モールってなに?すごいの?

こちらのマガジンではお久しぶりの投稿となってしまいました。

トップリーグでは最後のトーナメントが始まったということもあり、ラグビーを目にする機会が増えたのではないでしょうか?

リーグ戦を何試合か見て、ラグビーがどんなスポーツかなんとなくわかったよーというかたも多いと思います(そう信じたいです)

広いスペースを猛スピードで走っていくプレーは比較的わかりやすいなと思っていても、大柄なひとたちがゴール前でごちゃごちゃしている時って何をしているのか分かりづらくないですか?

しかも、あんまり説明してもらえることってなくないですか?
「なんか押し合ってるのはわかるけど...」
「広いスペースの方が簡単に突破できそうだけど...」
こう思う方がとても多いと思います

でも、ごちゃごちゃ押し合っているのにも理由があります。

今日はその「ごちゃごちゃ」について簡単に解説していきたいなと思います!


ごちゃごちゃしたやつ

①スクラム
②ラック
③モール

ごちゃごちゃはこの三つに別れます。

スクラムとラックに関しては知っている方も多いのではないでしょうか?

スクラムは反則の後にゲーム再開をするために8人と8人で組み合うこれです↓

ab戦スクラム

よくあるやつです。

次に、ラックはこれです↓

ラック

これもよくみると思います。
モールを説明するにあたって、ラックが何かということを軽く説明する必要があるのでお付き合いください。


ラック

めちゃくちゃざっくりと言ってしまうと、

「地面にボールが置いてあって人が周りにいるやつ」

です!!

上の画像をそのまま説明したような感じですね笑

地面にボールがあるということが大事です!

これ、試合でよく見ると思うのですが、理由があります。
①タックルで倒されたらボールを地面に置かなければならないから
②落ちているボールの取り合いをみんなでするから
③ラックが成立すると全員ラックよりも後ろに下がらなければいけないから

大体こんな感じです。

ラックより後ろに下がらないといけないというのはルールなのですが、ラグビーを理解する上でとても大事なことなのでぜひ覚えてください!

もしラックより前にいてもいいならマンマークでDFできるので、攻撃しづらいですよね。
攻撃側は前にパスできないですし...

ということでラックより後ろに下がらなければゲームが成立しないのでとにかく下がります。
相手が下がってくれると自分たちが前に出やすいのでどんどんラックを作ります。
ラックを見る機会が多いのは大体こんな理由です。


ゴール前のごちゃごちゃした攻撃

画像3

こういう感じの攻撃見たことありませんか?

ゴール前でラックからパスをせずにゴリゴリ押し込んでいくやつです。
そうです。何回も何回もラックを作ってちょっとずつ前進していくあれです。

これ、めちゃくちゃ個人技に見えて実は緻密な戦略があったりします。
想像しやすいかと思いますが、基本的にはボールを持っている人を仲間が後ろから押し込んであげるという感じです。

広いスペースにパスをせずにこの攻撃をすることに疑問があるかもしれませんが、これをやる理由は単純です。

①せっかくゴール前に来たからミスしたくない
②トライした後のコンバージョンキックを真ん中から蹴りたい
③実はBKの前にもそんなにスペースがない

普通ミスしたくないですよね!?
みんなミスしたくないのでパスしたがりません笑
ラグビー選手にとってもパスをすることって意外とプレッシャーなんです笑

しかも、ゴールラインが目の前だったらパスしない方が前に行ける気がしますよね。
なのでこんな攻撃をしたりします。

さらに、BKにパスをしてトライを取るとしてもあまりグラウンドの真ん中にトライすることは望めないので、FWが極力真ん中にトライをしようとします。

トライの後のコンバージョンキックはトライしたところからまっすぐ後ろに下がったところから蹴ります。これは入れば2点獲得できるので、できるだけ入る確率を上げるために真ん中にトライをしたいという考え方です。

③についてはちょっと本筋からずれてしまうので別の機会に説明します。


モール

さて、やっと今日の本題です。これを説明するためにラックの話をしていたら長くなってしまいました。

まず、モールとは何かということですが

ボールを地面に置いていない状態で人が周りでごちゃごちゃしているやつ

です!笑

人がいっぱいいてラックじゃないものはモール、くらいの認識でもいいかもしれません。

画像4

こういうのです。

基本的にラックと一緒で、モールができると全員モールよりも後ろに下がらなければいけません
さらに、モールの中では人から人にボールを受け渡していくことができるので、写真のように一番後ろにいる人にボールを持たせて押していくことができます。

この、モールはゴール前でよく登場します。

ラインアウトをして、

画像5

モールを組む

画像6

こんな流れです。

普通にパスすればいいじゃん!って思いますよね。
それでボールを中央に持っていって、さっきのゴリゴリした連続攻撃すればいいじゃん!って。

それも有効ですが、モールを組むとすごくいいことがあります。

モールは成立すると止めるのが難しい

え!?強すぎない?ずるくない?

と思いましたよね。
正直、ずるいくらい有効なんです笑

なぜ、止めるのが難しいかというと、モールのルールに理由があります。

モールが成立するとモールより後ろに下がらなければいけない

ということは、モールに入る時は後ろから入らなければいけないですよね?

ここでラインアウトの形を思い出してください。
全員一列に並んでいます。
DF側はモールに参加しようとすると、ボールの正面の人をのぞいて全員後ろに下がらなければいけません。

すると、全員で押す準備ができているATと、数人しか準備ができていないDFの押し合いがスタートします。

シンプルに考えて人数が多い方が強いので、一気に押し込むことができます。
すると、DFはもっと後ろに下がってから入らなければいけないので、また参加するまでに時間がかかります。

しかも、動き出したモールは、坂道を転がり始めた岩のようなもので、押し返すのはとても大変です。

そりゃ、大変ですよね。

DFがモールを止める方法は押し返すか、ボールを奪う以外にはないのですが、これがとても大変なのです。

ボールを奪えばいいじゃん!と思っても、モールに横から参加することはできないので、目の前にボールがあっても取りに行けないのです...

と、色々考えていくと、モールは実はラグビーっぽくないんじゃないかという考えに至ります。

ラグビーではボールを持っていない人同士が体を接触させるのはラックやモールなどを除いて、禁止されています。

ブロックプレーのようなものはしてはいけないということです。
バスケやアメフトなどをしている人は、ブロックプレーがどれほど有効であるか想像しやすいと思います。

ラグビーではボールを持っている人を他の選手が守る方法がほとんどないのです。

だったら、モールを作って合法的にブロックプレーしてしまおう!
というのが基本的なコンセプトです。

みんなでボールを守ってみんなで押していこう!っていう感じです。

だからこそ、止めづらいし、よく試合で使われます。

これからはモールを見るときに、

どんなふうにボールを守っているんだろう?
相手はどうやってモールを止めようとしているんだろう?
このモールではボールを守れているのかな?

といったことに注目してみてみてください!
ただの力比べではなく、すごく面白い駆け引きがされていることに気づくと思います!

それでは今回はこの辺りで!

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井坂 航 (Kou Isaka)
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