【タノクラ】新潟西区の重要文化財・中原邸ガイドマップに込めた想い
新潟で活躍するクリエイターをキャスティング
1878年の明治天皇の北陸巡幸の際に御殿が置かれたことで知られる、新潟が誇る文化財・中原邸。約4000坪の敷地内に、草木に囲まれた当時の建造物がそのまま残っている。2018年に登録有形文化財として登録されており、毎年4月と10月に一般公開されている。
今回新潟家守舎は、赤塚・中原邸保存会からのご依頼で、ハシゴデザインの高橋さんとともにガイドマップを制作した。一般公開時などにお客様の手に渡り、見ながら邸内を観覧いただいたり、近隣の学校への配布が予定されているガイドマップだ。
赤塚・中原邸保存会の皆様は、月1回の定例会議や一般公開のための敷地の整備・清掃なども行ってくださっている有志団体だ。これまでにも保存会の皆様からのご依頼で、高橋さんとともに大野町、内野町、赤塚と3つのエリアのガイドマップを制作してきた。
紘大さん(以下、紘大) 今回は4回目ということで、これまでの集大成となるようなガイドマップにするために。新潟を中心に活躍されているクリエイターの皆さんに、ジョインしていただきました。
紘大さんをクリエイティブディレクター、高橋さんをアートディレクターとして、各業務を下記のように分担した。
ディレクション:小林 紘大(新潟家守舎)
デザイナー:高橋栄一(ハシゴデザイン)
写真:松崎典樹(NON SUCH Photography)
取材・ライティング:ヤマシタナツミ
スケッチ:長谷川達也(新潟家守舎)
WEB制作:中島遼(はくちょう計画)
協力:新潟市(西区役所農政商工課)
編集発行:赤塚・中原邸保存会
『宝物のような一冊』がコンセプト
2023年。まずは、紘大さんが中心となって与件整理を行っていった。
紘大 ただ大勢に配って読み捨てられて終わり、とならないように。『ひとりに刺さる、宝物のように大事にとっておきたくなるガイドマップ』をコンセプトとしました。
企画がまとまり、2023年9月には、邸内の掃除から進めていった。
紘大 ガイドマップ用の邸内の撮影時などに、一般公開時されていない区画まで入らせてもらって、本当に貴重な経験ができました! 建具や意匠の一つひとつに、テンションが上がりましたね。
ガイドマップのレイヤーを決めて臨んだため、撮影カットの判断に時間がかかることなく、取材・撮影ともにスムーズに進行した。
新潟出身の松崎典樹さんが、撮影を担当。ライトの当て方ひとつにもこだわりが光る。
ヤマシタナツミさんには、ライティングと取材を担当してもらった。全国的に有名な、1878(明治11)年、明治天皇が北陸巡幸の際に立ち寄ったという歴史。ここを打ち出して、建造・家紋のデザインなどの情報も盛り込む。幅広い中原邸の魅力を、ポイントを絞ってまとめていただいた。
そして、新潟家守舎の長谷川達也さんには、あえてキャドではなく手描きで中原邸をスケッチしてもらった。この手法は、味があって目を引く。
メイン写真の左側に写るのが、建具と呼ばれる部分を取り外した建物外観。引き込まれるような印象の1枚に仕上がった。緑が、屋根上部の補修箇所をうまく隠す構図でもある。
さらに、中島遼さんにはWEBページも制作していただいた。ガイドマップとリンクする、スタイリッシュなデザインとなっている。
こうして、クリエイターそれぞれの力が組み合わさって、無事にガイドマップが完成した。
「興味の導線」を引けば、可能性は広がる
先日行われた4月の一般公開では、ガイドマップを片手に邸内の散策を楽しまれる多くのお客様の姿を見ることができた。
紘大 歴史を分かりやすくまとめたのはもちろん、「釘隠し」に関する情報を盛り込んだり。建築に明るくない方でも、ちょっとワクワクしたり、フックになるような情報を盛り込みました。
魅力あるモノに、興味を持ってもらえる導線を引き、仲間と一緒に最適なデザインをして、必要な人や場所に届ける。新潟家守舎の得意分野を、文化財に関する仕事で発揮できたことが、とても嬉しかったです。これからも、大好きなエリアの魅力を広く届けて、可能性を広げていけるよう、頑張ります!
中原邸は通常時公開しておらず、春と秋の一般公開が開催されます。そのタイミングで是非お越しください^^