12)お父さんと暮らした家をついに相続・後編
すごい市役所マン
今回のA市役所での手続きを担当してくれた人はすごい人でした。
登記のためにわたしの住民票が必要だったので、市役所に備え付けの申請書に書き込んで窓口に出しました。
すると、何のためにいるのか、この項目は本当に必要なのか、と詳しく聞かれました。
「マイナンバーは必要だと言われましたか」と聞かれて、特に言われていませんと返事をすると、マイナンバーは出来るだけ出さない方がいいんで、と言ってチェックを消されました。
住民全員の住民票になっていますが、合ってますか?と言われて、??状態です。
世帯全員の住民票をわたしは申請したのですが、本当はわたし(=相続人)ひとりの住民票で、マイナンバーの記載がないもの、というのが最適でした。
もしマイナンバーが入っていたら、マイナンバーを隠してコピーを取って、コピーを提出ということになると法務局の人に言われました。
危機一髪でした。市役所の人、すごい。
これで書類は揃ったのですが、問題はここからです。
やはりハンコを押すのは難しくて
お薬の副作用で、わたしの手は震えています。だからハンコを押すのが苦手で、どこに行ってもお願いして押してもらいます。
ところがこれは、自分で書類に割り印を押さなければなりません。
何度も練習しました。汗が出るほど緊張しながら、割り印に挑みます。
ダメだぁ…。
下手すぎる。
しかし母が割り印を押しても、なんか下手です。
もういいや。ダメと言われた時のために、書類を余分にプリントアウトしていくことにしました。
5月になって、固定資産税の書類が市役所から来たので、次の登記手続案内の予約をしました。
初めての登記手続案内の最後におじさんが、「まぁ10万あったら足りると思います」と言ったので、お金が要ることも知らなかったわたしは驚きました。
万が一のために20万円も持って出かけたアホなわたしです。
いざ、登記!
前回の登記手続案内で教えてもらって、揃えてきた書類を出すとチェックしてくれて、間違いを訂正してくれました。
固定資産税の書類から数字だらけのものを取り出して広げて、「この数字をここに書いてください」と言われるので、次々書きました。
最後に計算式を書いていくのですが、20桁くらいありそうな大きな電卓で試し算をした後、わたしに電卓を渡してくれて、わたしが書いた数字を計算していくようにと指示されました。
「この数字、割る、この数字、で、答はここに書いてある数字と同じになりますか」という具合に細かく確認してくれます。
計算結果が出て、ついに書類が完成しました。
これを持って窓口に行くように言われました。先に1万2千円の印紙を買って貼っていってくださいとのことでした。
20万円を抱きしめて来たのですが、1万2千円で済みました。
もしかして、我が家って価値がない?
震える手の中に
1万2千円の印紙。
このようなものは、わたしの生活の中には無いので、買った印紙を受け取る手が震えました。この震えは副作用だけでもない感じです。
言われた通りに書類に印紙を貼り付けて、窓口に出しました。
○月○日以降に、これを持ってきてくださいと言われて、すべての手続きは終わりました。
指定された日には行けなかったのですが、遅れてもいいとのことで、一週間後に行きました。無事登記が終わったと教えてくれて、書類を1枚くれました。
なんだかピラピラの薄い紙なのですが。
この書類はローンを組む時と○○の時に必要ですから大切にしてください、と言われました。
○○とは。恐ろしいことに忘れてしまいました。なんだったのだろう。たぶんこの家を売る時まで置いておけばいいのだろうなと決めて、引き出しの奥に片付けました。
これで、長かった名義変更や相続の手続きがすべて終わりました。
相続する財産が2千万円を超す場合や相続する人が複数いて大変な場合など、条件によって手続きには大きな違いが出るとのことです。
でも我が家の場合は、わたしひとりが相続することになっていたし、ささやかなものだったので、今のところ(父の死後、半年ほど経過)、問題はないです。
後々、やはりちゃんと司法書士さんにお願いすればよかったと思う何かが起る可能性は大いにあります…。
と、書いている間に気になることがひとつあったので、次回で最終回になります。
法的なことや金額・手続きの詳細については、わたしの場合でしかないのでご了承ください。(全13回)
【シリーズ:お父さんが死んだ後】でした。
イラストは「みんなのフォトギャラリー」からお借りしました。マイルドなミルクティーで、のんびりしたいところです。