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さよならする時に言う「絶対忘れない」は信じちゃいけないよ。

これは一種の懺悔だ。
と言うか、そんなもんだよねって話だ。

大好きだった人とさよならする時、私は少し、嘘をついた。
正確には、"嘘になった"だけれど。


「あなたと過ごした日々は私にとって特別で、一生忘れないと思う」

この時は本気でそう思っていたはずなのに、10年経てば

「なんで好きだったんだろう??」

と、好きだったことさえ信じられなくなるんだから、女って怖い怖い。

しかし、案外相手は本気にしているもので、さよならして数年後に会ったりなんかすると、まだ好きな気持ちがあるのではないかと思われるのだ。

端的に言うと、またやれると思われているのだ。

おい、気安く触るんじゃないよ。

過去にどれだけ好きだったにせよ、今好きじゃないと、触れられるのも嫌だ。なんて言うか、気持ち悪い。(濁せてない)


「特別って言ってたのに。忘れないって言ってたのに」

なんて言われても、いつまでも過去の人に執着していられるほど、人生は長くないのだ。Coccoの"強く儚い者たち"を聴いてごらんよ。

固い誓い交わしたのね
そんなの知ってるわ
「あんなに愛し合った」と
何度も確かめ合い
信じて島を出たのね
だけど飛魚のアーチをくぐって
宝島に着いた頃
あなたのお姫様は
誰かと腰を振ってるわ
人は強いものよ
とても強いものよ

見事だなと思う。人は儚いようで、逞しい。
"あんなに愛してくれていたのに…"なんて言っても、エンディングを迎えた恋物語は泡になって消えていくのよ。

+++

ハタチの頃の恋と今の恋でいうと、おそらく今の恋のほうが忘れないだろう。ハタチの頃の恋のほうが熱かったけれど、ミソジの恋のほうが重い。静かだけど、重い。

それでも、さよならすればいつか恋心と決別する日が来る。どれだけ好きでも。どれだけ泣いたとしても。


もし今さよならを言うとして、「あなたのことは忘れない」と言ったならば、それは紛れもなく、大人の嘘だ。

今の私はもう、それがいつか嘘になると知っているから。

そしてそれは、必要のない嘘だ。



#エッセイ #日記 #恋愛 #愛だの恋だの #アラサー #三十路 #泡になった恋物語


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サカエ コウ🌙.+
サポートとても嬉しいです。凹んだ時や、人の幸せを素直に喜べない”ひねくれ期”に、心を丸くしてくれるようなものにあてさせていただきます。先日、ティラミスと珈琲を頂きました。なんだか少し、心が優しくなれた気がします。