【ジョジョnote】第4部考察 その④ バイツァ・ダスト考察
7. バイツァ・ダストについて
第4部の考察最難関は、バイツァ・ダストだ。
これをきれいに解説しきることは正直無理なのだが…
バイツァ・ダストにまるわる疑問と、勘違いしてしまう部分を見直しながら、その全体像を考えてみたい。
7-1. バイツァ・ダストの謎とよくある勘違い
まずは、謎を並べてみよう。
・謎① バイツァ・ダストが発動したときには何が起きているのか?
・謎② 早人が死んだという「運命」はなぜ起こらないのか?
・謎③ 本編で露伴が最初に爆破された(ように見える)のは実際は何周目なのか?
・謎④ 露伴の爆破が1周目でないなら、それ以前に爆破されたのは誰か?
そして、勘違いしてしまいがちなことも書いてみる。
・勘違い① 早人は最初の時間逆行から既に爆弾に変えられている
・勘違い② バイツァ・ダスト発動中に起きたこと=運命は変えることができない。
・勘違い③ バイツァ・ダストで時間が戻る条件は、「新しい爆弾を設置する=新しい犠牲者を生み出す」こと
7-2. バイツァ・ダストの発現
バイツァ・ダスト(BD)は、早人を誤って殺してしまい絶望に陥った吉良が、矢に射抜かれることで発現した能力だ。
漫画本編では、そのシーンは詳細には描かれていない。
(「アナザーワン バイツァ・ダスト その①」(コミックスたぶん45巻、文庫版28巻、p17 1〜2コマ目))
アニメ版では、謎の時空に飲み込まれて時間が戻っていた。
仗助たちに敗れた吉良が、救護に来た女性をターゲットにしようとしたときも、結局発動しなかった。
したがって、吉良がやったように爆弾を押す動作が発動のきっかけかどうかも不明だ。
つまり、「実際に何がどうなってBDが発動するのかはわからない」。
正確に回答するならこうゆうことになる(謎①)。
しかしだ。
逆にいうと、「早人を爆弾に変えて、それを爆発させて時間を戻した」わけではないのだ(勘違い①)。
実際、BD発動中に時間が戻るときに早人自身は爆発していない。
勘違いと実際を整理してみよう。
勘違い
早人(死体)の爆弾化
→ 爆発
→ 時間の逆行
→ 早人死亡前に戻る(吉良だけが逆行した記憶を持つ)
実際
突発的な時間の逆行
→ (描かれていない)早人へのキラー・クイーン(KQ)の取り憑き
→ 早人死亡前に戻る(吉良だけが逆行した記憶を持つ)
こうして考えると、勘違いの設定では「運命は変えられない」ので、早人が再び死んでしまいそうだ。
しかし実際には、最初の逆行は
「本来起こるべき運命も一旦リセットされた状態」なのだ。
そうでないと、バイツァ・ダストが発動する意味もないよね。
吉良だけが逆行した記憶を保持していて、吉良だけが運命を改変する行動がとれる(BD発動のきっかけとなった出来事までの1時間)。
逆行した1時間の記憶を保持している吉良が、行動を変化させて、早人の殺害を回避する。
これがBDが発動したそもそもの目的だ。
運命が改変できないように固定されてしまうのは、
「時間が逆行して、早人にKQが取り憑いた後」の出来事だ。
解答
謎① バイツァ・ダストが発動したときには何が起きているのか?
→ 何が起きたかは正確にはわからないが、時間逆行→KQの早人への取り憑きという時系列でBDが発動したと予想される
謎② 早人が死んだという「運命」はなぜ起こらないのか?
→ 最初の逆行では運命も含めて一旦リセットされる
(望ましくない出来事を回避することが、BD発現の目的だから)
勘違い① 早人は最初の時間逆行から既に爆弾に変えられている
→ そもそも早人は爆弾には変えられていない(取り憑いているだけ)
→ 時間の前後関係は不明だが、少なくとも取り憑き→時間逆行という描写はどこにもない(アニメ版を踏まえると、時間逆行→取り憑きが妥当)
7-3. バイツァ・ダスト発現中の出来事
■時系列の確認
「アナザーワン バイツァ・ダスト その①〜③」では、
BD発現の翌朝、早人が起床したところから、露伴が爆破されて時間が逆行するところまで描かれている。
しかし、ヘブンズ・ドアーで早人の記憶を覗いた時に、そこには既に起こる出来事が書き込まれていた。
すなわち、本編で1周目のように描かれていることは、実際には少なくとも2周目以降であることが確定する。
そうすると、2つの疑問が浮かぶ。
・謎③ 本編で露伴が最初に爆破された(ように見える)のは実際は何周目なのか?
・謎④ 露伴の爆破が一周目でないなら、それ以前に爆破されたのは誰か?
