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働くという事と、自分にしかできない仕事
仕事に熱意を求めるな、と母は言う。正社員で働けて、安定したお給料をもらえたらそれでいいの、と。みんながみんな楽しさとかやりがいを持って仕事しているわけではないのよ、と。
いやだ。
仕事の根っこは好きなことや楽しいことであってほしい。熱意を持って取り組みたい。仕事自体が好きとか、尊敬してついて行きたい人がいるとか。そういう熱意がないと嫌だと思うのは、甘いのだろうか。
◆お金のために働くだけじゃ、ダメだった
派遣で事務の仕事をするようになったのは、今年の1月だった。仕事をしないと生きてはいけないので、とりあえず派遣で働いて今後のことを考えて、生活が落ち着いたら転職しようと思い、派遣という働き方に至った。
アフィリエイト広告の記事を作成したり、メルマガを配信したり、入力作業のルーティンワークをこなしたり…。メラメラとやる気があるわけじゃない。そもそも、社員の人にやる気が見られないので、派遣さんが張り切るのもおかしな話だ。
遠慮しながらコツコツこなす日々。かなり自由なので居心地はいい。おかげでnoteを更新できる日々を送れているし、やりたいこともそれなりにできる。
が、圧倒的に物足りない。
今の働き方は完全にお金を稼ぐための仕事だ。何も生み出してやいないし、大した貢献もしていない。仕事にメラメラとしたやる気を持たない生き方は、私には苦痛なのだと知った。そんな毎日を送っていると、苦い経験が蘇る。先生の声が、頭の中で響く。
◆自分にしかできない仕事
以前、店長として販売の仕事をしていた時に、セルフプロデュースのためのセミナーを受けたことがあった。姿勢を正したりウォーキングをしたり。なかなかのスパルタ教育だった。そして最後に、ある紙が配られた。そこにはセリフが数行書かれていて、そのうちの一つがこのセリフ。
「この仕事をこなせるのは私しかいない。」
『プラダを着た悪魔』のアマンダのセリフだとすぐにわかった。何度も何度も観た、あのシーンだと。
"その用紙に書かれているセリフを、自分の言葉として大きな声で読む"という課題だ。一人一人前に出てセリフを言う。その度に、先生の怒号が飛んだ。
「声が小さい!心がこもってない!あなたは自分の仕事に誇りを持っていないの⁉︎読めばいいってもんじゃないのよ!」
当時の正直な気持ちを言えば、うんざりだった。その時すでに退職が決まっていたし、自分にしかできない仕事なんてないと思っていたのだ。
本当にないのだろうか。
"自分にしかできない仕事"
本当にないのだろうか。
今ならわかる気がする。
店舗の店長は、正直言って誰でもできる。私でなくてもいい。他の誰かに変わったって、何も問題はない。けれど、この言葉の意味は、そこじゃない。
アマンダが編集者じゃなくなったって、雑誌は刊行され続けるだろう。けれどアマンダは絶対に譲らない。これまで築いてきた信頼関係や実績はもちろんだが、「この仕事をこなせるのは私しかいない」と言う確固たる自信があるからだ。自分以上にこの雑誌を最大限に引き出せる人物は誰一人いないのだと。
強い強い信念だと思った。
強い強い愛情だと思った。
本当に代わりのきかない仕事というのは少ないかもしれない。誰か一人会社を辞めたところで、会社は潰れることなく日常は回り続ける。誰かが補って、平常運転を続ける。「自分にしかできない仕事」というのは、自分の信念から生まれるのではないだろうか。その仕事にかける情熱とも言えるもの。
そう考えると、特殊な仕事じゃなくても、「自分にしかできない仕事」を見つけることはできる気がする。見つかるかもしれないと思うと、俄然見つけたくなる。そうだ、見つけたいのだ。
「この仕事をこなせるのは私しかいない。」
そう言えるほどの、情熱を注げる仕事を。
そう考えるのは、甘いのだろうか…。
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