと思います。
これらを考えていく上で大切なポイントは「運動指導を通じて参加者にどんな気持ちになってもらいたい・どんな体験をしてほしいか」です。
例えば参加者のみんなに運動の楽しさ・素晴らしさに気づいてもらいたいというゴールとした場合には、ポップな、みんなが盛り上がりやすい音楽をかけたほうが良いかもしれません。また、ハードなメニューというよりは少し息が上がる程度で内容もペアや全体で協力する要素などを含むといいかもしれません。
そして介入の前後での変化を感じてもらいやすいように、事前の身体チェックなども盛り込んだほうがいいと思われます。
一方で参加者1人1人に自身の身体への気づきを与えたい場合は、音楽はかけないもしくはゆっくりとしたペースの音楽で、指導者側は必要以上の説明を与えない、気づきを与えられるようなキューイングをする、ペアやグループというよりは1人で実施できるメニューを組む等の工夫が必要になると思われます。
よく考えれば当たり前のことかもしれませんが、参加者にもっと効果を感じてもらう・楽しんでもらうために細部にこだわって提供することが大切だと気付かされました。
またそのうち自分がメニューを提供する番が来るので、この学びを活かしてレッスン内容や指導方法を考えていきたいと思います。