M-1グランプリ2022年のPV曲を予想しようとして「Super Beaver」のプレイリストを作ってしまった話
「M-1をネタに記事を書くと読まれるらしい」ということに気づいた。俺だって記事をたくさん読んでほしいが、M-1の感想では勝負にならない。
M-1グランプリ2021の感想は数多く書かれているが、みんな俺よりもずっとお笑いを愛していて、詳しい人たちばかりだ。太刀打ちできるはずはない。
足りない頭で考えた。
「予想すりゃいいんじゃね?」
PV楽曲を予想しよう!
予想というのは他でもない。M-1のカッコいいPVである。2020年のCreepy Nutsは最高だったし、宮本浩次の『昇る太陽』を使った2021年のPVはマジで感動した。
この2曲には共通点があると思ったんだ。
だったら予想できんじゃね?
そう安易に考えて「Amazon Prime Music」や「Youtube」をさまよい歩いた挙げ句、何日も経ってしまった。
2曲の共通点
2020年Creepy Nuts『板の上の魔物』、2021年宮本浩次『昇る太陽』の2曲には共通点がある。
1.歌で始まること。いきなり歌い出すのがベスト。
2.歌で始まってから器楽パートが入るというドラマチックな構成であること。
3.頑張る人を応援する曲であること。できれば「2人組」を応援する曲。
4.かといって、いわゆる「応援ソング」みたいなクサい曲ではないこと。
5.男性ボーカル。
Creepy Nutsも宮本浩次も、「Rock in Japan Festival」(いわゆるロッキン)に参加している。ロッキン参加アーティストもしくはバンドであって、上の条件にあてはまる曲を発表している人が2022年もPV曲に採用されるんじゃないかと推測した。
迷いに迷う日々
ここから俺の長い旅が始まった。
ありそうでないんだよ、1~5に当てはまる曲。
さらに条件として「最近の楽曲」だろうと思うと、どんどん追い込まれていくわけなんだよね。
特に1.2.の条件を満たす曲ってのが案外少ない。あってもラブソングだったり、スローバラードだったりしてロックらしくないんだ。
迷った曲を以下に挙げてみる。
サンボマスター『ミラクルをキミとおこしたい』。いい曲なんだよね。
基本的に竹原ピストルはこういう曲が多い。でもなー、しっとりしすぎなのよ。この他にもたくさんの曲で迷った。
M-1のスタッフってすごいよ。心底尊敬するしかない。
数多くある曲からビッタシの曲を見つけてきて、胸を踊らせるPVを作るわけで。プロとアマチュアの差を痛感しました、ハイ。
Super Beaverがあるじゃないか
ここで福音が訪れる。
アニメ『ばらかもん』のテーマ曲を歌ったSuper Beaverである。
「そういや、『らしさ』って曲良かったよなー」と思って、Super Beaverの曲を聴いていった。
すごいことが起きる。条件に合う曲が次々に出てきたんだ。
驚いたことに、「歌で始まって楽器パートが入るドラマチックな構成」「歌詞がいい」って曲ばかりなんだよ。
M-1予想じゃなくて、Super Beaverのプレイリストを作ってこのバンドを知らない人に紹介するほうが道理に合ってるような気がしてきた。
歌詞がいいんだよ。演奏も歌唱もホントに感動的。
いいバンドなんだ、Super Beaver。
「M-1の予想してアクセス稼いでやれ」とかヨコシマなことを考えている自分がいかに小さく、みっともないか知らされたように思った。
「あさましい」
「みっともない」
もうまったく、その通り。二言もない。
だから、予想はもういいんだ。
Super Beaverの素晴らしさを知ってほしい。
「なんだよ、予想しねぇのかよ」と思ってしまった人には素直に謝りたい。ごめんなさい。甘く見てました。だから以下のプレイリストをぜひ見ていってほしい。
1.『正攻法』
「正直者がバカを見る 嘘つきの言葉は信じない 失敗は成功のもと でも失敗したいわけじゃない」で始まる。普段思ってはいるけど、口には出せないことを最初からズバリ歌詞にして歌う。この度胸がSuper Beaverの持ち味だろうと思う。
2.『美しい日』
「誰かにとって たかがそれくらいのありふれた喜びを 嬉しいと感じた瞬間に思い浮かんだのは誰?」
M-1というコンテストには「ちょっとカスッてる」程度でしかないと思うけど、いい曲なんで知ってほしかった。
3.『名前を呼ぶよ』
「今さら馬鹿みたいなこと言うけど 巡り会うことはやっぱりすごいね」
「知らないことがほとんどの世界で 互いに名前を呼び合っているなんて」
映画の主題曲でもある。「誰かと名前を呼び合う仲になること」の関係がいかに貴重なのかを歌っている。照れも隠しもせずに歌にするってのは素晴らしいと思う。
4.『人として』
M-1のPVにマッチしそうな一番の曲がこれ。
「人は騙す 人は隠す 人はそれでも それでも笑える」
「人は逃げる 人は責める 人はそれでも それでも笑える」
Super Beaverの代表曲のひとつ。「人としてカッコ良く生きていたいじゃないか」というラストの歌詞も良い。
5.『東京流星群』
「誰かが鼻で笑ったのが僕の宝だ」
「眠らない街で見た夢をこの街の中で輝かせて」という歌詞。
夢を追いかける若者ってのにぴったりな気がする。
Super Beaverは別にものすごく上手いとか歌唱力がすごいとか、そんなのではなく(もちろん演奏も歌も実際にはハイレベルなんだが)、「歌を聴いて感じてほしい」というスタイルのバンドだ。
「カッコつけちゃう自分もいる。それでもカッコつかない。そんなときは自分を笑おう。誰かのせいにするんじゃなく、自分を受け止めよう」というメッセージは、ともすれば青臭い。それを「信じられるもの」にしているのが歌唱と演奏力である。
というわけで、M-1の予想をしようとして、カッコ悪くSuper Beaverを紹介するだけの記事になってしまった。そんな俺。受け止めるしかないじゃないか。
ここまで読んでくれてありがとう。