「アナザーワン バイツァ・ダスト その⑨」(コ46巻、文29巻)で、
吉良は「『四回』は往復しなければ思いつかない『考え』だッ!」と予想しているが、これはまぁまぁ当たっている(というかそのつもりで書かれているのだろう)。
吉良の予想に基づく時系列
1周目:(描かれていない)→?が爆破
2周目;本編で1周目のように描かれている→露伴が爆破
3周目:早人は露伴の爆破を回避しようとするが失敗→仗助たち4人が爆破
4周目:猫草のアイデア→吉良殺害は失敗するが、仗助の早起き登場でBD解除
2周目の時点で、露伴の死が早人の記憶に刻まれているということは、1周目で死んだ人も露伴、ということになる。
そうすると、
『新しい犠牲者を生み出して』、それが爆破した時の爆風で時間が戻る
という考えは勘違いということになってくる。
なぜなら、同じ人物が爆破されても時間が逆行するから。
■BD無限ループ説
そうすると…
露伴の爆破で無限ループしている可能性が出てくる!
実際、吉良が矢に貫かれた後、翌朝になったシーンでは。
実際は2周目以降のはずの早人は、それ以前の出来事を覚えていないし、時間がループしていることにも気づいていない。
(ヘブンズ・ドアーで覗いた記憶には書かれている)
つまり、BDという能力には大きな弱点がある。
KQが取り憑いた人物が、
・時間がループしていることを認識する
・危険を回避しようとして行動を変化させる
そうしないと、吉良本人でも回避できない無限ループが発生する
という危険性をはらんでいるのだ。
吉良本人にとっては、犠牲者を確認しないとBDを解除する意味がない。
→早人を追跡して、誰かが爆破されたことを確認した後に解除しようとする
→しかし、解除する前に時間が逆行するので、解除するという未来に到達しない
(なんか、GEレクイエムみたい…)
このように、BDという能力は強力ではある。
しかしながら、吉良にはコントロールできない「憑依させた人物(早人)の自由意志」によって行動が変化しないと、BDの目的である「吉良の正体を探るすべての行為を消し去る」ことが達成できないのだ。
■何が改変できて、何ができないのか?
この「憑依させた人物(早人)の自由意志」という点が、
勘違い② バイツァ・ダスト発動中に起きたこと=運命は変えることができない
とも関係してくる。
そもそも、改めてBDという能力を考えてみると、
「時間の逆行を繰り返して、出来事(特に爆破)という結果・運命を蓄積させる能力」なのだ。
本当に一切の運命を変えることができないなら、仗助にモーニングコールして早起きさせる、ということもできないはずだ(遅刻という運命も変えられないはず)。
ループする時系列の中で、唯一早人だけがループ前後の記憶を保持している。
つまり、早人の行動変化によって新しく起こった出来事だけがどんどん蓄積していく。
ここで疑問になるのが、「何が改変できて、何ができないのか?」
仗助の起床時刻や、しのぶ(母親)がどのタイミングでコーヒカップにコーヒーを注ぐか、などは改変できるのに、カップの破損や露伴の爆破などは改変できない。
これは、おそらくなのだが、
「何が『結果』で、何が『過程』なのか?」
という、早人や吉良の認識が基準になってるんじゃないかな?
早人が、
「しのぶが急いで走って(過程)、カーペットですべって(過程)、その結果としてカップが割れた(結果)」
と捉えている。
だから、過程は改変できて、
「しのぶは急がなくて(過程)、ゆっくり歩いて滑らなくて(過程)、コーヒーを注いで(過程)、吉良が口元にカップを運んで(過程)、その結果としてカップが割れた(結果)」
となる。
また、別の着眼点として、
「ヘブンズ・ドアーで覗いた時に早人の記憶に残っているような、「早人が『起きた!』と認識した出来事(結果)は改変できない」
「早人が体験・認識していない出来事(結果)は改変できる」
のではないか?
仗助の遅刻については、「仗助が遅刻した」という結果のはずだ。
ただ、早人の認識としてはあくまで「伝聞(仗助は遅刻したらしい)」という状態なので、まだ改変の余地があった、のかもしれない。
■BDで時間が戻る条件は?
このように、早人の行動によって生じた変化が、運命の分岐を生み出していくわけだが。
それでは、BDによって時間が逆行する条件は何なのだろうか?
先程も述べたように、「新しい犠牲者の爆破」が条件ではない。
僕は、「BDの爆風圏内に早人がいて、爆風に巻き込まれること」だと考える。
こう考えると、BDにまつわることの説明がつく。
解答
謎③ 本編で露伴が最初に爆破された(ように見える)のは実際は何周目なのか?
→ 少なくとも2周目以降だが、実際にそれ以前に露伴爆破のループが何回発生しているかはわからない
謎④ 露伴の爆破が1周目でないなら、それ以前に爆破されたのは誰か?
