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年度末をむかえて

目の前で花びらがクルクル舞いながら散って、それを両手で挟み込むようにして捕まえた。
まだ4月にもならないうちにすっかり葉桜になってしまった。

毎度のことながら、3月は早い。
今日でもう正真正銘の年度末。

この1年間を振り返ってみると、わたし、結構大きく前に進んだ気がする。
大概のことには動じないで捌けるようになったし、自己嫌悪でずるずるとどこまでも落ち込むようなこともなくなった。
失敗はするし、イライラもするけど、おおむね良好(終わりよければすべてヨシとも言う)。

それってなぜなのかと考えてみると、自分のペースで仕事ができるようになったということじゃないかな。
どしっと構えて、あんまりキョドキョドせずに「わたしはこうやっていく」と言える。肝が据わったというか。経験に裏打ちされた自信が、不安とか優柔不断を吹き飛ばしてくれる。いまようやく、そんな境地まで来た感じ。

もちろん自信満々がいいわけじゃないし、驕りは禁物。もっともっと磨きをかけていきたいから、ここらでちょっとお昼寝なんてウサギみたいに悠長なことは言っていられない。
だけどひとまずは、年度末という区切りを迎えたわたしを労ってあげたい。がんばったね。


来年度は、大きなイベントが控えている。わたしの生活をぜんぶひっくり返すような特大のイベント。出産である。

仕事もぜんぶひっくり返る。
待望していたことで、だからとても嬉しいこと。でありながら、同時に長期にわたって仕事場から離れざるをえないことへの葛藤もすさまじい。
わたしはこれを、来年度乗り越えていかなくちゃいけない。

そして現実問題としても、産休という仕事のおしりが決まってしまっているので、そこに向けて一旦仕事を納めなくてはいけない。
どんなふうに納めていこうか。

職員であるわたしが離れていくということは、少なからぬ不安を子どもたちに残してしまうだろう。それをちょっとでも小さくできるように。「大丈夫」って思えるように。
このままお別れするつもりはないよ、必ずここに帰ってくるつもりだよ(左遷されないかぎり)。わたしの言葉が信用に足ると思ってもらえるような関係性を築くこと。
残っていてくれる同僚たちに子どもたちのフォローをしてもらうこと。
新しく入ってくる後輩たちが安心して働けるようにサポートすること。
できたてホヤホヤのマニュアルを軌道に乗せて、引き継いでいくこと。

それから、ベストな形での育休復帰に向けて、出産に耐えうる体づくりをすること。夫をはじめとした関係各所との調整を丁寧に行って、産後の環境を整えること(まずは母子ともに健康に出産を乗り切ること、は言うまでもなく)。


次の1年はきっと、もっと早い。
風のように過ぎた後、わたしは何を思うだろう。黒い幹に映える淡い桜色を見ながら、どんな境地に到達しているだろう。
いくつもの葛藤や困難の波を越えて、今よりも逞しく生きているといいな。胸を張って、がんばったねって労っているといいな。

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