見出し画像

13 企業会計なんてわかんないよ。

今の仕事は病院経営コンサルタントということになっていますが、私のところは公立病院さんにお声をかけていただくことが多くて、特に私はほぼ公立病院経営コンサルタントというニッチなお仕事になっています。

私自身は、役人時代に水道用水供給事業で4年と病院事業で6年の計10年公営企業でお仕事をして、最初に入ったときには、はっきり言って公営企業会計なんて全くわかりませんでした。
「3条予算?4条予算?なんの3条と4条なの?地方公営企業法?」
「発生主義会計?なにそれ?」
「損益赤字なのになんで潰れないの?現金があるの?」
というところでした。

で、今の仕事に入って2年経ってみて、現場の事務職の皆さんとお話をしていると、「私、公営企業会計初めてです」というのは普通の話で、「来る前は土木だったんで、補助金はわかりますけど損益なんてわかりません」ということも度々です。
私も簿記3級の準素人ですが、それでも一応仕訳とか試算表とかいうことはわかるので、予算や決算がどういう流れで損益計算書や貸借対照表になるかはわかります。でも、首長部局から初めて病院に来られた皆さんは、私が初めて水道用水供給事業に行った時と同じように、こういう企業会計は全くわからないわけです。そういう皆さんがまず決算で苦労して、そして日々の業務で苦労して、予算編成でも苦労されているのを拝見すると、自分の昔を見ているようでした。

ということで、自分の昔を振り返って、分からなかったことや混乱していたことを思い出して、それを説明する資料を作って首長部局から初めて病院事業会計に来た人にミニ企業会計・簿記講座をやる、という取組みを始めました。

まずは、取引、勘定、仕訳などの企業会計と簿記の基本的な用語の説明です。公務員は、取引というと何やらいかがわしいイメージを持つし、勘定と言うと足し引きの計算のことだと思います。仕訳と言うと昔はやった事業仕分けのことですか、借方って借金が増えてまずいことですか、となりますのでこれらの用語の整理を行います。
続いて、収益と費用の損益計算書勘定、資産・負債・資本の貸借対照表勘定の形を説明して、仕訳で借方・貸方のどちらに置いたらそれぞれが増える、減るという関係の説明で、仕訳の仕組みを理解してもらいます。
ここまで来たところで、取引が、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書のいわゆる財務三表にどういう形で反映されるのか、そして、この三表はそれぞれに関連していることを理解してもらいます。
それから、費用と収益の繰延と引当という、一般会計にはないやり方を理解してもらい、最後に病院事業会計に大きな影響を与える長期前受金についてご説明する、という1回30分で5回のメニューを作りました。今のところ、一つの病院で4回目まで終わっていて、もう一つの病院にはご理解をいただいて我々がお伺いしている他の病院様も一緒に2回目まで終わりました。

リモートの勉強会で、まじめな公務員の皆さんは表情をあまり出してくれないので、受け狙いもできない苦しいものですが、一応まあまま良かった以上の評価をいただいています。

でも、本当はこれくらいの知識は最低限持っておかないと、自院の経営のどこに問題があるかわからないはずですから、本来は病院がちゃんと職員に勉強の機会を作っておくべきです。そうじゃないと、本当に予算と決算が正しいのかわからなくなります。議員さんもどうせわからないからいいや、では済まないんですよ。

ということで、このノートをお読みになって興味を持たれた公立病院の方はご連絡ください。私自身のブラッシュアップも含めて、できるお助けはやりたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?