#44 始まり
「お金は返ってこないわよ。可哀相だけど、99%嘘よ。」
お義母さんにとっては、こんなことは日常茶飯事だったのでしょう。
「何も信じちゃダメよ。」
[明日、銀行前で待ち合わせ]を一応守りたい私、
ただの無駄足になるわよ、とお義母さん。
明日、約束を守るために家を空けている間に、
ここの荷物を運び出して…
金目の物を盗って…行つもりかも?
普通に考えて、仮にも自分の旦那に対してこんな悲しい考えを抱かなきゃいけないなんて。
「アクビちゃんが銀行に行っている間、
私がそこを見張ってましょうか?
銀行は何時?」
二人であれこれと作戦を立て、
とにかく約束の時間に銀行には行ってみる、
お金が戻ればラッキー、
来なくて待ちぼうけなら役所に離婚届を取りに行き、
家で待ち伏せ。
自分の安全を優先させるなら、
とっととこの家を出て行きたいのだけど、
賃貸の契約者が私になっているので、
居座られた場合色々と面倒な事になるそう。
とにかく、明日の約束が守られれば平和に別れられる!
寝よ。
全ては明日動き出すんだろう。
布団に入ってウトウトし始めた頃に、下の玄関で人の気配がしました。
ガサガサ。
ガチャガチャ。
え?
帰ってきた?
と思った瞬間に、階段を上がってくる足跡が近付いてきました。
チェーンは??
力ずく?
正に『JAWS』のテーマ曲が頭の中で大音量で鳴り出しました。
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