#30 崩壊の始まり
大クライアントさんとの飲みの夜。
迎えに来させてお金を取って、という怪しい動きのあと、
4時過ぎに「今から帰るー!」とご機嫌な電話がきます。
タクシー代は残してある、と。
それから昼まで連絡が途絶えます。
既読にもならない状態に、死んでいるのか、
または警察に捕まったのか…
私の人生では、こんなことへの免疫が出来ていないので、正直本当に怖くなって、
思い当たる彼の知り合いに連絡をしてみます。
一人は仕事でパートナーとなりつつある男性。
一番連絡を取りやすい人です。
「マジで?電話は鳴るの?
俺、今日撮影の約束してんのに!どーすんだよ…」
自分のクライアントさんの心配をしながらも、
私には〔携帯の追跡方法〕のURLを送ってくれたり、気にしてくれます。
夕べ一緒だったクライアントさんのお店が10時に開くので、
それを待って電話をします。
「あ、✕✕さん!夕べはうちの人がお世話になりました。」
「???夕べは私は一緒ではないですよ…。」
「え???そうでしたか。では○○さん(総支配人)はいらっしゃいますか?」
「まだ出社していないのですが、来たら連絡させますね。」
ここで脈拍が早くなります。
完全におかしい。
彼女が嘘を言う必要はないので、嘘をついているのは彼ということで、確実に良い話ではない訳で…
そこに総支配人からの電話が鳴ります。