人間が属する「集団」の心理とは?

「同調」「集団思考」などの集団独特の心理傾向が与える影響

人間は集団の中で生きる社会的動物です。
集団は、人間に個人とは全く違う心理状況を生じさせ、そこに適応するためにさまざまな行動を起こさせます。集団に適応するための「同調」「集団圧力」「集団思考」などの集団心理について理解を深めていきましょう。

「集団」が人間の行動に与える影響

僕たち人間は、さまざまな人と関わりしながら「集団」の中で生活をしています。

なぜ、集団で生活をするかというと、前述したように、集団で生活した方が、個体で生きていくよりも便利なためです。

しかし、僕たちが所属する集団は、いつも協力的で、支えあっているわけではありません。

時には衝突したり、差別やいじめなど、集団独特の人間関係のトラブルはさまざまな場面で生じています。

また、時には集団を維持すること自体が困難になります。
集団が解散してしまうこともあります。
そして、あまり知られてないことですが、集団独特の心理的効果により、他者を助ける行動が生じにくくなったり、非常に危険な状況を生み出してしまうこともあります。

なぜ、そのような問題が生じてしまうのか、人間の集団心理について理解を深めていきましょう。

みんなと同じでいたい「同調」の心理

僕たちは、自分の意見が周囲の大多数の人が支持する意見と食い違ってしまうと、不安を感じり意見や行動に合わせてしまうことがあります。

なぜ、この同調が現れるかというと「周りの人と同じでいたい」「正しくありたい」という思いや、大多数の人が支持している方が正しいと思い込みやすい傾向があります。

また同調は「集団圧力」という集団独特の心理的効果によっても生じてきます。

集団圧力は異なった意見を言うメンバーに対して、集団の大多数の動きに沿うように働きかけ、メンバーが逸脱しないように心理的に拘束することです。

もし、集団圧力に屈しないメンバーが現れた時は、一致団結して逸脱したメンバーを孤立化させるなどの行動が発現することがあります。

多くの人はこの孤立化を恐れ、集団圧力に屈し、たとえ正しい意見だったとしても、行動や考えを改めてしまうのです。

集団思考がもたらす危険な状況

集団決定が必ずしも個人決定より優れているとは限りませんが、集団内で討論をする時、場の雰囲気を壊すのが嫌で重大な問題点が見過ごされることが多々あります。これを専門用語で「集団思考」と言います。

「集団思考が生じやすいのは」
①集団が外部から隔絶されていること
②高いストレスがかかっていること
③支持的なリーダーがいること

と言う三つの条件が揃った時です。

この三つの条件が揃うと、集団全体が間違った方向に導かれる傾向が見られやすくなります。

集団思考が生じると「僕たちが間違っているはずがない」と言う自信過激な心理状態に陥り、都合の悪い情報を軽視し、異なる意見はことごとく排除しようとします。

こういった心理状態が、危険な状況に導いてしまうことがあります。


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