→ 最初に爆破されたのが露伴で、その爆風に早人が巻き込まれることで時間逆行を繰り返している
勘違い② バイツァ・ダスト発動中に起きたこと=運命は変えることができない。
→ 早人の自由意志によってある程度は改変できる(過程のみ)。ただし、早人が「起きた!」と認識・記憶した出来事(結果)は改変できない。
勘違い③ バイツァ・ダストで時間が戻る条件は、「新しい爆弾を設置する=新しい犠牲者を生み出す」こと
→ 早人がBDによる爆風に巻き込まれることが条件
こう考えると、実は早人には逃げ道が1つ用意されているような気がしてくる。
「吉良殺害やBD解除に失敗したら、露伴のところに走っていって爆風に巻き込まれる」
そうすると、何周でも時間を戻して吉良殺害に再トライするチャンスが得られる…のかもしれない。
7-4. バイツァ・ダストの解除
あとはさらっといこう。
僕は、「仗助が現れたことでBDが解除された」ということは大きな意味があると考えている。
BDの能力によって歪んだ時系列を、仗助が「元に戻した」のだ。
あと、ちなみに。
BDは「吉良の正体に気づいた人の瞳に映る」ことによって相手を爆破する。
ここにも、第4部のスタンド身体・心関連説の片鱗がみえる。
7-5. 康一のささやかな復讐
吉良は最終的に、BDを再び発動しようとしたときに、康一のエコーズACT3によって手を重くさせられたために発動に至らなかった。
僕は、これは康一のささやかな復讐だと思っている。
シアーハートアタック(SHA)戦を思い出してほしい。
康一はSHAを重くすることで、吉良をおびき出すことに成功した。
この時重くしたのは「吉良の左手」だ。
しかし、左手を引きずりながら吉良が現れた時に、KQに吹き飛ばされてSHAから離されてしまい、射程距離外に出て重力が解除する。
そして、KQとSHAのどちらを重くするかを躊躇したためにボコボコに殺されかけたのだ(てか、ほぼ死んでる)。
そして、吉良最終戦の終盤。
BDを発動しようとしている吉良に対して、躊躇なくエコーズACT3を食らわせている。
この時重くしたのは「吉良の右手」だ。
このように、康一はSHA戦で果たせなかった屈辱をはらし、吉良の右手を重くしてやったのだ(と僕は勝手に妄想している)。
8. 最も「黄金の精神」を持っていたのは誰か?
第4部考察のラストは、最も「黄金の精神」を持っていた人を考えたい。
僕は、康一だと考えている。
■黄金の精神とは?
そもそも、黄金の精神とはなんだろうか?
これは、ジョセフが第4部の最後をまとめるように言った言葉で、
第3部のエジプトに向かうメンバーに見られた、「正義」の輝きの中にあるものらしい。
でも、これだけじゃわからん笑
もう少し先に進めて、第5部も眺めてみよう。
そうすると、「ギャング入門 その⑥」(コたぶん49巻、文31巻)の康一のセリフが参考になるだろう。
要は、正義の心に基づいて行動する精神で、ジョセフ・承太郎・仗助・ジョルノの中にあるもののようだ。
つまり、少なくとも仗助の中にも「黄金の精神」があるといえる。
また、ジョセフが言うように、康一や億泰の中にもあるのだろう。
■第4部で精神が成長した人
ところで、第4部の中では、「精神が成長」した人が2人いる。
それは、康一と吉良だ。
精神の成長=スタンドの成長だ。
吉良は彼自身の独善的・利己的な正義に基づいて行動していたわけだが。
康一の場合は、杜王町やジョースター家の面々と過ごす中で成長が大きく成長し、正義の心を養っていく。
この、成長するスタンド、という概念は第4部序盤〜中盤のストーリーの軸になっていたと思う。
この、成長するということが、未来に向けて前向きな姿勢を表していると思うし、この要素が第5部のジョルノに大きく引き継がれている。
■第4部でみんなから尊敬されていたのは?
また、ジョルノにも見られるように、尊敬に値する行動をする、ということも「黄金の精神」において重要な要素ではなかろうか?
その点で仗助と康一を比較すると、
仗助は承太郎からはどこか半人前のように捉えられているし、露伴からは忌み嫌われている。
(自業自得なことがほとんどだが)
一方で、康一は承太郎からも露伴からも一目置かれている。
チープ・トリック戦の康一の行動は、あの露伴を持ってしても尊敬に値する。
また、承太郎からは、シアーハートアタック戦、バイツァ・ダスト戦の両方で認められている。
特に、エコーズACT3が吉良の右手を重くしたあとに、承太郎が時を止めた時。
承太郎は、康一に感謝している。
「康一くん…
君は 本当に 頼もしい ヤツだ
この町に来て 君と知り合えて
本当に良かったと 思ってるよ…」
(「思い出させてあげる」(コ47巻、文29巻))、
この感謝は、承太郎だけでなく荒木先生の気持ちも現れてるんじゃないかなぁ。
康一という存在が、第4部のストーリーを駆動する原動力になったことは間違いないし、そこに対して荒木先生の感謝が現れているのだと思う。
第5部への導入部分でも、承太郎の依頼でイタリアに派遣されたのは康一だ。
第4部から第5部への橋渡しという重要な役割を、承太郎が、荒木先生が康一に託しているわけだ。
このように総合的に考えると、第4部で最も「黄金の精神」を持っていたのは、康一だといえなくもないだろう。
長くなったが、これにて第4部考察を閉じる。
第5部考察は…気が向いたら書きます。
タイトル画像は仙台藩初代藩主の伊達政宗像です。