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スパイスと私。#1,スパイスとの出会い
料理人として修行を始めた頃、一番苦手だったのはまかないでした。
ただでさえ忙しい中で仕込みとは別にスタッフの食事を作る。それも舌の肥えたプロたちを相手に。毎日が憂鬱で、美味しいものを作ろう!という感覚になるまでに時間がかかりました。
就職をするまでにまともに料理を作ったことがなく、ましてや10数人分なんて未知の世界。そんな中でご飯をちゃんと炊くこともできませんでした。そしてカレーをまかないで作った時に先輩から言われた言葉が今も胸に残っています。
『プロならルーなんて使わずにうまいカレーを作れ』
もう何ていうか痺れると同時に何いってんだこの人はって感覚が同時に来ましたね。カレーってルーで作っちゃダメなんだと。この時代にそんなことがあるのかとびっくりしましたね。
でもそのおかげで料理への向き合い方というか料理人としての心構えを教えたいただいた感覚があります。
僕の働いていたレストランが特殊なのか、フランス料理というジャンルがそうさせるのかわかりませんが、フランス料理はどの料理にも派生が効く一番優れた料理だ!的なことを叩き込まれました。
だからこそ、まかないであろうと専門店の味を超えたものを作れと散々言われました。料理人は食べることが好きなので多彩なジャンルの料理を食べてます。料理ごとにどのお店がうまいかを使い分けるくらいに。
このような経験から僕はカレーと向き合い、スパイスと向き合うことになりました。そして師匠の下村シェフがスパイス好きなこともあり、僕自身もスパイスの世界へと誘われました。
スパイスの香りと魅力
このコラム?ではスパイスの話をしながらどんな味や香りの性質があり、そんなものと相性が良いのかを実体験と共にお話をしていければと思っています。
スパイスというと最初に思い浮かぶのはカレーだと思いますが、それ以外にも様々な料理に使われていますし使えます。味と香りの要素で言えば甘い、辛い、苦い、爽やか、籠もった、と色々ですし、旨味を伴った香りのスパイスもあります。
大切なのは香りの印象だけではなく、どんな味と相性が良いのか、どんな性質を持っているのかを理解することです。スパイスは料理を美味しくさせるだけではなく、健康にも密接に関わっています。自分にあったスパイスを探すのも面白さの1つですね。
香りは人の心を前向きにして、人生を豊かにします。
スパイスを通して料理の楽しさと香りの面白さを伝えていこうと思います。
カレーだけじゃない、スパイスの世界へようこそ。
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