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46 スカイ・ロード

 オペレーション室を出て数歩歩いた後、ジルは振り返って扉を見つめた。
 あの様子はただ事じゃない。恐らくカイザーの元恋人か何かだったのだろう。
 勢いに飲まれただけか、それとも女の尻に敷かれるタイプなのか、いつもの冷然とした態度はなりを潜め、しどろもどろになっていた。なんか意外な一面を見た気がする。
 ばたばたとした足音に気付いて視線を廊下に戻すと、前方からポルヴィ大尉が走ってくるところだった。
「おい! な、い、お、い?」
「どうしたんすか? 何言っているかわからないっす」
 汗だくで走ってきたポルヴィ大尉が、膝に両手をついて肩で息をする。相当息が上がっているらしく、二度程大きく肩を震わせて深呼吸したあと、顔だけをジルに向けた。こめかみを伝う汗が床にぽたりと落ちてはねる。
「だ、今……お、女の……」
 この開発設計局には女性兵士は極端に少ない。女のという単語自体が誰を指すのか、さすがにジルにもすぐにわかった。一度肩越しに扉を見つめたあと、ポルヴィ大尉に視線を向ける。

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