人間はどのように「心」を認識するのか?
人間は「感情」の動きで、目には見えない自分の「心」を知覚する
僕たちは、感情の動きで心の存在を感じることができます。「感情」という言葉は、マイナスイメージで用いられることが多いですが、自分を守るために重要な役割を担い、人間関係を円滑にするためのシグナルとして機能する優れた知性なのです。
人間は自分の心を、感情の動きで認識する
僕たち人間は、目では見えない自分の心を、感情の動きによって知覚しています。
そもそも感情とは「嬉しい」「悲しい」など、人間の感じるままの感覚のことを言います。
「感情が豊かな人」というポジティブな捉え方をされることもあります。
その一方で「感情的な人」「感情に走る」など、良いイメージを与えない表現で用いられることもあります。
最近では感情に対してネガティブなイメージを抱く人が多いのが現状です。
このように感情がとらえられるようになった背景には、脳で客観的に考えられる理性的な思考が、感情的な思考よりも優れていると認識されるようになったためです。
しかし、最近の心理学研究では、感情と理性は相反するものではなく、協調しながら生活や社会の営みを支えていることが明らかになってきました。
それでは、マイナスイメージを与えやすい感情の未知なる側面を理解していきましょう。
感情が「動機付け」を行う
もし、歩いているあなたに車が突進してきたら、あなたはどうしますか?
まず「恐怖」という感情を感じ、その後「逃げる」という行動に出るのではないでしょうか?
僕たちは強烈な感情が生じると、それまでの行動を強制的に中断させ、その感情に関わる事柄に意識を集中させる傾向を持っています。
そして理性などの意識を停止させ、その感情が突き動かす行動を最優先させる傾向にあります。
すなわち「行動」を起こすための動機づけを行なっているのは、感情だといえるのです
特に「恐怖」「不安」などのネガティブな感情は「逃げたい」という強い欲求を生み、逃げるための行動に激しく駆り立てます。この欲求は他の思考を全て停止させ、最優先に行動に向かわせるほどの強い欲求です。
このように感情は自分自身を守るために重要な役割を持っています。
感情は他者とのコミュニケーションをとるシグナル
感情は、自分の身を守ったり、動機付けを行うだけでなく、表情や声、しぐさを通して人に伝えることで、他者とのコミュニケーションにも役立ちます。
例えば笑顔は相手に親しみを感じさせるサインになり、相手と良い人間関係を築くのに役立ちます。
一方、怒りの表情は他者に自分が不快に感じていることを伝え、これ以上その不快な関わりを続けるのであれば、何かしらの攻撃行動に出るというサインになります。
そしてこのようにサインを送ることで、相手に自分の気持ちに気づいてもらい、激しい衝突を避けることも可能になります。
つまり感情は、人間関係をよりスムーズに、円滑に進めるためのシグナルとして機能しているのです。