緑のゆび
近所におっさんがいる。
彼はハゲて太って汗をかいている。
よく通る道に、彼のおうちは建っています。
ご家族で住んでるらしき普通の戸建てです。
その玄関先では、いつもお花や野菜が、とってもきれいに健やかに育ってるんです。
本当にいつでもなにかしら、季節に合わせて、花が咲いているんです。
地植えだけでなく、プランターにも終われば次の苗木や球根が植えられ、花が絶えることがないんです。
最初、ここんちのお母さんはすごいなあ、マメだなあ、緑のゆびなんだなあと通りかかるたびに思っていました。
でもある日、ハゲて太ったおっさんが、汗かきながら植え替えしているのを見てしまったんです。
またある日は水をあげている。
ある日は支柱を立てている。
お母さんじゃないんだ‥、お父さんだ‥‥!
勿論、男性が花を育てたり玄関先をきれいにしたりするのは当然のことで、何もおかしなことはありません。わたしが無意識にお母さんだと思い込んだだけで。(わたし統計では、おうちの庭を花だらけにしてるのは女性が多かったもので)
すごい‥。
この人、植物育てるの上手いし、ちゃんと面倒みられる人なんだ‥!
そう思いました。尊敬しました。
お疲れ様です、いつもお花見てますきれいですね!と話しかけたくてたまらんかったのです。
でも、おっさんはわりと怖い顔をしている。不機嫌そうで隙がない。
そしてちょっともこっちを見ない。
目が‥。目が合えば。目があって、笑いかけることができれば‥‥!
せめて挨拶ができれば‥‥!
そう。
その日わたしはやりました。
ずっと通るたび、パイセンがいるたび、ガン見してきました。(キモイか)
目があった隙を逃さず、精いっぱいの好意を込めて
「こんにちは!!!!!!」
パイセンがおっさんなら、こっちは通りすがりの知らないおばはんです。
パイセンはかなり驚いていましたが、返事をしてくれたのです。
それ以来、出会ったら必ず毎回挨拶しています。
ほらもう、挨拶しあう間柄じゃん。
会話が出来るのももうすぐかもしれない。
楽しみだなー!!!!
パイセン!!!
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