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おいしさをデザインする。vol.5
なんだかんだで5回目。誰かのためになっていればいいなと思う今日この頃です。
前回の記事はこちら。
さて、前回はヒラミレモンという夏のフレーバーについて香りのデザインの話をさせてもらいました。
そもそも香りのデザインという感覚はいつどうやって身についたのか?という話を少ししていきます。僕もいきなり出来るようになったわけではなく、修行中の自分の感覚を言語化し体系化した結果今のような考え方に行き着いたのです。
おいしいをどうやってインプットするのか?
僕は20歳からレストラン業界で働き始めましたが、その頃から味をどうやって記憶するか?を考えていました。料理を始めた頃は経験も浅かったでの、正直何を食べても一定美味しく感じていました。
しかしその中でも特に印象に残る料理はメモを残すようにしていたのです。当時はまだスマホも出たばかりで(実際には23〜4歳でIphoneがでた)写真に残すのは今ほど気軽ではなく、文章で残すことが多かったのです。
そして文章も、料理の内容を詳細に記すというよりは、自分の中で因数分解した料理の軸となる構成要素を3つだけ切り出してメモしていました。
例えば
レモン ハーブ バニラ
ラズベリー バルサミコ イチジク
オイスター スピナッチ 春菊
このような感じです。なぜ詳細に書かなかったかは、その料理の影響を受けすぎたくなかったから、そして、その料理の構成の本質的な価値を理解したかったからです。自分がおいしいと思った料理をそれ以上に仕上げるのはとても難しいことで、そのインパクトが強いほど難しくなります。
だからこそ、要素のみを抽出してセオリーを学べる形に落とし込んでいました。ただ本当に記憶に残る料理はいつまでも詳細を語れるものなのですが、、、。そうやって自分の中でおいしさの記憶の残し方が生まれ、それは今も続いているのですが、このやり方が僕の香りのデザインに繋がっていくこととなりました。
おいしいとはどのような状態なのか?
おいしい、これはとても直感的で反射的で刹那的なものです。言語化するとチープになる感覚もあるのですが、自分が料理を作る上でこれが出来なければスタッフにおいしさの感覚を共有できないと感じていたため、自分なりに言語化することを続けていました。
いざ自分でシェフになると、自分の料理を考えなければいけません。人に言われたレシピで作るのではなく、全てを自分で決めないといけない。1皿の構成もコースの流れも、使う器も調理器具も、食材をどの産地のどの生産者の方から頂くかも全てです。
料理は総合芸術ですが、そのほとんどをシェフ1人が担うという特殊な世界だと思っており、それはとても大変な世界。だからこそ、実際の料理を提供するまでのオペレーションの部分だけでもスタッフとしっかりと共有しなければ話になりません。
自分の料理を作るときに見返すのは、自分が貯めてきたおいしさのセオリーをまとめたメモです。3種類の食材が書かれているメモを見直しながら、なぜこの組み合わせがおいしいと感じたか?を再思考します。
その時に気がついたのは、3つの主要な食材の相性が絶対的に良いことです。単体で食べるよりも遥かにおいしさを感じる組み合わせで、もちろん食材の調理法でもそのバランスは変わるのですが、根本的な相性の良さは間違いない。
さらに強い記憶に残っているおいしい料理には、3つの要素には入らないが、とても重要な役割をしている素材がある事に気付き、それが更なる深みを与えていることを知りました。そしてそれは香りの要素が強く影響を与えていて、その香りに気付けるようになったのはある訓練をしたからでした。
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