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フレーバーデザインを考える。1
レストラン時代は様々な食材を一皿に盛り合わせて、口の中で食材が合わさることで変化を生み出してきました。これは多様な温度や食感に変化させることができたので簡単に成り立たせることができます。
素材のサイズを変えることで噛む回数や噛み心地を変化させたり、温度に変化をつけることで香りの立ち方も整えられる。甘いものは甘く、塩気のものは塩を効かせることで口内での五味のバランスも調整できた。
今思うと本当に自由な状態でフレーバーデザインを作れていたなと感じます。
Mr. CHEESECAKE の難しさ
ただ今やっているMr. CHEESECAKE ではそうはいきません。
一本のチーズケーキという形でどれだけの変化の幅を生み出せるのか。冷凍-18℃から10数℃までの30〜40℃の中での変化をどうデザインするかはとても難しいです。
素材を全て混ぜて焼き上げることから全体は同じ味の印象になりやすい。その中で変化をつけるには合わせる材料のフレーバーバランスを計算して、リンクする値を増やしながらもそれぞれのかおりが活きるようにしなければなりません。
今回ハロウィンフレーバーは『チャイティーパンプキン』ですが、所謂かぼちゃスイーツのかぼちゃ100%の感じではなく(クリームチーズなどが入るので必然的にかぼちゃ感は薄まってしまうので)Mr. CHEESECAKE らしく香りに特徴のある仕上がりにしました。
かぼちゃはウリ科なので独特の青い香りがあります。この香りをチーズと混ぜた後も引き出すために、同じ青さの要素を持つ紅茶を合わせました。これはシェフ時代から個人的に好きな組み合わせでかぼちゃから紅茶の要素を感じて合わせてみたところとても美味しかったので調べてみたら共通項があったといった感じです。
紅茶を口に含んでからかぼちゃを食べるとかぼちゃの香りをより感じるようになります。
ただこの二つの要素だけでは香りの変化が単調になってしまい味的にも甘さが立ってしまうので、抑揚をつけるために紅茶と相性のいいスパイスを組み合わせて全体のバランスを取っています。
また、通常のミスチのように温度帯で香りが変化するようにスパイスの量であったり紅茶の茶葉をそのまま加えるなどの調整もしています。かぼちゃを感じやすくするために酸味も控えめに。
味と香りは連動している
人は五味から香りを連想して記憶からその味わいを思い出します。なのでかぼちゃの味わいを連想させるには酸味よりも甘味を活かしたほうがいい。
Mr. CHEESECAKE は酸味の強いタイプですが、かぼちゃの味と香りを活かすには酸味を減らしたほうがいいのです。この辺りは素材ごとに調整する必要があり、なおかつ味と香りのバランスを取らなければいけないのでかなり難しく細かな調整と高い精度が求められます。
求める香りと味わいが一致していなければ、香りの伝わり方が変わってしまうからです。レモンの香りを活かしたいのに酸味が全くなければレモンの印象は薄れてしまいます。全体感を捉えつつ、素材ごとの香りの変化を意識して五味と香りを設計する。
このフレーバーデザインが僕の一番の強みだと思っています。
しかし一番大切なのは食べた人がどう感じるか?です。
なので食材だけに向き合うのではなく、この組み合わせがどんな人に好まれるかや、キャッチーさがあるのか、Mr. CHEESECAKE らしさはあるか、季節感はあるかなどもとても大切です。
クリエイターとして自分の表現したい世界観はありますが、それ以上に食べた人が心温まり、豊かになれるような、そんなチーズケーキを生み出していければなと思います。
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