人間の感情にはどんな種類があるのか?
「基本情動」と社会的感情」が、人間の心の動きとなって表れる
人間の感情は「基本情動」と人間独特の「社会的情動」から成り立っています。
社会的感情は、人間社会に適応していくために重要な機能を果たしますが、自分を守るために基本情動が動くと、社会的感情は止まります。
その結果、「感情的な人」とネガティブな評価をされることがあるのです。
全ての人に共通する基本感情
僕たちは日々さまざまな感情とともに生活をしています。
その感情には2種類があります。
まず一つ目が、遺伝子的にプログラムされた人間の本性である、
「基本情動」と呼ばれる感情です。
この感情は、脳の「大脳辺縁糸」という部分の動きによって生じる感情で、動物的本能を支えるために機能しています。
基本情動という感情は
「恐怖」
「怒り」
「悲しみ」
「喜び」
「驚き」
「嫌悪」
この6の感情で構成されています。
文化や、環境などの外的な要因の影響を受けやすい特徴を持っています。
例えば、喜びという感情から生じる「笑顔」は、近代文明とは
隔絶された部族でも共通する感情です。
僕たちは、他者の「笑顔」を見ると、直ぐに「喜び」と結びつけ、安心して
その人の笑顔と向かい合うことができます。
このように、全ての人間に共通する基本的な感情を、基本情動と呼びます。
人間独特の感情である社会的感情
その一方で、人間は基本情動に加え、社会的動物として機能するために必要な
「社会的感情」と呼ばれる感情を持っています。
身近な社会的感情で言えば、
「正義感」
「誇り」
「罪悪感」
「恥」
「愛」
「感謝」
などが挙げられます。
基本情動の多くは、動物的本能を支えるために機能するもので、
犬や猿などの他の動物にも見られる感情です。
しかし、社会的感情は、人間という動物にしか見られない感情だと言われます。
(愛は他の動物にも見られる感情ですが、本当に愛という感情から行動が生じているのかは科学的にはまだ未解明のままです。)
社会的感情は、人との関わりの中で生じるもで、人間関係という社会的集団の中で生活をしていくために、とても重要な機能を果たしてくれます。
それでは、社会的感情が僕たちの行動・思考傾向にどのような影響を与えているのか、学びを深めていきます。
社会的感情が突き動かす人間の行動
社会的感情は、人間関係の中で生じる感情です。
例えば、「正義感」は、集団に適応するためのルールを規定し、集団に適応するように自分の行動を修正し、他の人が逸脱行為をした場合には、集団に適応する
ように働きかける感情です。
そして、「感謝」は相手からの好意に対して、それに見合ったお返しをして、お互いが良い関係を築くための絆を形成する感情です。
「罪悪感」や「恥」は、相手を誤魔化したり、傷つけることに不快感を感じ
集団に適した振る舞いをするように人間を突き動かす感情です。
社会的感情は、「大脳新皮質」という脳の新しい部分から生じており
理性的な判断、理論的な分析など、人間らしい行動を司る心の動きに
影響を与えていると言われています。